観劇・感想

観劇感想:INDEPENDENT「INDEPENDENT:4thSeasonSelection / JAPAN TOUR」①

会場:ぽんプラザホール
チケット料金:2.000~3.500円
上演時間:各演目30分

公演の説明
大阪インディペンデントシアターを拠点に、2001年から継続開催されている「最強の一人芝居フェスティバル=INDEPENDENT」。
俳優と脚本家演出家が、様々なジャンル・表現手法のソロアクトで競演する唯一無二のフェスティバル。
2012年から地域主体の地域版も開始し、感染防止対策を徹底して今年も開催された。
2016~2020年に上演された200作品以上から10作品を厳選。
福岡公演ではそのうち4作品と九州製作の2作品を上演。

公式サイト→http://independent-fes.com/IN4SS/index.html

席は108席。まばらに埋まってる。

カラフルなライトがビカビカ。「INDEPENDET」のロゴが舞台の垂れ幕やサイドの壁に映し出されている。
映画館かライブハウスみたいだ。

受付周りの感染症対策も徹底してる印象。

以下、各演目ごとに雑感をまとめます。2演目ずつ。

[a]「Phish Heaven」
出演:有元はるか(カヨコの大発明)×脚本:二朗松田(カヨコの大発明)×演出:南参(yhs) 
2019年初演/本拠地:大阪 with 札幌

あらすじ
40歳を迎えレコーディングミュージシャンとして今日もCMソングのコーラスに参加する主人公。好きな音楽に携われるだけで幸せなどという季節はとうに過ぎ、彼氏もいるにいるが、それより猫といる方が有意義に感じる自分もいる…。
そんな彼女がレコーディング中に知る真実とは…。
劇中でレコーディングされていく歌の断片が伏線となり、怒涛のラストで一つに繋がるカタルシスに満ち溢れたサスペンスコメディ。

す、すげえ…。

仕事や恋愛諸々こじらせた女の、怒りと嘆きとイロイロが詰まった歌。

ラストの歌唱のエネルギー圧倒されてしまった。すごいパワー演劇でした。

*****

舞台はとある録音ブース。シモ手前に斜め向きにスタンドマイクとヘッドフォン。中央に丸テーブルと椅子。脚本や箱ティッシュなど。

衣装のスカートが可愛い。

*****

観劇後、あとからあらすじを読んで”サスペンスコメディ”と書いてあって「!?」ってなりましたが、

思い返せば納得。

あのハラハラ感と滑稽さはまさしくサスペンスコメディ。さすこめ。

徐々に点と点が繋がって、溜まっていくフラストレーション。沸火寸前の火山見てる感じでハラハラしました。

すごく俗な推理モノを見てるみたいで面白かったのと同時に、事実を認めたくない主人公の滑稽さがとてもよかった。

仕事と恋愛っていうわかりやすい要素でしたし、演劇をやっていて同じような状況、心情の人とかどれくらいいるんでしょう。色んな共感を呼びそう。

*****

なにより歌が上手い!あのバタバタした感じですぐ切り替えれるのは流石。

作品内の状況は置いといて、あんなに伸びやかに声を出せたら気持ちいいだろうなぁ。

ラストの爆裂する感情も浴びていてすごい圧でした。ちょっと圧倒されてしまいましたがずっも聞いていたくなる歌声。すごい。

あと単純にコーラスでばら撒いた布石をあんな風に回収されるとは。面白いのもありますが感心してしまった。

こういうのも伏線回収と言うんでしょうか。

*****

どこか他人事とは思えない。とても楽しい演劇でした。

[e]「このカラダ|エティエンヌ・ドゥクルー作『瞑想』」
出演・構成・演出:巣山賢太郎(tarinainanika)×演助:タニア・コーク(tarinainanika)
2020年初演/本拠地:大阪

あらすじ
近代マイムの父、エティエンヌ・ドゥクルーによるコーポリアルマイムは思考する身体の芸術と呼ばれる。考える行為を極度に様式化した演技からは、象徴的な演技によって演劇の改革に挑んだドゥクルーの理念が伺える。物理的な次元から開放された自己を見出すには、あくまでも自分のカラダが必要だという矛盾…。
カラダでカラダを昇華せんとする表現者の静かな闘志と研ぎ澄まされた身体表現。自然現象を観察するような静謐な時間に満ちた作品。

*****

ノンバーバルで俳優の身体性だけで魅せる舞踏系のステージ。コンテンポラリーダンス?

有限の肉体で無限の表現力を目指した。という感じなのだろうか。直前の映像とメッセージから頑張って読み取るに。

冒頭、映像から入り、暗転明けると半裸の男性俳優がポツンと一人。
肉体はバキバキに仕上がっている。美しい。

顔は布を被っていてマネキンの首をそのまま持ってきた感じ。
ホラーゲームの敵キャラにいそう。もしくは「時のオカリナ」のリーデッド。
音響の風の音も相まって荒野、もしくは砂漠に佇んでいるように見えた。
あらすじにもありましたが、「ディスカバリーチャンネルで自然を観察してる」と、捉えたら見えてくるものがあった気がします。

*****

芸術のチャンネルはそれこそ無限にありまして。私のチャンネルには合いませんでしたが、
仕上がった肉体がビクンビクン躍動するだけでも魅せものになりますね。なんだか美しかった。

途中ブル転時、目の順応のラグだと思うんですが、CGキャラが具現化したみたいに見えて面白かった。ニュースの事故再現で出てくるアレみたいな。

迷い無く世界に没頭していく様が不思議な心地よさを感じさせてくれました。

残りは4作品はまた後日。