観劇・感想

観劇感想:劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎「神州無頼街」

作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
会場:大阪/オリックス劇場 静岡/富士市文化会館ロゼシアター 東京/東京BrilliaHALL
チケット料金:2.200~15.800円(ライブビューイング:4.600円)
上演時間:約3時間

公演の説明
5/14(土)全国の映画館でライブビューイングが行われた。
2020年、新型コロナウィルスの感染拡大により涙をのみながらも公演延期となった、いのうえ歌舞伎『神州無頼街』。大変お待たせいたしました!ついに2022年3月、大阪を皮切りに、喧騒と猥雑と絢爛と頽廃の空気漂う“無頼街”がお目見えいたします。
座付き作家・中島かずきによる書き下ろし伝奇時代劇の今作。主宰・いのうえひでのりが演出する、歌あり踊りあり立ち回りありの、王道“いのうえ歌舞伎”最新作となります。
公式サイトより

あらすじ
時は幕末、ところは駿河国の清水湊しみずみなと。 清水湊にその人在りと噂された侠客・ 清水次郎長しみずのじろちょうの快気祝いのため、ある料亭に甲州駿河の名だたる博徒の親分衆が集まっていた。続々訪れる親分方を調子よく迎える男がいた。他人の事情に勝手に口を出しては銭にする“口出し屋“の草臥そうが(宮野真守)である。さっそく次郎長一家からも銭をせしめようと、幹部の小政の人探しを手伝うことに。次郎長が出入りで受けたひどい傷を直したという、評判の町医者・ 秋津永流あきつながる(福士蒼汰)だ。次郎長復帰の立役者を宴席に誘うため、探しにいく草臥と大政、小政。座敷では次郎長の快気を祝い、親分衆が膳を囲んでいた。そこへ、今売り出し中の侠客・ 身堂蛇蝎みどうだかつ(髙嶋政宏)が現れる。妻・ 麗波うるは(松雪泰子)、息子・ 凶介きょうすけ(木村了)、娘・ 揚羽あげは(清水葉月)を引き連れ、己の顔見せのために次郎長の宴席へと乗り込んだのだ。無作法な挨拶にいきり立つ親分衆だったが、突然もがき苦しみはじめた。首に痛みを感じた次郎長が掴んだのはなんと 蠍さそり。当時のこの国では見かけない毒蟲を使い、親分衆を皆殺しにし、彼らのシマを貰うとうそぶくと姿を消す。そこに駆けつける永流。瀕死の次郎長だったが、永流は持っていた毒消しでかろうじて彼の命を救う。一方、辺りを調べに走った草臥は凶介に出会う。その顔は、昔なじみと瓜二つだった。だが、凶介は覚えがない。不審に思う草臥。
日の本にはいない毒蟲を使う侠客。昔なじみにそっくりの男−−−。
謎に満ちた身堂一家を探るため、永流と草臥は彼らの根城である富士の裾野の 無頼の宿ぶらいのしゅくを訪れる。 蛇蝎と麗波が築き上げたその街は、喧騒と猥雑と絢爛と頽廃に満ちていた。豪胆にして無慈悲な蛇蝎が仕掛ける、人の命を金で買う大博打。その妖しき美貌と奇怪な術で人を惑わす麗波。草臥に刃を向ける凶介の正体は。揚羽と側近の 風天千之介ふうてんせんのすけ(粟根まこと)らに秘められた過去とは。身堂一家が巻き起こす無頼の風に巻き込まれる永流と草臥。その果てに己自身の宿命と因縁が明らかになり、やがて、日の本の命運すら揺るがす策謀と立ち向かうことになることを彼らはまだ知らない。
公式サイトより

キャスト
福士蒼汰 宮野真守 松雪泰子 髙嶋政宏 粟根まこと 木村了 清水葉月
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 
礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ 村木 仁 川原正嗣 武田浩二
藤家 剛 川島弘之 工藤孝裕 菊地雄人 あきつ来野良 藤田修平 北川裕貴 下島一成
鈴木智久 山﨑翔太 米花剛史 渡部又吁 小板奈央美 後藤祐香 鈴木奈苗 森 加織

以下:雑感
めっちゃ楽しかったなぁ〜〜!!!
いつも新感線は観た人を元気にしてくれる。ライビュなのに小さく拍手をしてしまった。
カテコでカメラアピールしまくってくれるし、最後幕裏で抱き合ってる主演二人が可愛くてもう無理。
古参ファンにも嬉しいサプライズがいっぱいで歌と踊りがめっちゃ楽しい最高の活劇でした!

*****
なんと言っても主役二人がカッコ可愛い。
いつもの新感線だと草臥(宮野真守)のポジにもちょっと暗い過去や影があったりしてきた印象なんですが、今回は終始闇を抱えた永流(福士蒼汰)を照らし支える存在だったかなぁと。そこが今回のバディの印象的な部分でした。
すごくいい相棒たちだ。最後二人でパパになるのもすんなり納得のいく流れでした。この二人ならなんとかなりそう。子育てスピンオフとか普通に見たい。
なんかここまで過去作からの設定大事にしてくれる新感線。二人の育てた子供がいつか何かの主役になったりしないかしら。そうなったらアツすぎて死にそう。妄想しすぎ?そのくらいイイバディだったな。

*****
狼蘭族!!!
またしても出たかと。やっぱり知ってる設定出てくると嬉しくなっちゃう。刀衣やサジたちも地続きなんですね。てことは土門やシレンたちもいつかどこかにいたんですね。二幕頭のあのやりとり。
このひと設定だけでめちゃくちゃ色んなこと考えました。こんなことで喜んじゃう自分のチョロさにビックリするとともに「そういうのでいいんだよ」とぐっとうなづく自分。
あ〜なんかファンとして大事にされてんなぁ〜〜と思うことが多々ありましたね今回は。

特にあそこ。多分みんなそうだと思うけども。

次郎長親分(川原正嗣)手の平返し!!!

いやあなたが返すの!?確かにこいつブレブレだな。史実のキャラがこんなんでいいのかと思ってましたがこうくるとは。手の平返してるだけなのにこんなにカッコいいなんて…。河野さんとはまた違う渋みのある川原さんの超カッコいい手の平返し。シビれました。嬉し楽しいサプライズ。

直前の草臥の説得も熱が入ってよかった。今回“口出し屋”という役所ゆえですかね。いつもの新感線よりも言葉での訴えかけに説得力があったように感じます。この場面に限らず。気のせいかな?
その後の無頼街突入の流れもよかった。馬鹿面白い歌がまたいい。毒虫に殺虫剤て!!いや有効だろうけども。いやぁ演劇っぽくて。新感線っぽくて大好きです。

*****
今回のラスボスも魅力たっぷりでしたね。
クガイ王みたいな志と覚悟が決まった男や、天魔王みたいなカリスマびんびんで実は小物みたなギャップありありのヴィランも大好きですが、
今回の蛇蝎たちみたいな自分の直球の欲望に忠実なタイプもまた良し。
久々にイカれキマってる悪ボス見たな~~。ある種パトレイバーの内海みたいな、「手段のために目的を選ばない」タイプのように感じました。
イカれてて最高。あの二人めちゃくちゃ”よく生きた”っすよね。いい死に様だった。

松雪さんすごいなぁ。元男の女の狂気。めちゃくちゃ怖かったな。しかも狼蘭族。属性が多すぎるんよ。凄まじかった。
蛇蝎もビジュアルからキマってて最高だな。

ベビーフェイスの主役二人と比べても一筋縄でいかない感が凄かった。

*****
音叉槍カッコ良すぎるぜ。

*****
いや~~幕末期だけど幕末感の薄い芝居だったな。でもビカビカギラギラハチャメチャの楽しい世界でした。
今回でなんだろう。劇団新感線に対する信頼が一層深まった気がする。
次も絶対絶対楽しませてくれますねこれは。「薔薇とサムライⅡ」超~~~~~~期待大!

そろそろ生で観に行けるかなぁ。