2025年製作/111分/G/日本
配給:東宝、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2025年11月21日
あらすじ
“生きる意味”を見つけていく――
父の敵への復讐に失敗した王女・スカーレットは、《死者の国》で目を覚ます。ここは、人々が略奪と暴力に明け暮れ、力のない者や傷ついた者は〈虚無〉となり、その存在が消えてしまうという狂気の世界。敵である、父を殺して王位を奪った叔父・クローディアスもまたこの世界に居ることを知り、スカーレットは改めて復讐を強く胸に誓う。そんな中彼女は、現代の日本からやってきた看護師・聖と出会う。時を超えて出会った二人は、最初は衝突しながらも、《死者の国》を共に旅することに。戦うことでしか生きられないスカーレットと、戦うことを望まない聖。傷ついた自分の身体を治療し、敵・味方に関わらず優しく接する聖の温かい人柄に触れ凍り付いていたスカーレットの心は、徐々に溶かされていく―。一方でクローディアスは、《死者の国》で誰もが夢見る“見果てぬ場所”を見つけ出し、我がものにしようと民衆を扇動し、支配していた。またスカーレットが復讐を果たすために自身を探していると聞きつけ、彼女を〈虚無〉とするために容赦なく刺客を差し向ける。スカーレットと聖もまた、次々と現れる刺客と闘いながら、クローディアスを見つけ出すために、“見果てぬ場所”を目指してゆく…。そして訪れる運命の刻。果てしない旅路の先に、スカーレットがたどり着く、ある〈決断〉とは――
切り拓く。新しい自分を―※公式サイトより
以下、雑感
わかんねえ、なにこれ。
「マジで面白くない演劇」みたいな映画だった。
本当に意味がわからなくて不気味。怖かった。絵は綺麗。
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チラホラ流れてきていた感想では「ハムレット」が下地にあるらしい。まさしく「ハムレット」っぽい雰囲気のデンマークの王女スカーレットが父の復讐のために叔父王に立ち向かう話。ほぼまんまでしたね。
でも失敗して「死者の国」(煉獄的な?)世界に落ちてしまう。めちゃくちゃ悔しがるけど叔父王も同様に死者の国に落ちて来てることを知ってリベンジのリベンジに再び立ち向かう。みたいな導入。
道中で復讐とか生きる意味とかを見出す。
でもハムレットは本当にガワだけ借りてきた感じです。表面だけ持ってきてて邪魔になったように思う。普通にオリジナル王家でよかったのでは?ていうか映画内での扱いはどうなんだろう。様々な時代場所の人間が集まってきてる設定っぽいけどシェイクスピアの創作のキャラなのでは。垣根は。
というかテロップで”16世紀 デンマーク”みたいに出てたけど全然みんな当時の価値観じゃなくない?
*****
いいところから探そう。
絵と動きはすごい。アクションすごいなと思ったらスタントが園村健介さんだ。『ベビわる』とかの。序盤のバトルシーンだけでも見応えがすごい。
映像は本当に綺麗だ。実写かと見間違うくらい緻密に描かれた死者の国の風景は凄まじかった。ちょっと『ロードオブザリング』風味だが。
世界観も好き。戦士たちが死後戦い続けひとつのゴール?「見果てぬ場所」を目指す。荒涼とした砂漠の中では巨大な竜が雨雲とともにやってきて気まぐれに雷を落とし、死者たちを焼いていく。ファンタジ〜。
あとなんだろ。主人公のビジュはいい。飯は旨そうに見えた。
声優さんたちの芝居は言うまでもなく良かった。芦田愛菜さん声の芝居も上手いんだなぁ。台詞だけでグッとくる箇所は何個もあった。
いいところ引っくるめて10倍にしても意味わからなさと不快感の方が強い。
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バトルは不快だった。スカーレットのダメージ描写がねちっこくないか?ヒロインを痛めつけることが目的で、かつそれが物語上必要な試練に思えなかった。これは私のフィルターが変なのかもしれないけど。
いや殺陣はすごいカッコいいんだけど、必要だったか?どうやって鍛えたかしらないけど描写されていた1人稽古であんな戦闘力得られるものだろうか?10歳くらいまでぬくぬくのお姫様が。師匠とかさ…説得力持たすのに出す必要あったんじゃ。下手したら初の殺人だろうに精神のブレがなさすぎでは。
戦闘スキルと死者の国の最初のピンチが自分の中で噛み合わない。スカーレット視点ではさっき毒を盛られたばかりなのに仇の配下にホイホイついて行って死にかけるのはどういう了見なんだ…?「ハムレット」だとハムレットは城内の人間を信用できずにイカれた振りをした(だったよね?)くらいだったのに。下地に持ってきたにしては「王女の復讐」に対する解像度が粗くないか。
開始早々「もう嫌だ…」とか言い出すし、かと思えば「まだ終われない…」。人格二つあるのか???キャラクターの芯がわからない。
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ババアボムボムの実の能力者じゃん。そのゼルダの伝説に出てきそうないでたちはなんなんよ。
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テンポわるいな。ものすごい悠長。サマーウォーズとか滅茶苦茶見やすかったのに。あの時はまだ共同脚本なんだっけ?
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ほんで看護師はなに?
マジで不快とかなんとかの前にわからん。一つ一つのバトルシーンを繋いでいくためだけに回復役で出しただけなのでは。看護師を馬鹿にしてるだろこの話。
キャラもキモすぎる。戦うな殺すな言うならまずスカーレットを戦場にいかすな。まだ自分は生きてると思ってるが故の行動原理なのか?なぜ盗賊の群れの前に突っ込んでいけるんだ。そして荷物を奪われて「やめろー」ってなに。思考してないのか。錦鯉の漫才を思い出した。
スカーレットもだけど、殺す殺さない殺させないがどれもポーズにしか見えないんだよな。
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「見果てぬ場所」ってなんなのよ????観客を置いてきぼりすぎだろ。世界のルールがマジでわからない。ファンタジーかと思えば半端に現実感出してくるからずっとすごい不気味だ。飯は?住処は?街で荷を下ろすだキャラバンだどこからどうしてどこにいくんだ難民のような者どもよ。どんな風にこの世界に発生してどうして「果てなき場所」向かうのだ。OPでスカーレットが髑髏たくさんの沼に引きずりこまれかけてたけどあれはスカーレットだけ?なんで?無視するには勢いと説明が足りん。
展開のために道理が蔑ろにされている。というか作中で統一されてないな。ルールがマジでわからん。
ヴォルティマンドが降参するくだりなんかホントになんで?なんで反撃しないのよ。あそこで諦める意味がわからん。コーネリウスと同格っぽいのに、自分はほぼノーダメで少女に剣一本突きつけられただけでどうなってるんだ。
クローディアスはなんでここでも権力者なの?いやいいけど理由が知りたい。みんな死んだことは自覚してるのになんで構造はそのままなんだ?なんか「王族にしか行けない」とかあるならわかるんだが。
そして敵陣営はどうやって移動してるんだ。スカーレットたちはかなり歩いた感じですが、コーネリウス撃退したら速攻で折檻されてたし。ワープしてるよ。ダメな演劇みたい。馬なのか。
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ミュージカルシーンはなに??????wwww
本当に本当に意味がわからない。復讐モードでこんな情景見せられたら血管ブチギレるだろ。「復讐に囚われていないIFルートの幸せな私」を見せるにしてももっといいのあっただろマジで。社交ダンサーみたいな踊り狂う長身の坊主は面白すぎる。そして何が作用してその後のハグ???情緒に全然共感できなくてつらい。
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ONE PIECEと時かけをぐちゃっとくっつけたみたいな変な、変なオチだな。なんかずっーとどこかで見た良さそうな雰囲気のシーンをつぎはぎされてるみたいだ。
無理やりまとめるなら、死の蔓延る世界で死に抗い続けた青年がついに復讐に囚われた王女の心を救った。のか?
ラストの群衆との会話キモすぎる。現実政治とリンクさせたいのか知らんけど世界観とか忘れたんか????
ていうか女王のこと「リーダー」って言った?ありえんだろ。下地はハムレットでデンマークじゃないのか。
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評判通り、ていうかかなり下回ってきたな。メッセージとしては「反戦」なのか?終わりまで見た感想「力がないと弱者は理不尽に死ぬしかない」って感じだが。
「愛」は特には…、愚かさなら見えた。
絵はホント綺麗でしたよ。