作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:2,500~5,000円
上演時間:約200分
公演の説明
劇団☆新感線 45 周年公演。
あらすじ
時は天保、ある山奥の地─江戸で活躍した役者・荒村荒蔵(橋本じゅん)の娘、お破(小池栄子)。荒蔵から”嘘を真に変える芝居の力”を叩き込まれたお破は、芝居の神様・月影大御神の加護を受け、花形役者として舞台に立つために江戸へ向かう。しかし江戸は、財政の立て直しを図る老中・水野忠邦による改革の真っ真最中。人々は贅沢の禁止や歌舞音曲の自粛を強いられていた。歌舞伎の上演を許された江戸三座の一つ、橘川座でも、座元の橘右衛門(粟根まこと)、その妻・おきた(高田聖子)、息子で女方の夜三郎(早乙女太一)らが、幕府から睨まれぬように、狂言作者・真狩天外(向井理/二役)の新作芝居の稽古に励んでいる。橘川座には芝居好きの北町奉行遠山金四郎(橋本さとし)が町人姿で頻繁に顔を出していた。ある日、彼が一座の稽古を見ていると、突如お破が現れ、役者たちの芝居にダメ出し、鮮やかな演技を披露する。驚く一同を前に、『仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助を演じるような「江戸の千両役者になる」と言い放つお破。だが、女が舞台に立つのは御法度。荒蔵の過去の不始末も災いし、お破は芝居小屋から追い出されてしまう。意気消沈するお破が連れて行かれたのは無宿人たちの集まる”闇川島”。そこでは無宿頭・弾兵衛(古田新太)のもとで”闇歌舞伎”が上演されていた。おきたや弾兵衛の麦おゆみ(羽野晶紀)も、裏華御前<おきた>や黒爛太夫<おゆみ>と名乗り、歌舞伎の舞台に立っていたのだ。ことの次第を面白がった天外の手助けもあり、お破は闇歌舞伎への出演を弾兵衛に直訴する。一方、忠邦の部下で芝居を憎む堅物、若年寄・藤川采女(向井理/二役)は乱れた風紀を正すため、江戸歌舞伎の一掃を画策。弾圧により一度はくじけ、芝居を捨てそうになる間歌舞伎と川座の面々。だが、それでも胸の奥、消えることなき情熱が、お上に逆らい芝居者の意地を見せんと前代未聞、天下御免の大歌舞伎へと一同を駆り立てる!演目はご存じ!『忠臣蔵』!!さアさアさア!お集まりの御見物衆。命を避けたこの芝居、最後までとくとご覧じろ!!※公式サイトより
キャスト
古田新太 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 羽野晶紀 橋本さとし 小池栄子 早乙女太一 向井理 ほか
以下、雑感
ホントよかったなんじゃこりゃ。ベスト更新されてしまった。板の上の全てがよかった。愛とか情熱とかセンスとか溢れかえってたなぁ。全員最高だけど主演・小池栄子が良すぎる。劇団⭐︎新感線の好きなところが全部載っていて最高。
*****
セルフ含め色々なパロディやネタがあるけれど、物語はわきにそれることなく一つの骨太なストーリーが構築されていって満足感がすごい。笑いもすごい。客席の声が騒がしいけど全然気にならない。
好きな人ならわかるお約束もあり、来るぞくるぞと展開を予想するんだけど,それらを軽々越える圧でオモシロが押し寄せてくる。新感線全然知らない人でも絶対楽しめたであろうと思う。主に陣羽織仮面と「七人」のとこ。この後絶対三人同時に出てくるんだろうなと思ってたけどまさかの「七人」。もうなんかすごい感動してしまって笑い以外の涙が出てきた。前に見てめっちゃ面白かった大好きなものを作り手側もすごい大事に思って使ってくれるとこんなに嬉しんだな。轟天パロとかその他数多の部分、書ききれないけど。頭から終わりまでずっと”嬉しかった”。観劇の感想としては変な気がするが。
*****
主演の小池栄子さんがすごい。最初誰かわからなかった。こんなに幅がある女優さんだったのか。軽やかで素敵だ。暑苦しさと熱さと強引さ、こいつが主人公だ!と思わせてくれる説得力。かっこよかった。
*****
殺陣が凄まじい。これは別に動きがかっこいいってだけでなくて構成がすごいという。この演目の”殺陣”はほぼ夜三郎(とvs世直隊長)がほぼ担っていたと思うのですが、その夜三郎の変化成長を戦いの中で描き切っていて震えた。
というのも単にバトルの勝敗で結論づけるのではなく、立ち回りの中の一手一手の読みあいや切り返し太刀さばきの中で、お互いに「読みあって」るのがわかった気がする。まさしくキャラ同士が鎬を削っていた。
高田馬場での決着は劇団朱雀と絡めたのかな?しっかり関連づけてきててこれまた嬉しい。
多分自分が気付けてない部分もたくさんあるんだろうな。
*****
演劇愛の話だった。言葉が出てこないな。こんな馬鹿騒ぎお祭り騒ぎみたいなパッケージにすごく切実な気持ちが詰まっていた気がする。理由のわからない涙が出てきていた。
*****
俳優から離れた自分の中にもまだ熾火が確かにあることを気付かされた気がする。あの人たちも、45年もやってたら消えかかったことも何度もあるだろうし。消えた人も見ただろうし。でもその何倍も何回も燃え上がらせて「今」走ってるんだろうな。なんだろうこの気持ちは。呪いなのか祝いなのか。わからないけどすごく晴れやかに帰り道についた。最高な時間だった。