観劇・感想

観劇感想:劇団エレガント「ナツヤスミ語辞典」

作:成井豊(演劇集団キャラメルボックス) 演出:到生(劇団ZIG.ZAG.BITE)
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:2.500~6.000円
上演時間:約90分

公演の説明
福岡の芸能事務所・エレガントプロモーション内の”劇団エレガント”の主催公演。こちらは演劇集団キャラメルボックスの「ナツヤスミ語辞典」。
同日のもうひと演目は殺陣をメインにしたオリジナル活劇「桃太郎傳」
あらすじ
カブト・ヤンマ・アゲハは中学2年。夏休み、水泳嫌いのヤンマは、水泳の補習に出るのがいやで、プールの水を抜いてしまう。罰として、プール掃除を命じられたヤンマに、カブトとアゲハも付き合うことに。そこへ、白い服を着た男が現れ、3 人に話しかける。男はウラシマと名乗り、カブトが持っていたカメラで写真を撮る。その晩、カブトが現像してみると、そこに写っていたのは15 年前の景色だった……。

キャスト
あおい/ここな/東雲奏多/田中博子/松本海音/美咲/弥坂勇典/矢野武徳
青木龍平/鐘江梨江/岸里美/小島七海/白仁田美和
髙橋力也/奈月/水島葵/八坂桜子/横枕涼我/吉村知恵

以下:雑感

とにかく役者が下手すぎる。最後までやり通すこと”だけ”を目的に作ったんじゃないかというくらい表面でしか演技していない。まともな俳優は2、3人しかいなかったんじゃないか?あと道具や装置が甘すぎる。

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舞台はぽんプラザ。満席のようだ。客層も普段から演劇を観る層とはまた違うようだ。なんとなく浮わついた空気。

以前観たトキヲイキルさんの時と似てるな。やはりアイドルのファンやその同業の人が多いのだろうか。

ステージは飾り気の少ない素の舞台。奥の方は2段くらいの小上がりになっている。

捌け口はカミシモに加えてセンター奥にも一つの計5ヶ所。アクティングのど真ん中に木 (?)が立っている。著しく見栄えは悪いが何かギミックがあるのかな? (結果何もなくてただのオブジェだった。なんだったんだあれ?)

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とにかく役者が下手。 (二回目)

下手な理由はたくさんあるが、とにかく滑舌が甘い役者が多すぎた。冒頭の夏休み直前のシーンなんかは女教師役の人が喋れてなさすぎてヤバかった。すごく長く感じました。コントとかでなく滑舌悪くて“聞き取れない”ってすごいストレスなんだなと再認識。冒頭が一番酷かったけれど8割ぐらいの役者が滑舌酷くて物語に集中するのが大変でした。

なんか、わからんでもないけどとにかく聞き取りづらい。がずっと続いた感じ。皆さん経験は浅い方なのかしら。

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反面女生徒6人はいずれも良かったですね。特にメガネの子の白仁田美和さん、かな?当日パンフなどなかったので役名とキャスト名が合っているのか自信がない。

終盤の叫びはすごく胸に来ました。周りが低かったせい、とは思いたくないですが、特に際立って見えましたね。あのシーンをあれだけエネルギーをこめて演じられるのは素直にすごい。もっと色んな舞台、役柄で観てみたいですね。

それもこれも序盤からの丁寧な感情の積み重ねがあってこそ。この演目で一番素敵な役者さんに見えました。

あともう一人、劇団ジグザグバイトの八坂桜子さん。この方は何度か観させてもらったことがあるのですが、安定してエネルギッシュで目を惹きます。

オープニングのダンスシーンでもキレキレでしたね。一番目立ってました。今回の役回りは集団でのコメディリリーフ的なポジションでシーンの空気作りにすごく貢献していたのではないでしょうか。身体全部使ってすごく元気でしたね。観てて楽しくなります。表情も動きがすごい。

ギャグ演技の声色の時がちょっとクドかった部分もありましたが、一番自由に遊べてる感じがとても良かった。

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まともに“演劇”になっていたのはこの二人と後は数人くらいで、ほとんどの人は芝居にもなっていなかったように思えます。

確かにセリフはしっかり言えているし、やりとりも進んでいくんですがそこに感情や意志がこもっておらず俳優同士が何も交換できていない。観客側からするとその結果勝手に盛り上がってるように見えて冷めてしまう。というかそもそも物語にノることができなかった。

男性陣はほぼそんな感じですし、特に(見た目)年齢が上のキャストほどそんな傾向が強かったように思えます。経験が少ないのか、そも稽古がたりないのか。主宰のエレガントプロモーションさんは人材不足なんでしょうか。数少ない良かった俳優さんもほぼ客演さんでしたね。

キャラメルボックスの脚本でこの役者力だと正直観るのはキツい。

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そんな中でも通しで眠らずに観れたのは演出の効果が結構大きいかなと思いました。会話のテンポが結構早めに設定してあって、(多分)おかげで表面的なセリフ回しでもなんとか集中を切らせずに観られた気がします。

もちろん脚本の構成で上がり下がりがあるのでおいそれとそうはならないとは思うんですが、このキャストでだれずに作り切ったのはその辺りが大きいのかなとか。どうだろうか。

懐中電灯のシーンとかすごく好きでした。

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装置とか道具がちょっと…クオリティが低い。というかこだわりとか全然ないんだろうか。これも演出さんの匙加減なのか?

まず持って舞台ど真ん中に鎮座ましましている「木」。何かギミックがある上でのあの作りなのかと予想していたんですが特に触れられず…。

え、シンプルにクオリティ低いだけ?この舞台チケット代3500円くらいかかってるはずなんだが…。

一番ガックリ来たのがタイトルにもなっている「ナツヤスミ語辞典」。あれあんな感じでいいのか?タイトルになってるやつなんだけど。

あれ本っていうより箱でしたよね。八坂さんが表紙一枚だけ開いて「真っ白」って言ってたんですが、そりゃそこは真っ白だろっとツッコまざるを得ない。小道具の荒さで芝居が滑稽になるのは流石に役者が可哀想だった。

もう少しこだわって道具を作ってほしい。意外と見てます。

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総じて佳作だった。

大多数のキャスト陣の力量不足を一部の人がなんとか踏ん張って観れるようにした舞台。という感じ。

「完成」から先に行けてないというか。

もしこのバラバラな実力や意識を一つにまとめて磨き合えることができたらまた何かが変わるのではないでしょうか。今後の進化に期待します。