良かった。
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中野ザ・ポケット。
ここまで行ってきたアートスペースとと比べるとかっちりした劇場。
180席くらいで前の方はパイプ椅子が3列ほど。
舞台は半円のアゴが出てて床は板張り。(だったかな?)
奥に一尺くらいで段になっててバックにはTHE・劇場って感じの真っ赤なカーテンがかけられている。金色の綱で半分まとめられている。
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開演時間とともにシームレスに始まった。
舞台上にスタッフが上がり雑誌を円形に配置、演出に確認を取りながら舞台を整えていく。
キャストが2人出てくる。芝居が始まる。
刑事役の二人は現場検証中。この部屋で死んだ女が出演していた芝居のパンフを見つける。
芝居の関係者に話を聞きに行く二人。
各関係者からの証言を追う形で、芝居の稽古初日に遡り女の死の原因を探っていく。
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すごくフラットに、聞こえが悪いかもしれないけれど軽く観れた。
というのも、メインの物語は「劇中劇中劇」というか多層構造になっていて、キャラクターたちがすごく遠くに感じられたからだと思う。
生の芝居を観ているはずだが感覚的にはテレビでドラマを観ているのに近かったかもしれない。
そのおかげで(?)2時間の長丁場だったけどもストレスなく観続けることができた。
軽かったとはいっても俳優のエネルギーが届いていなかったわけではけしてなく、2.3枚のフィルターを通してでもしっかり引き付けてくれたと思う。
途中俳優との距離が遠いなと感じたけれど、芝居の距離感は調整していたのかな?
芝居の階層が変わる度に伝わる圧も変化していたような気がする。
俳優さんたちがしっかり訓練されているんだなというのが感じられてよかった。
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お話の、といっても劇中劇中劇の、の感想としては、
演劇やろうなんていう人間は自分の承認欲やら顕示欲とそのリスクみたなものとは永遠に戦い続けなければいけないんだろうな。とか、
なんだかんだわがままな奴だけが生き残るんだろうな。とか。
作り手側にいる僕自身無視できないテーマなんだろうな、と子供みたいなことを思ってました。
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内容とは関係ないけれど、僕の観た回は客席はご年配の方が多いような気がしました。
芝居の入りと終わりがシームレスすぎて「え、もう始まってる?」とか「もう終わった?」ってお隣と話してるのがなんだか面白かった。
いつもは観劇中に話なんかされたらカチンとくるもんですが、今回はなんだか微笑ましく思ってしまった。
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個人的にも勉強になるとても良い観劇でした。
プロデューサーの子と亡くなった子が特に好きでした。