作/演出 幸田真洋
会場:JR九州ホール
チケット料金:2,500~ 2,000円 ※配信チケット1500円
上演時間:約45分
公演の説明
1プログラムにつき2劇団がそれぞれ中編作品を競演する演劇フェスティバル。
観客が観劇後に作品名を投票し、作品のタイトルを決める観客参画型の演劇祭です。
二日目、11:00の回。ふた団体目。
1999年結成の福岡の劇団 HallBrothers の作品。主宰・幸田真洋が描く、ねたみ・そねみ・ひがみ をテーマにした会話劇を上演。
あらすじ
とあるスーパーのバックヤードでの会話劇。親の介護問題を主軸に人間の「クソ」な部分に触れていく。
キャスト: カホ 山中祐里
ホシハラ 萩原あや
リョウマ 唐島経祐
ツムギ 宮崎楓
以下:雑感
見ごたえしっかり。中身の詰まった会話劇だったなぁという印象。
親・老人の介護にかかわる人々の話。主に愚痴。
ちょうど金曜ドラマ「俺の家の話」を見ていてこちらでも親の介護の話に触れていたので私的には結構タイムリー。
誰しもに起こりうることですし、観ながら真剣に考えてしまいますね。
願わくばする側・される側双方にが納得する形にできたらとは思いますが、難しいでしょうか。
舞台はスーパーのバックヤード。段ボールがいくつか。大きな段ボールが机替わり。囲んで3つの丸パイプ椅子。
その他はなんもなし。
床も板のまんま。出ハケはカミシモのみ。
シンプルなシチュエーション。舞台には大きな変化はなし。会話のみの芝居。
季節ごとに暗転してシーンが進んでく。俳優さんの衣装も季節ごとに多少変化。
*****
スーパーのバックヤードでの男女の会話。男(リョウマ)はバイトリーダー。女性(カホ)はなにかミスしたようで落ち込んでいる。シフト関係かな。
リョウマはカホに気があるようで下心ありありな感じ。
話の最中に同僚のツムギが入ってくる。ツムギはスーパー以外に特養(特別養護老人ホーム)で老人の介護をしているようだ。
要介護者の態度や暴力に辟易していて、結構乱暴な口調で愚痴をこぼしている。
三人で話しているとベテランパートのホシハラがやってくる。親の介護のためにパートを辞めたいという。
カホは介護なんかで仕事を辞めることない。あなたの人生はどうなるんですかと言うが、ホシハラは親の面倒は自分が看るべきだと言う。
カホ自身も不仲だった父が最近脳梗塞で倒れ、介護をすることに強い拒否感を持っている。
三者三様に「介護」というものに対してのスタンスがある中、介護に関わらないポジションにいるリョウマの意見を交えながら舞台は進行していく。
*****
HallBrothersお得意の終始現実的な(?)、陰鬱な空気。正直全然楽しくはない。
私個人的には演劇の娯楽的側面を強く信仰しているので、ぶっちゃけまったく好みのジャンルではないのだが。
それでも聞かせてくれる会話の自然さで最後まで集中して見れました。
好きな話ではないが見ごたえはバッチリ。良い観劇でした。
「介護」に対してのそれぞれのスタンス。それが作中の時間経過によってさまざまに変化していく。
序盤でツムギが始めたばかりの特養の仕事の愚痴をこぼしている時にリョウマが言った
「まずは三か月、その後一年と続けてやっと一人前になるんだ」
というセリフ。
リョウマはバイトに関してのアドバイスとして言っていたのが、これが上記の三人の姿勢の変化にもかかっていたようです。
さすがの構成力。
最終的には各々いくらか前向きに介護に向き合えるようになって終幕。
別に健康状態が劇的に良くなったりとかはなく、物語というかあくまで現実の延長、という感じ。
*****
作中主に語られるのは、
「人間は8割クソ」
ということ。
劇団ホームページにもありますが、劇団さんのテーマがねたみ・そねみ・ひがみを描くということらしく。
今回は要介護者の態度の悪さというのが主な項目でした。
介護してる側からすると素直に言うこと聞いて感謝しろよというのもわかりますが、
介護される側も「他人に頼らなければならない」というのは当人の尊厳にも関わってくるし。
素直に受け入れるのもままならんということもあるのでしょう。
なかなか難しい問題ですよね。
しかし作者さん当人にも経験があるんですかね。
以前観劇した時も思いましたが負の感情の解像度高いなぁと感じます。
人間をよくみていらっしゃるんだろうな。
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会話も自然、テーマもわかりやすくて良く出来た作品だったなと思いました。
季節の移り変わりでのシーン切り替えが何回かあったんですが、そのための暗転が多かったです。
その暗転も着替えのために一個一個が長くて集中途切れることが結構ありました。
作中ただでさえ会話しかなくなにも劇的な事が起きないので、最後まで観るのにエネルギーがいりました。疲れました。
着替えた衣装も特に見てて楽しいものでもないので、正直その暗転必要?って感じです。暗転警察です私は。
まぁここはエンタメ演劇ではないが故の作りの違いということなんでしょう。私の好みではなかったというだけで。
冒頭にも書きましたが総じて見ごたえバッチリの、味の濃い会話劇でした。
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普段あまり選ばないジャンルに出会えるのというのも演劇祭のいいところですよね。
いい出会いでした。
配信チケットを全日程買っているので残りの5本も楽しみです。