会場:北九州芸術劇場小劇場
チケット料金:1.000~1.800円
上演時間:各公演20分×5作品
公演の説明(芸術劇場HPより)
九州各地の劇団が集結する熱き短編演劇バトル!!
九州各地の劇団による短編演劇バトルを今年も開催!
昨年の中止を経て1年ぶりの想いを胸に、再び同じ顔触れが参戦。
「上演時間は20分以内」「登場人物は3人まで」というルールのもと短編作品を上演し、競い合います。
前回初優勝を果たした劇団言魂(北九州)は王者の座を守り抜くことができるのか!?
優秀作品を決めるのは、審査員と観客のみなさんの投票。
九州の演劇人たちの熱いバトルにご期待ください!
参加団体
演劇集団宇宙水槽(鹿児島)
劇団小倉演劇部(北九州)
劇団言魂(北九州)
万能グローブ ガラパゴスダイナモス(福岡)
若宮計画(北九州)
審査員
ノゾエ征爾(脚本家・演出家・俳優/劇団はえぎわ主宰)
大堀久美子(編集者・ライター)
以下:雑感
面白かった~。5団体それぞれが魅力バッチリ。今年も見応え抜群の企画でした。
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まずは参加団体紹介と前回チャンピオンからのトロフィー返還。
このトロフィー、初回はただのトロフィーだったらしいんですけど、
なんか毎年「その年のチャンピオンがなんか付け足す」ルールがあるらしく。今はなんか城が付いてたりして小さいジオラマみたいになってんですね。(何故)
んで、今年はどうなるのかなーっていうのも劇トツの楽しみの一つなわけですが
昨年の優勝団体の劇団言魂さんが何を足してきたのかというと
車輪つけてラジコンにしてきやがった。
舞台の真ん中でシャーって動くトロフィー。すごいシュールでした。これは予想外すぎる。
初っ端から盤外でひと笑いもらいました。
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ここからは各団体の演目の感想を。
まずは演劇集団宇宙水槽(鹿児島)の「MEMORY」。
絵面はすごくキレイだった。わかりやすく演劇的というか・・・
幕が開いた瞬間、真っ白い空間に女性が一人佇んでいる。パッと目を引く引力を感じました。
衣装は全体的に”無印良品”みたいなイメージ。
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舞台は、裸の平台8枚分の正方形のアクティング。その中央に箱馬の椅子があり、白い服を着た女性が辞書を片手に座っている。
そこに郵便屋から「先生」に宛てた手紙が届く。肝心の「先生」が不在だったので帰ろうとするも、彼女に引き止められ5分間だけ話をすることに。
彼女もいなくなった「先生」を待ち続けているという。雑談を続ける二人だったが、きっかり5分で彼女は眠ってしまう。
そして翌日再び出会った彼女は昨日話したこと、出会ったことを忘れてしまっていた。
思い出の意味を探す彼女との「記憶」を巡る5分間のお話。
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よく言えばオーソドックス。悪く言えばベタ。
”演劇”って感じの演劇。セリフもその吐き方も芝居がかっていて、習いたての学生さんが作ってきたような印象です。学生の時よく見た感じ。
物語はきれいな世界観。
彼女は実は人間そっくりのロボットで、過去の記憶が容量いっぱいになってて現在では一日に5分間しか稼働できなくなっている。そのうえ新たに情報を記憶することもできない。
そんな彼女の記憶は2001年で止まっていて、すでに亡くなった「先生」を待ち続けている。
郵便屋は彼女を憂いてたくさん交流をするんだけど、具体的に現状をどうこう解決する~とかではなくて、
美しい、過ぎ去った思い出に想いを馳せる。切ない。みたいな。
空気感は好きでしたが、役者さんや演出がよくも悪くも普通でした。
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2本目は今回初参戦、初優勝。
万能グローブ ガラパゴスダイナモス(福岡)の「僕は笑わせることしかできない」
ぐうの音も出ないくらい面白い!納得の優勝です。
めっちゃくちゃ笑わせてもらいました。
前回題名のない演劇祭の時もそうでしたが、番外の短編の時の方が本公演にまして笑いのキレがいいような気がします。
抜群に面白かったです。
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舞台は装置0の素舞台。
真っ黒なステージのセンターに男が二人背を向けて座っている。
母の葬儀のために前夜。語り合う兄弟の前に「笑いの神」が現れて・・・
兄弟の笑いと涙のドタバタコメディ。
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いや~~何回も言っちゃいますけど、笑った~~~。
脚本の川口さんはギャグセンスが高い!めちゃ好みです。
ご本人は演劇であまり褒められたことがないとおっしゃってましたが本当でしょうか。信じられない。
TRFはガンガンかけてなんぼでしょ。とか好きでした。
キャストの御三方の掛け合いも抜群。
私だけかもしれませんが、袖破れてパンツ丸出しになった後の空気感、「ピュ〜と吹くジャガー」感ありました。
あのわやくちゃなのに疲労感の溜息だけ聞こえてくる、あの、なんとも言えない空気。
ガラパさんって“空気“作るの上手ですよね。
終わってからTwitterで知ったんですが、弟役の古賀さんはほんとにキングオブコントに挑戦されるんですね。すごい当て書き。
そんなガラパの古賀駿作さんは来月甘棠館show劇場でコントをされるとか。
この芝居を観たあとだと殊更期待してしまいます。
石田から古賀まで 単独ライブ「立直」
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兄弟それぞれの言えなかったお互いに対する不満とか羨望とか。エモいですね〜〜。
見終わったあとだとラノベっぽいタイトルにも切実な思いを感じられて尚よきです。
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講評でも仰ってましたが
中盤まで観た感じだと、「確かに笑えるけどこのまま終わったらコントだな」と若干不安になったんですが
笑いだけで終わらないのは流石。
“笑いの神が葬式に現れる“っていうぶっ飛んだ設定にも現代の社会情勢を絡めてとても上手かった。
そこから兄弟の確執と和解にシフトしていって。単なるお笑いで終わらない濃い20分でした。
観客票ダントツだったのもうなづけます。
最近新劇団員も大量に入り、個々の団員さんもそれぞれ活躍の幅が拡がり(友田さんとか)劇トツ初出場&初優勝。四月上演権も獲得して
結成15年を経てますますブーストがかかるガラパゴスダイナモス。4月の公演も期待大ですね。
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5演目あるので記事分けます。あと3公演は後日。