作/演出:ヨウ手嶋
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:3,500~4,000円
上演時間:約105分
公演の説明
福岡のアイドル発の劇団・劇団トキヲイキルのメンバー、岸田麻佑の完全プロデュース企画。
オーディションで集めた”トキヲイキル以外のメンバー”を中心とした公演となっている。
あらすじ
「はなさき保育園」の保育士として三年目を迎える風見飛鳥。
持ち前のダンススキルを活かせる職業として選んだ保育士であったが、その仕事内容は思いのほかハードである。
協調性のない園児の保育や自己肯定感の低い新任の教育、イケメン父兄に色目を使う先輩たちの対立の仲裁などなど・・・
飛鳥は毎日めまぐるしくも、やり甲斐のある仕事に従事するも、プロダンサーとしての道を諦めきれない思いも心密かに持ち合わせていた。
そんなある日、園内で窃盗事件が勃発。「はなさき保育園」は不穏な空気に覆われてしまう。
キャスト
悠乃 井上真理奈 馬場阿紀子 仲藤涼花 脇野紗衣 美澄衿佳
原直子 愛加里 今村莉乃 岡本夏鈴 小田樹 瀬良美夢 ツジカオルコ 辻本奈那 津山愛理 永尾花菜子
岸田麻佑 足立万実 太田江莉奈 神田菜々美 桜愛美 田野江莉香 月沢友理香 鶴田りさ 宮本亜美 山口美咲
以下:雑感
微妙でした。典型的な「お仕事用演劇」って感じ。
多分作者さんは、色々オーダーが重なったんだろうなぁと言うのが観て取れました。
船頭が多かったのかな。企画が大きくなるとそんなこともありますよね。アイドル芝居だし。
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舞台はぽんプラザホール。客席はせり出しの108席でほぼ満席。全公演このくらいかしら。集客力はさすが。キャストの数を鑑みれば当然か?
しかし舞台セットは安っぽい。福岡で3500とって客席数これだけあってこれ?と言う感じ。入場してびっくりしてしまった。
どこに予算使ってるんだろう。キャストさんの出演料かしら。人数多いもんね。
出ハケ口はカミシモに二つずつと、センターから左右に分かれての二つ。計六つ。
カミシモにクリーム色のパネルが2枚ずつ。
センター奥には、なんだろう。ホームセンターで売ってそうな茶色い衝立が二つ。
大きいモノはそれくらいで、それぞれに保育園っぽい装飾がしてある。
園児たちのお絵かきの似顔絵や季節の飾りなど。作中は秋なのかな?
紅葉や栗のイラストが貼ってあった。
しかしなんと言っても1番安かったのは「はなさき保育園」の看板。
小さい!
気付くのに時間かかってしまった。いや、別に小さいのはいいんですけど余白が多すぎて手抜き感が・・・。演劇部の学内公演を彷彿とさせます。
これならいっそ何もない平舞台でもよかったのでは。
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結構ドロドロなストーリーだった。こんな保育園あったら絶対行きたくないな。
主人公も含めて子供のこと考えてるキャラクターが一人もいなかった。
さすがに自分より子供を優先しろとは思いませんが、作中で保育園の仕事に誇りを持って臨んでいるような人物が見当たらなかった。
みんな夢、金、仕事、男、不倫、やりがい、見栄とかプライドとかいじめとか・・・
保育園がただの舞台設定でしかなく、それに根ざしたテーマが感じられなかったのはモヤモヤしました。
それも含めてタイトル回収、全員「ほぼ、コドモ」ということだったんでしょうか。
だとしたら上手いけども。
だとしたら上手いな。
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結果オチとしては、暗かった過去にもめげずに夢を追うことの素晴らしさ。がテーマの一つではあったんでしょうが
設定の背景とかも気になってしまった。
保育士になって三年。今いくつなんでしょう彼女ら。保育士って最速で何歳からなれるもの?
仮に20歳からなったしても、作中23歳。ダンサーとしてはかなり遅いのでは。
親友としても、ラストのあのやりとりができるほどの応援エネルギーを持ち続けられるものでしょうか。ちょっとピンとこなかった。
一箇所気になるといけないですね。どうにもやりたい設定(ダンサーの夢とか)のために無視した部分が結構ありそう。
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不倫した先生たちが冬には仲直りしていたというのもなかなか嘘くさい。
あのボロカスな感じで場面が終わったのにその短期間では無理でしょう。下手したら二人とも訴えられてて絶賛協議中だと思う。「女」はそんな簡単に許したりしない。
せめてお互い許し合える“兆し”のようなものを作中で示してくれていたら納得できたかもしれないが、拡げた風呂敷を回収できずに情報だけで強引に片付けただけのようにも思えた。
何より作中で最初に起きた、あらすじにも書いてある窃盗事件がついでのように処理されてしまって肩透かしを食らった。
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今回の演劇では、「ダンサーの夢」「不倫」「窃盗事件」の大きな3つの事件が起きていたわけだが、それらは作中では絡み合うことはなくそれぞれ独立して解決されてしまった。(インスタとかでそれとなく言いたいことは繋がっていたのかもしれないけれど・・・)
そのせいか結果的に一つ一つの問題の重大さも解決のインパクトも薄まってしまったし、カタルシスもなかった。
薄ぼんやりと通してのテーマは感じとれるものの「最終的にはなんの話だったんだ?」という感想。
山場が単発で飛んできたので眠くなる部分も多々。
一つの大きな事件を解決して夢に向かってくれたらまた違う印象を持ったんでしょうか。
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キャストの皆さんの演技は、
芝居観たことない人のための「演劇っぽい演技」って感じだった。作風としてはままあるものだけど私の好みではなかったな。
前回のウルトラマンションとのコラボの時は全然感じなかったんですが、毎回変えてきてるのかしら。今回がプロデュース公演だから?
しかし特に「泣き」の演技が押し付けがましく感じて嫌だったな・・・。笑いのところではうまく作用してたと思うんですが。
初舞台の方も多くいたようなのでそのためでしょうか。
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会場の笑いは演劇が、というより
推しが可愛い格好して楽しそうにしてるのが楽しい。
みたいな笑いが多かったような。いわゆるファンサービス的な。作り手の方も気にするところが多そうで難しい案件だったんではないかなと、余計な気を回してしまいました。
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総じてなんだかモヤモヤの残る観劇でした。
しかし今回の企画はトキヲイキルメンバーの岸田さんのプロデュース公演。キャストの数も多くて顔ぶれも新しく、お祭り感がワクワクする企画でした。
また舞台上で観たい!と思わせてくれる方も何人もいました。
ここからまた何か楽しいことに繋がっていく予感を感じさせてくれます。
正直パワーのある団体(会社?)さんだと思うので
このコロナ禍の中でも、負けずにエンタメを引っ張っていってほしいです。