観劇・感想

観劇感想:くまもと演タメ学園生徒会 修学旅行 「おっさんとラブ」

会場:LIV LABO福岡
チケット料金:3.000~3.500円
上演時間:約110分

公演の説明
熊本の演劇団体、「くまもと演タメ学園生徒会」の福岡公演。
3年前、生徒会の前身えりこプロデュースで上演した公演の再演。
福岡のベテラン俳優が多数出演している。

団体ホームページ

あらすじ
「全おっさんが悔し泣き?!」
4人の悩めるアラサー。
それぞれの人生で悩みながら、戸惑いながら生きている。
運命の恋を探してみるものの、好きになるのはおっさんばかり。
これでいいのか、本当にいいのか?
まっすぐなんて、生きられない。
全てのアラサーとおっさんに送る応援物語……!

キャスト
木村健二(飛ぶ劇場)
幸田真洋(劇団HallBrothers)
酒井絵莉子(演劇ユニット「」)
田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)
野田敢(R-Jenerations/ボーイズB)
藤原美津季(ACALINO PRO)
藤本彩花(with a clink)
ますながあすか(たんじぇりんね)※映像出演
松尾佳美
村上差斗志(FOURTEEN PLUS 14+)

以下:雑感

楽しかった。
しかし常に「もうちょっと…」がつきまとう110分間でした。

*****

舞台は福岡大名にあるフリースペース「Liv Labo(りぶらぼ)」。
間口は多分2〜3間くらい。客席は20席ほどで、おおよそ甘棠館show劇場の半分くらいの印象。

客席後方にはキッチンなどもあって演劇をはじめライブなど様々な催しに使われてるようです。
とても感じのいいスペース。

舞台奥、ホリ幕のとこに大きな白布が立っていて、
シモ手側が四角く切り取られて窓のようになっている。芝居の中で顔を覗かせたり。
水色の絵の具?で軽く汚してあったり、布のトップには紫の布で飾ってある。

カミ手シモ手のハケ口には緑のカーテン。
そこからパイプ椅子を持って出たり入ったりして場転していく抽象舞台でした。

小屋の元々の雰囲気と相まってカワイイ感じ。

*****
まず勘違いしてしまっていたのが、おっさんたちの恋模様がメインだと思っていたんですが、

“おっさんと恋するアラサー女性たち”の恋がメインでした。

始まってすぐ「あら?」って思ったんですが、あらすじに書いてありましたね。迂闊。
タイトルが「おっさんずラブ」のパロっぽかったから、九州の演劇でBLやるのかと思って期待してしまった。

普通のラブコメだった。

*****
アラサー女子とおっさんのペア4組の恋模様悲喜こもごも。

独身アラサーになって育ってしまった見栄や自尊心から素直になれないもどかしさ。
人ととの付き合いに打算や計算がつきまとう。

そんな中ふとした時に訪れる「キュン」とくる瞬間。振り回したり振り回されたりする男女の恋のお話。

自分にもあなたにも誰にでも当てはまる。かもしれない、普遍的で特別な物語。

*****

あんまり演劇えんげきしていない演技。リアリティのある空気感が好きでした。

劇中映像やミュージカルシーンなどに作者さんのこだわり、というか「強み」を感じました。

歌も全部オリジナル?すごい。一曲一曲クオリティも高いしミュージカル風演出も楽しい。
ただ歌ってるお二人の声量も結構バラバラで聞き辛い部分も。

演出としても歌を唄うのは田坂哲郎さんのペアのみで偏りが見られた。

とんがった演出がひと組だけで相対的に他の時間がのっぺり感じてしまった。
そのせいかただでさえ長いランタイムも余計長く思えてちょっとしんどかったです。

*****
噛みすぎ。

私の見た回だけかしら。結構な回数台詞の詰まりがあった。

110分間の、のっぺりとした長丁場。
後半ただでさえ疲弊しているところに何度もブレーキをかけられて正直しんどかった。

*****
脚本や台詞回しのレベルが高いなぁと思いました。

「いるいるこんなおっさん」のおっさんあるあるが結構リアルで見ていて楽しい。
実際触れ合ってきたんでしょうか。
軽率に肩とか触ってきたりとかマジで嫌ですよね。

ヘイトが溜まりそうな「店長」とかを抽象的なキャラに落としたのは上手かったなと思いました。

感情の機微というか、変化の演技のディテールが凝っていて

終わってみればタルいところもあったけど目が離せなかった。
映像で作っても見応えがありそうだなぁ。

おじさんたちのカワイイところもアラサーたちの滑稽なところも際立っていて面白かったです。

*****

緊急事態宣言発出中の福岡でこうして公演を打ってくれたのはありがたい。

大きな移動もしずらくなった昨今、県外の演劇を観られる機会はとても嬉しい。
また来て欲しいし、次はホームまで観に行きたいですね。

大手を振って観劇し合える日々が戻りますように。