原作 宮沢賢治
作/演出:中嶋さと
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:1.000~2.000円
上演時間:約60分
公演の説明
福岡の劇団“FOURTEEN PLUS 14+”の2021年二作連続番外公演 第一弾。
宮沢賢治の名作「 注文の多い料理店 」を原作とした演劇。
“原作の”あらすじ
東京から来た二人の若い紳士が、趣味の狩猟をするために山に来ています。
しかしだんだん山奥へ入って行くと、連れてきた犬は死んでしまいます。
心細くなった二人は下山しようとしますが、途中にあった西洋料理店を目にして入ることにします。
しかしその店は、化け物の山猫がオーナーで、客を料理する怖ろしい料理店でした。
二人の紳士は恐れおののきますが、逃げようとしても扉が開きません。
そこへ死んだはずの犬が勢いよく入ってきて、奥の扉を突き破ります。
すると店は消えて彼らは助かりますが、恐怖にゆがんだその顔は、東京に帰っても無くなることはなかたのです。
キャスト
中嶋さと
ともなが舞
岡田涼生
以下:雑感
つまらない寄りの微妙。舞台装置の雰囲気は素敵だったが始まってみたら雰囲気だけでしたね。
名作をこねくり回してわかりにくくなった印象。
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ぽんプラザホールの一席飛ばしの108席せり出し。54席くらいのほぼ満席。
舞台はリノリウム張りの真っ黒な空間。奥の大黒幕も下げてあり、カミシモの垂れ幕は無し。
見た目には結構開けて見える。
舞台上、シモ手に苔?岩?の塊が山のようになっていて葉っぱで覆ってある。のかな?
その上には布がテントのように張ってあってオレンジの電球が ぽん。と一つ。
まるで山の上から月が覗いているような感覚。ファンタジックで素敵。
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灯りが付いて見たらゴミ山だった。
普通に箱馬とかの積み重ねで葉っぱとかで装飾してるのかと思ったら新聞紙とかだった。
化かされた気分…。良い。
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雰囲気芝居。いろんな要素が中途半端でノれなかった。
笑えもしないし、怖くもならない。遠くでやってる学芸会を見てるような心理的距離感。
舞台上だけで楽しんでるんだろうなぁという風に見えました。終始すごい冷めて観てしまった。
大筋はタイトル通り「注文の多い料理店」をなぞっているんですが部分部分に変更点有り。
コンテンポラリーな動きや、歌やパントマイムなどを折りまぜながら進行していくわけなんですが
これがとにかくキレがない。演出にもキレがない。
半端な身体性を見せられ続けるとツライんだなと新たに学びました。
おじさんおばさんの稼働限界やしんどさを感じていたたまれなかったです。
若いころのエネルギーの貯金で動いている感じ。特にこのためになにか鍛えたとかはなさそう。
“なさそう”っていうのがわかるのも悲しい。
男性俳優のぶよぶよのお腹がチラ見えするのも見苦しかった。
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オープニングやシーンの切り替わりごとの動きやダンスで空間を埋め切れていない。
シモ手半分舞台装置で埋まっていたが、それでも空間はすごく広く、芝居はこじんまりとして感じた。
エリアの区切り方もあるのだろうか。俳優それぞれが自分の身体より外に意識が向いていないような感じ。自意識が強かった。それもノレなかった一因だろうか。
同じ劇場で観た「一人芝居フェス」の時はすごく”満ちて”いたような気もするし、場所の問題ではなさそう。三人もいたし。
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最後のオチ。
反省しない、懲りない人間の愚かさや滑稽さ描きたかったのでしょうか?
ふんわりわかったようなわからんような感じでしたが、
原作の恐ろしさや透き通った読後感はまるで感じられなかった。改悪と言えるかと。
著作権切れてるとはいえ脱線しすぎなのでは?原作に対するリスペクトも中途半端な気がして、あまり気分はよくなかったです。
しかし全体を通しては、
物語の知名度に依存していて、「今起きてる物話」をわかってもらうとか楽しんでもらうみたいな感覚は薄かったように思いました。
全然原作知らない人にはどう見えていたんだろう。逆に知ってたから楽しめなかったのかしら。
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14+。 2月の演劇フェスで観劇したときは面白く感じたんですが今回は微妙でしたね。
次の番外公演に期待します。