Bグループ一本目「想ひ出は虚を累ねて花披く」
作:生田晃二 演出:川口大樹
上演時間:約30分
あらすじ
20年ぶりの同窓会でBARに集まった3人の男女。
本音を隠し、中身があるようで無い会話を繰り広げ、20年前の何かを取り戻そう、人生の花を再度咲かそうと励むが…
キャスト
寺崎索(劇団ショーマンシップ) 濱野貴将(劇団 ZIG.ZAG.BITE) 森唯美(劇団言魂) 石井実可子(万能グローブガラパゴスダイナモス) 木下りさ(劇団四灯星)
以下:雑感
説教臭い脚本だったなぁ。あんなに説明口調で思考信条話すようなことないでしょう。
芝居も”そういう作り”と納得できればよかったんですが、上滑りしてる感じでノリ切れなかった。
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舞台はどこかのバー。カミ手にテーブル席。シモ手にバーカウンター。
大人な感じのバーの雰囲気。
物語は開店準備中のバー。女性店員二人が掃除しながら話している。
本日は貸し切り営業で、店の馴染み客が3人で同窓会をやるらしい。
しかしマスターは3人のうちの一人とただならぬ関係を持っていたり、一人は二人の仲を取り持とうとしていたり、
一人は女性店員を狙っていたり、色んな矢印が5人の間を飛び交う。
大人ならでは(?)の見栄っぱりとかっこつけが行きかう一晩の話。
独りよがりにならずに素直にならないと人とは繋がり合えないよ。
みたいな。
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物語の内容もそうでしたが、上っ面な演劇だったような気がします。
カッコつけた気取った言い回しを揶揄する感じのテイストだったんですが、振り切れてきれてなかったような。
リアルさとわざとらしさの塩梅があいまいで笑うにしても笑いきれなかった。
自然な”ありそうな”感じでいくならもっとナチュラルな言葉選びや言い方をしてほしかったし、
気取るならもっとわざとらしく、いっそ漫画っぽくしてもらった方が笑えたし、最後の本音も響いたかも。
小道具のグラスのオモチャ感もよくなかった。
装置のシックさとのミスマッチが余計どちらにシフトして観たらいいのかわからなくさせてしまった気がする。
三人の中で濱野貴将さんの見た目と設定年齢の乖離がちょっと受け入れがたいレベルだったのもきつかったかな。
どうひいきに見ても30代前半。対して他お二人が年齢相応のビジュアルだったのも、なんだか大人と子供の戯れみたいに見えてしまった。
木下りささんの酔っ払い演技がクセェ~~~~。
どっち方面にいきたいんだろう。芝居全体の方向性がわからず、ノリ切れない時間でした。
Bグループ二本目「半ゴ人」
作:中嶋さと 演出:椎木樹人
上演時間:約30分
あらすじ
とし子は握力が1トンある。
両親が、ヒイヒイヒイおじいちゃんはゴリラだったんだよ。だから、とし子の握力がそんなに強いんだ、って言ってた。
高校を卒業し、とし子は勤務先で出会った、岡本君に恋をした。初デートの日、岡本君は、そっと、とし子を抱き寄せた。
思わず、とし子も岡本君をぎゅっと抱きしめた。
そしたらボキッ!と音がして、岡本君の上半身が、半分以上砕けてしまった。
数年後、液状化現象によって地盤が崩れ、街は大混乱になった。
とし子は岡本君を救う為、現場へ向かう!
キャスト
ともなが舞(FOURTEEN PLUS 14+) 脇内圭介(飛ぶ劇場) 立花恭平 野間銀智(万能グローブガラパゴスダイナモス) トクドメハルナ(FOURTEEN PLUS 14+) 山口泰弘(劇団ショーマンシップ)
以下:雑感
すんごいパワー演劇だった。細けぇ事は良いんだよと言わんばかりの勢い全振りの強引なストーリー。
4作品の中では一番好きでした。14+の中嶋さん、こんなテイストも書けるなんて意外でした。面白かったです。
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舞台はここまでの3作品と違い、装置系が一切ない素舞台。
全作共通の書き割りと小上がりのみ。
物語はいつかのどこかの日本。とある動物園の飼育員のとし子。握力が1トンある。タイトルとあらすじ通り。
自分の強大なパワーを制御できずに悩みながら生活するとし子の青春と葛藤の日々。
思いを寄せる青木くんとの仲が深まったのも束の間、大規模地盤沈下によって大災害が起きてしまう。
半分ゴリラの血を引く半ゴ人・とし子は街を、青木くんを守れるのか!?
みたいな。
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すごい破茶滅茶展開と強引なシュールギャグが抜群でした。
主演のとし子(野間銀智さん)と青木くん(立花恭平さん)はじめキャスト陣のはっちゃけぶりも見事。
いやぁみんなのことお好きになっちゃいますね。
多少詰め込み感はあったものの、全然気にならないくらいの勢いとパワーでした。
沢山笑わせてもらいました。
お祭りのトリにふさわしい花火だったのではないでしょうか。1番楽しい30分でした。