映画・感想

映画感想:「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」

2022年製作/アメリカ
原題:Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore
配給:ワーナー・ブラザース映画

あらすじ
ハリー・ポッター魔法ワールド最大の謎、ダンブルドアの秘密が明かされる!
魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、ダンブルドア先生や魔法使いの仲間たち、なんと人間と寄せ集めのデコボコチームを結成!
史上最悪の黒い魔法使い、グリンデルバルトに立ち向かう!
そして明かされる、ダンブルドアと彼の一族に隠された誰も知らない秘密とは─!?
公式サイトより

以下、雑感

微妙でした。やはり「3」は落ちるのか。

待ちに待った「ファンタビ」第3作。前回の謎に満ちた引きから期待度高まりまくりの今回。

さてどんなもんかと…、

いやなんか全然求めてた感じと違ったというか。トピックが多すぎて全てが矮小化していました。

というかダンブルドアVSグリンデルバルトの一件を舞台にクリーデンス周りのことがファンタビ通しての主題で、ジェイコブ×クイニー(マグル×魔法使い)のことなどなどをニュートと動物たちが解決する物語だと思ってましたが今作ではそれらを無理やり混ぜ込んでしまっていて結果全てが薄かった。

しかしハリポタワールドや俳優陣は素敵すぎるくらい素敵でした。あの中にあのキャスト陣が生きてるというだけで観れる。

でももっと滅茶苦茶盛り上がれたんじゃなかろうかと、期待してしまっていた感です。

*****

物語は魔法動物の一種”麒麟”の出産にニュートが立ち会うところから。

麒麟は魔法界でも伝説の生き物で、人間の心を見抜くことが出来るという。真に純粋で善良な人間にはお辞儀で礼を示し、古来より魔法界では麒麟のお辞儀によって時の指導者を選んでいたという。

そんな麒麟を保護しに来たニュートだったが、突如襲来したクリーデンスたちによって親麒麟は殺され、仔麒麟は奪われてしまう。

意気消沈するニュートだったが、麒麟はなんと双子だった。生き残った片割れを保護し連れ帰ることにしたニュート。

グリンデルバルトは魔法界を牛耳るため、国際魔法連盟の次期選挙に立候補しようとしていた。当選のために古から伝わる麒麟の儀式を利用しようとしていたのだった。

打倒グリンデルバルトのためダンブルドアの下に集まったニュートたち6人の魔法使い(一人マグル)。

未来視を持つというグリンデルバルトを倒すため、寄せ集めチームによる行き当たりばったりの作戦が始まった。

頼みのダンブルドアは血の誓いのせいでグリンデルバルトとは戦えないしどうしよう。6人は無事魔法界を守れるのか?

みたいな。

*****

いやーなんか描くとこが多すぎたというか。副題の「ダンブルドアの秘密」。あんなにさらっと流してしまうとは。

みんなそこに一番注目してたと思うんですが全然尺取られてなかったですね。

確かにクリーデンスがアルバスの弟。ではなく、アバーフォースの息子だった!(つまりアルバスの甥)っていうのはビックリした。

ていうか結構マジでおぉっ!って思ったし、「1」から描いてきたクリーデンスの出生や苦悩に関わる滅茶苦茶大事なトピックだったと思うんですけど、すごいサッと片付いちゃいましたね…。

なんであんな配分にしたのか…。観てるこっちも感動しにくかったし全然盛り上がれなかったな…。

敵役だけど結構応援してたんですよクリーデンス。ここは大きな、大きすぎる残念ポイントでした。

「ダンブルドアの秘密」がアルバス・ダンブルドアとは限らないっていうミスリードには素直に感心しました。

なーーんか脚本の構成にトラブった感というか、なんか色々練り直したんじゃないかなぁという事情を勘ぐってしまいます。

そりゃラスボス俳優交代とか大事件ですし、やむを得ないことかもしれませんが。(結果最高でしたが)気にしすぎ?

*****

「1」「2」と見てきてなんとなく。この事件のクリア条件って「ダンブルドアを戦えるようにする」ってことかと思ってまして。そのために血の誓いを破壊するという工程にニュートたちが絡んできて大活躍してくれるのかなと期待しておりました。

史実では“アルバス・ダンブルドアがグリンデルバルトを打倒した”とだけあったので、歴史の影ではこんな魔法使いたちの活躍があったんだよ、というのが見たかった。まぁ今作もそういうテイストって言えばそうなんですけど…

だというのにそのめちゃくちゃ重要であろう「誓いの破壊」が偶然て!偶然て!!

正直そこが一番ゲンナリしました。

私がハリー。ポッターシリーズを好きな理由の一つに“ロジカルさ”があるんですけれど、(ツッコミどころがあるのはわかっております)分霊箱、死の秘宝、予言、創設者たちのアイテムやらなんやら、そして愛。ヴォルデモート打倒に至る道筋が勢いだけでない理にかなった物で、それを巡るハリーたちの冒険や思いにめちゃくちゃワクワクしたもんです。偶然の助けもあったけれど(マルフォイのとことか)全部狙ってのことだったからダンブルドアの底知れなさとかスネイプの執念とも言える愛が際立ったのかなとか。

んなのに一番キーになるところが「なんかわからんけど壊れた」て!なんやねんそれ!ダンブルドアとグリンデルバルトの絆、つまりはこの事件の根っこに関わる部分なのにあんな雑に片付けるとは。ガッカリすぎる。ちゃんと意志を持って壊せよ!!

なんかほったらかされてんなとは思ってましたよ。でもそんな処理はないでしょう

。次回作で補完されるのかな。J・K・ローリングが書いてたら絶対そんなことなかったと思うんですよね…

*****

雑と言えばニュートがテセウスを助けに監獄に行ったくだり。

あそこいらなくない?

あんなに本筋に絡んでこないとは思わなかった。ネクタイがポートキーだった。だからなに?って感じ。

ファンタスティック・“ビースト”だからビースト成分足すためだけに入れたようにしか思えない。あの感じだったらダンブルドアの下準備なんだったんだ。一見無駄っぽいけど意味がある底知れなさがダンブルドアの魅力だと思…、まだ若いからってことかな?

冒頭未来視に対抗するためにこっちはしっちゃかめっちゃかに行くみたいな説明がありましたが、映画の構成としてはダメでは?私には受け入れられなかった。

あのコミカルなシーンも蛇足で付け加えられたのだとしたらあまり笑えない。せっかくめちゃくちゃ面白いシーンだったのに悲しい。

兄弟の関係性というか、テセウスの弟に引っ掻き回されてるやれやれ系お兄ちゃんなとこは大好きです。

*****

しかしジェイコブとクイニーのロマンスはやはり最高でした。

ハリーポッターから続く(逆か)この世界観の最大の魔法はやはり「愛」。そこだけはブレずにいてくれて本当によかった。そしてあの二人はもしかして史上初のマグルと魔法使いのカップル。尊すぎて普通に泣いた。

ダンブルドアに心根を誉められたけどちゃんと自分の言葉に直してクイニーに寄り添うジェイコブが最高すぎる。一番かっこいいよ。

*****

そしてマッツ・ミケルセンのグリンデルバルト。最高〜〜〜すぎる。

これは信奉者続出ですわ。やむを得ん。

めっちゃくちゃセクシーすぎる。さすが北欧の至宝。ちゃんと意識したのはアナザーラウンドからでしたがこれから日本での認知度爆上がりしてくれたらいいな。

ジョニデバルトは見るからにクレイジーな感ありましたが、マッツバルトは静かにクレイジーさがあってどちらも良き。ジョニデバルトも見たかった気持ちはありますが全く不満のない配役変更でした。ご本人のプレッシャーは計り知れませんが…

ラストバトル。ダンブルドアとの別れ際の一言、

「誰が愛してくれる!?」

やっぱりここに全部が詰まってますね。明確なところは次以降明らかになるんでしょうが、凶行の裏にある悲しい動機や原動力が垣間見えて切なくなりました。

やはりみんな愛に飢えてるのか…

最高の形で決着がつくことを願います。

過去時系列だから死なないのわかってる分ある種の安心感もありますしね。

*****

やはり描写時間の配分が上手いことハマらなかった印象ですね。麒麟やら新キャラやら色々。

・クリーデンスとダンブルドアの関係

・ジェイコブとクイニーの関係

・アルバス。ダンブルドアとグリンデルバルトの対決

それらをニュートたちが解決するのが観たかった。正直これまでの事象だけでよかったのに余計な要素が増えたのが原因かなぁ。素人の一ファンの戯言ですが。

*****

さ、色々モヤモヤ感が残る今作でしたが。次作で吹き飛ばしてくれるんでしょうか。なんだかんだ言いましたがウィザーディングワールド大好きなので、期待してます。ていうか早く観たい過ぎる。

今回正直パッとしなかった我らが主人公ニュート。願わくば最後は「ニュート・スキャマンダーの物語」で終わってほしい。

モヤモヤしたけどやっぱり好きですファンタビ!