観劇・感想

観劇感想:劇団ショーマンシップ✖️FOUREEN PLUS14+ 唐人町商店街「ハラペコ赤ずきんの森」

作/演出:中嶋さと
会場:唐人町商店街
チケット料金:2.000~3.500円
上演時間:約2時間

公演の説明
福岡の劇団ショーマンシップとFOURTEEN PLUS 14+のコラボ演劇企画。甘棠館Showのある唐人町商店街を全体を劇場にした回遊型演劇。
公演特設サイト
あらすじ
商店街が劇場になる!劇場が商店街になる!?
11世紀以降、様々なスタイルの「赤ずきんちゃん」が誕生しました。トレードマークの赤い頭巾がとても可愛い!
そんな赤ずきんは、狼に食べられるとい運命を背負いながら、いつの時代も健気に歩き続けているのです。
狼のお腹から出てきた時、一体何を思ったのでしょう。
どんな景色を見たのでしょう。ほんの少しの時間、現代に出現した赤ずきんの世界を一緒に遊んでみませんか?
この演劇は、お客様ご自身が「赤ずきん」となって、会場(唐人町商店街)を歩いて頂きます。
劇場や店舗内で繰り広げられる演劇、また路上などで突如起こる演劇を体験し、
お客様だけの物語を紡いでみてください。
キャスト
仲谷一志 原岡梨絵子 寺崎索 東沙耶香 山口泰弘 古澤大輔 田中直
中嶋さと 佐藤柚葉 あかたろ
椎木樹人 篠田昌人 隠塚詩織 上条拳斗 青野大輔 牧野ひかり

以下:雑感

私には合わなかった。チケット代3000円分の満足感は到底得られなかった。
各セクションの「演劇」は演者の演技力や観客を引き込む力も強くて楽しかったが、イベントとしてはクソなところが多々感じられた。
会場設定から見直す必要があるのではなかろうか。

*****
初の回遊型演劇。一般的なのかしら。福岡の小劇団ではこちらの団体が恐らく初の試み。前回は観れなかったし、どういった形態になるのか。ワクワクとドキドキの半々で入場。
甘棠館show劇場に一旦集合して説明?がありました。

う〜〜ん、なんというか。のっけから不安しかない。芝居とリアルな注意喚起や説明の空気感が混ざり合っていて、これどういうテンションに持っていったらいいんだろう。
「回遊型演劇=イマーシブシアター」とは、伝統的に「観客が客席に座り、ステージ上の演者を鑑賞する」ものであった演劇を、「観客が自ら行動し、 演者と同じ空間に同居しながら物語の一部として作品に参加する」形式へと転換し、綿密な空間設計や五感を刺激する演出を通じて、観客を物語世界に深く没入させることを特徴とする。 ※wikiより
とあります。

つまるところ今回は我々も登場人物=赤ずきんとなって物語の舞台である「森」を探検しそこに住む登場人物たちと触れ合っていく。みたいな形だと認識していました。
座って集中するタイプではないけれど演者やフィールドと一体となって楽しめるものかと。
しかし没入しようにも運営側のスタンスがわからない。「赤ずきん」というゴリゴリの童話ファンタジー世界に中途半端に21世紀福岡のノリが混ざっててこちらはどうしたらいいのか。終始冷めた位置から動けなかった。没入なんてとても無理だ。

イマーシブシアターの歴史をざっと調べてみても、今回の”ペコ森”は土台の環境設定から間違えていたのではないでしょうか。
過去の他所での公演を見ても、ビル一棟を貸し切っていたり回遊型と言ってもしっかり劇空間を外界から区切って作っていたようです。
今回の商店街ははっきり言ってノイズがすごい。し、その事実と題材が絶望的に合ってない。
赤ずきんのメルヘンな森の中でチャリとか自動車とか普通の買い物客の環境音とか、救急車のサイレンも遠くで鳴ってたな…。その中で没入はいくらなんでも無理。

せめて夜で人通りが少なかったりとかしたら違ったのかなぁ。

あと安全上仕方ないとはいえ、ブナの木さんたちの誘導や道案内も現実に引き戻されちゃいましたね。
運営側の”観客を引き込む工夫”がもう少し欲しかった。観る側の忖度に依存しすぎ。先に演じる側作り手側がもっとどっぷり入らないといけないのでは?主旨的に。
まぁ会場内見渡すに団体のファンとか普段演劇よく見る人たちや関係者さんしか来てなかったでしょうから問題ないんでしょう。恐らく次回以降も。

正直期待しすぎました。

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そもそものタイムテーブルや構造に難がある。

3000円という福岡の観劇の相場から見ても決して安くない値段で”絶対に”全部観ることが出来ないのが確定してるのが根本的におかしい。
なんでこんなに払って全部観れないんだ。基本の話全部観るのに6000円以上掛かるじゃ~~ん無理~~とか思ってたら

エンディング5パターン!!!!?????

どうなってんねん。これって普通なのか?全部観るのに5回観て15000円以上払わんと無理なのか?あこぎすぎんか。
甘棠館20周年企画の時のタイスケも一日では両方観れなくなってる構成でしたが観客に不親切すぎんか。
私が狭量なだけ?みんな納得してるのか?
複数回同じ演目を観劇することもありますが、それは全て楽しんだ上での+@であって一回分の料金で全てが味わえない設定なんてありえないのでは?

おまけにそのエンディングすら望んだものを観れない可能性もある。まさか目の前でチケット無くなったから他所行けと言われるとは思わなかった。まともなイベントとかゲームなら普通にクレーム出るくらいのことだと思いますがなんで演劇だと許されるんだ。

思えば最初から選択自由に見えてその実かなり圧を感じました。事前情報ほぼ入れずに来た私の非でもありますが(そうか?)冒頭の説明の時点で3000円の2時間しかない早く決めて観なきゃ!という気持ちでかなり焦らされました。
しかも説明終わったの初回演目の5分前。不親切すぎる。

なんというかあまりお客さん目線に立ててない気がします。演劇公演はどうか知りませんがイベントづくり向いてないのでは。

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それは演劇の物語そのものにも影響していると感じます。

結局3000円払って10分少々の短編4本見ただけ。おまけにしょぼくれたパレードと自由に選べないエンディング。

極めつけは余韻ぶち壊しの終演後の挨拶。せっかく赤ずきんとって現実お帰りなさい。でいい感じに締めたのに間髪入れずに物販の話されるとは思わないよ。現実ってそういうこと?
せっかく自分たちで作った世界なのに。もっと大事に慎重に扱ってくれんかね。ガン萎えなんですが。
そもそも甘棠館に帰ってきた段階で物販のテーブル並んでた時点で嫌な予感はしてたんだよ。
私の知る限り終演即物販とかの話しだすの演劇の人たちだけなんですがなんなんでしょうね。もっと浸らせてくれよ。せっかく題材はいいのに。作ってる側の意識の詰めが甘すぎる。
作ってる自分たちのことしか見えてないのでは?演者の皆さんが各セクションでしっかり空気やキャラ作って守ってるのに代表二人が最後にあれはあんまりでしょう。ワインに汚水をこぼされた気分だよ。

観てる側の気持ちをもっと守ってくれ。

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話も結局よくわからなかった。各短編”のみ”で考えたらそれなりに良かったです。私の推しの俳優さんたちばかりでしたし、演技のみならずキャラを守りつつお客さんともコミュニケーションを取っていて、めちゃくちゃ浅い感想ですが「流石俳優」と思いました。
普段だと板の上の姿しか見れない推しの皆さんの別の一面を見ることができたのは確かに一つの収穫かもです。

しかし演目の内容は正直「?」って感じ。赤ずきんにまつわる話かと予想していたんですが、色んな童話の寄せ集め、というかオムニバスだったのかな?
鶴の恩返しや狼少年(嘘をつく子供?)とかとか。赤ずきんは土台にしてるだけであんまり意味を感じなかった。というかなんか大きなゴールがあったのかもしれませんが観れなかったのでわかりません。
わかんないのよ。結果意味がわからん謎の小芝居の集合体だよ。なんだったんだこのイベントは。これで3000円。半額でも高いくらいだ。

この値段取るなら普通にストレートプレイでしてくれたほうがよかった気がする。ていうか集まったキャスト的にもそっちが見たかった。めちゃくちゃ楽しんで帰れた気がする。

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総合的に”回遊型演劇”やお客さんが実際に回るということに対する理解や想像力が足りてなかったのではないでしょうか。

もし同じ形態であったとしても二回目は行きませんね。なにか改善が感じられたらいいんですが。
もう少し演劇側から離れて観客目線に立ってほしい。もっと没入できる環境を整えてほしい。

しかし福岡に新たな演劇の形、可能性をもたらしてくれるとも思います。もっと研鑽されていくといいなと思います。

アーケードの垂れ幕のマスコットキャラは可愛かったですね。