会場:ぽんプラザホール
チケット料金:1,500~3,300円
上演時間:各演目約30分
公演の説明
九州版“最強の一人芝居フェスティバル”
毎年、大阪・インディペンデントシアターを拠点に開催される最強の一人芝居フェスティバル「INDEPENDENT」。2011年夏に行われたジャパンツアー福岡公演を経て、2012年から九州の創り手を中心に継続開催をスタート。応募多数の選考を突破した九州の精鋭5組と本家大阪公演で好評を得た招聘1組の計6作品が熱い競演を繰り広げる!
直前に九州のひと組が病欠で降板したので今回は全5組での開催。
定例のINDEPENDENT。今年は福岡でも実力派が顔を揃えている印象。期待値は高かったが見事にそれを越えてくる満足感。
偶然か5演目全てに共通して「愛」がテーマにあったように見えました。それも全て違う「愛」バランスや彩りで考えても今年の福岡INDEPENDENTは最高。
めちゃくちゃいい芝居を観ていい時間を過ごせました。最高の週末でした。
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舞台は共通の何もない真っ黒な素舞台。ぽんプラザホールのアクティングを幕で仕切って中央にたっぱが2尺くらい?のステージ。多分2×2間の正方形。
奥の幕にいつものカッコいい映像で各演目のタイトルが出ます。また、各演目ごとに小道具装置があったりなかったり。
順番に感想書きます。
【a】:「ハッピーロスタイム」
出演/脚本:高野桂子(PUYEY)
演出:五島真澄(PUYEY)
あらすじ
仕事を終えた私の任務は、保育園からさーちゃんとニコニコ帰宅すること。それには公園への寄り道が必須条件。ブランコ、どんぐり、すべり台、石ころ。ここには彼女の宇宙が広がっている。20分のタイマーをセット。
「これが鳴ったら帰ろうね。」「うん!」取引は成立したかのように思えたが…。33歳と3歳の公園帰宅奮闘記!
以下、雑感
楽しいお話でした。我々の日常の延長、楽しいけど大変。大変だけど楽しい。そんなありふれた日常の裏でみんな戦ってるんですね。愛情が伝わるとともに勇気が貰える作品
でした。
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舞台は何も無しの素舞台。
娘との日常が凄くリアルでしたね。ホントの子持ちじゃないと描けないリアル感。ギャグとしてのテンポもよくて凄く楽しかった。お子さんもしっかり見えました。
「あ~あるある!」何度もうなづきました。心の中で。
“出張から帰ってくるまでの三日間”っていう時間設定付けてたのもよかった。ごく個人的な感覚だと思うんですが、大きな事件が起きないストーリー物以外の芝居って、「これいつ終わるんだろう」って不安になることがたまにあります。いや今回は大体の尺決まってるんですけどね。
しかしあと二回寝たら、あと一回寝たらって時間経過を差し込んでくれるのもアクセント?というかいい区切りになって安心して観れました。
高野桂子さんの声もハキハキして気持ちがいい。同僚のデリカシーのない発言、夫への不満、娘との静かな攻防。全て等身大な気持ちが詰まっていてとても共感できました。
序盤の片足立ちで喋ってたのだけは意図がわかりませんでした。
【b】:「吐く」
出演:手嶋萌
脚本/演出:岡部竜弥(演劇ユニットちりあくた)
あらすじ
とある男がトイレで吐いている。どうやらここは居酒屋のトイレのようだ。トイレでひたすら吐き続ける男は、後から入ってきた友人との思い出を語り始める。
酔って、酔いどれ、吐いて、吐いて。どうせ忘れて、なかったことになる話。
以下、雑感
ゲロ吐くのと嘘吐くとのダブルミーニング。正直終始生理的にキツかったが、切ない恋のエッセンスが汚くて美しかった。恐らく同性同士の情だったのかな。安く言えばBL?言い方はどうあれコミカルな酔い方、荒れ方の裏に秘めた恋情が刺さってきてイイ話だった。ゲロ吐きすぎだが。
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舞台には黒く化粧された箱馬一個。これがトイレになっててそこに吐いてる。場面によって変わったり。
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恐らく酔っ払ったゲロ吐きモードと、思い出を語る素面状態とのスイッチがこの本のオモシロポイントだと思うのだが、その切り替えはあまり上手くいってなかったように思う。酔ってる時も結構普通に流暢に話していたので、思い出話に移った時も内容を聞かないと場面が移ったことに気がつかなかったところがある。
正直観ていて芝居にノれたのも最初の「好きです」からだったので、序盤もっと極端にスイッチして緩急で振り回してくれた方が早く没入できたのかもしれない。
後半押し殺した気持ちに感情移入してからは集中して観れました。
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女性が男性を演じるというところに作劇的な意味を感じなかった。普通に女性同士の話でよかったのでは?・女が男を演じる・酩酊と素面の切り替え
という二つの点で忙しくて難しかったのではないだろうか。
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ゲロ吐きが中途半端。コミカルに「おえ〜」だけでいくか、もっとディテール細かくしたほうがよかったかなぁ。なんとなく俳優さんはホントに酔っ払って吐きまくったことなさそう。
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呂律の回らなさと少年期の舌ったらずな時との同期?混在?した瞬間がすごく印象的だった。”彼” のぐずぐずの心の中にに触れたような気がした。
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最後文字で「嘘吐き」を示してしまったのはどうなんだろう。中盤から二重にかかってることを察せたので正直野暮な演出だと思ってしまった。しかし万が一伝わらなかった時のためだろうか。芝居だけで十分伝わったし文字で見せなくてもよかったんじゃないかなぁ。演出の臆病さが出てた気がする。
【c】:「喋れば喋るほど」
出演:友田宗大(万能グローブガラパゴスダイナモス)
脚本:前田隆成(ハコボレ)
演出:椎木樹人(万能グローブガラパゴスダイナモス)
あらすじ
舞台にはセンターマイクが一本。俺にはマイクを挟んで喋っていた相方がいた。
金はないけど夢はある。長崎と佐賀から出て、森ノ宮に借りた1DK俺はリビングのソファー、アイツはネタを書くから個室があった。生活も営業もきっと悪くないスタートを切っていた。アイツは引っ越しも手伝わずに、失踪した。初めて入る作業部屋には捨てていいのか分からない物ばかり。お笑い芸人ピンからキリまで8000人を超える時代。どこにでもあるような芸人談。だけれど、それだけで片付けられない、漫談師が誕生するお噺。
以下、雑感
パワフル!!いや~~おもろいわ!思わず関西弁になってまう。演劇って言うか漫談、っていう風に感じたのも術中にハマってますね。なんも考えずに笑えました。これもまた「愛」の話。
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出演の友田宗大さん。福岡のこの世代のホープと言っていいでしょう。存在感は一人で舞台に立ってもバッチリですね。シンプルに声も身体もでかい。シンプルですけどすごく重要ですよね俳優には。
一人芝居は普段よりも地力が出ますがめちゃくちゃ濃い味が出てました。楽しんで演じてるのが伝わるのがこちらもすごく嬉しくなります。
脚本もおもろい。
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俳優さんのしゃべくりもさることながら演出の存在をすごく感じましたね。この脚本仮に一人でやろうと思ったら結構難しそう。演出のかじ取りや調整がしっかり効いてる感じ。パワーだけで押し切りがちな若手をしっかりコントロールしていたんじゃないでしょうか、見やすく聞きやすかったです。
同じ劇団どうしで相性の良さもあったんでしょうね。
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小道具の段ボールが繋がってるのに笑ってしまいました。全然予想してない不意打ちでやられました。悔しい。
ラストのデスソースを飲んだのだけは納得できなかったな。前半前置きがあったとはいえ置いてあっただけのデスソースを飲んだのは謎。
いや、いつも通りの相方の無茶ぶりと解釈したんだろうなとは理解できたんですが、そこに至るまでは結構丁寧に描いてきていた印象だったので「なんで?」感がありました。
ノートの表紙とかに「飲んでから読め」とか書き添えてあったほうが今回はよかった気がする。あのよだれデロデロのみっともない滑稽さの裏の想いとかもっと伝わったんじゃないかなとか。深読みしすぎ?
そのせいであそこだけはただのノリだけになっていた。そこまでの積み重ねもあったのでひと言添えるだけですごくエモい意味合いが生まれたと思うんですよ。なんだか惜しい。お客さんみんな笑っていたので問題ないんでしょうけども。
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一人芝居(なんでもそうですが)で一番重要で難しいのは「観客を引き込む」ことだと思ってます。なんせ一人で普段より助けが少ないので。
友田さんはパワーで強引に引っ張られた感じです。グイっと意識を持っていかれました。しかしパワー過ぎた気もします。序盤はカタさも見えましたし、観てる自分も身体が若干こわばるのを感じました。
反面「フルムーン」の明逸人さんは引っ張るのではなく寄り添ってきてくれた感じです。そのあと柔らかく見入らせてくれたというか…
いち観客の戯言ですが、そんな柔らかさまで身に着けてくれたらもっとリラックスして爆笑できたんじゃないでしょうか。なんて。
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ムネさっくでも多分書きましたが、先々が楽しみな俳優さんです。推してます。今回も楽しませてもらいました。
今年は総じて見応えが高いかも。後半は後日。