映画・感想

映画感想:「さかなのこ」

2022年製作/139分/G/日本
配給:東京テアトル
あらすじ
ふつうのことがちょっと苦手な主人公・ミー坊の”オンリーワン”ストーリー!
お魚が大好きな小学生・ミー坊は、寝ても覚めてもお魚のことばかり。他の子供とは少し違うことを心配する父親とは対照的に、信じて応援し続ける母親に背中を押されながらミー坊はのびのびと大きくなった。高校生になり相変わらずお魚に夢中のミー坊は、まるで何かの主人公のようにいつの間にかみんなの中心にいたが、卒業後は、お魚の仕事をしたくてもなかなかうまくいかず悩んでいた…。そんな時もお魚への「好き」を貫き続けるミー坊は、たくさんの出会いと優しさに導かれ、ミー坊だけの道へ飛び込んでゆく──。
公式サイトより

以下、雑感

良作。ご存じ”さかなクン”の自伝映画。大分娯楽エンタメよりに脚色されているが、静かな雰囲気でメッセージをしっかりと伝えてくる骨太な映画でした。所々冗長な演出が気になったがテンポよりも物語性で見せてくるタイプの映画でした。ギャグはどれもシュールで面白かった。五反田団の前田司郎が脚本を担当している。

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優しい世界だなぁ。基本的に頭ごなしに否定するキャラがいない。「好きでいること」のパワーと素晴らしさ。しかしそれを結実させることの難しさを感じさせる話でしたね。理解のある人と出会えるかどうか、また否定する人と出会わずにいられるかどうか。めちゃくちゃ運のいい人だったんだなぁ、という。

また、私のような”周囲の人”としてはミー坊のような人と会えた時どうするべきか。考えてしまいましたね。願わくばどんな人他人の好きを尊重し合えるような世界にしていきたい。さかなクンの功績を見ると、結果に繋がる人にこそ。って思っちゃいそうですが。

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とはいえ好きを貫くにはある種狂気というか、傲慢さも伴うよなぁ、と。

「この子はこれでいいんです」というお母さんの言葉どおり、あれでよかったわけですけども。この映画では周りの忠告ガン無視でエゴを貫き通してるだけで、周りが優しかったからのラッキーでなんとかなった感。もちろんミー坊の頑張りや魅力ありきだと思いますけど。話聞かなすぎでは。お父さんや先生、ひよの忠告も丸無視だし。“作品の”メッセージとしてはカッチリした素晴らしい意味があるんですが、実際教訓にしようと思うと微妙。うん万分の一の奇跡的な存在ですよね主人公は。現実の私たちはもっと考えて向き合わねば。と、深刻に受けとめてしまいました。

冒頭「男か女かはどっちでもいい」はメタ的な自虐ともとれるしで、いいメッセージでしたね。

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のんさんスゴイよかった。「さかなクン」という概念の擬人化。福士蒼汰とか中川大志に見えました。同じ系統の顔なのかな。目ですかね。一見フワフワ感あるけど芯が

ぶれないミー坊にすごい説得力があった気がします。最後の収録時はほんとにさかなクンに見えました。

ひよ(柳楽優弥さん)も最高。まだ高校生できるのすごいな。つっけんどんだけど寄り添ってくれる、心強いですね。レストランで多分裏で怒ってくれてるの好き。

ヤンキーたちの“ふわふわHiGH&LOW”みたいな喧嘩。シュールでよかったです。

昭和と令和の小学生の差が明確に描かれてておおってなりましたね。あんなに変わってるんですね小学生。周りの変化で、しっかり繋がってることを表していて好きでした。

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しかし本人の自伝映画で本人役で出演、しかも不審者のおじさんってすごいな。面白かったけどいいのかそんな扱いで。ミー坊にはおじさんがいたわけですが、さかなクンにもいたんですかね。おじさん。

ご本人も色んなパートで名前が載っていて、エンドロールまで楽しかった。まさしくさかなクンを知るための映画って感じです。

多様性が謳われる昨今、色んな意味で身につまされる話でした。さかなクンとのんさんの好感度は爆上がりです。楽しい映画鑑賞でした。