2023年製作／134分／G／日本
配給：イオンエンターテイメント
あらすじ
品川台町の藤枝梅安（豊川悦司）にはふたつの顔があった。腕の良い鍼医者の 表の顔と、“蔓（つる）”と呼ばれる裏稼業の元締から金をもらって、生かしておいては為にならない奴らを 闇に葬る冷酷な“仕掛人”の裏の顔だ。ある晩、仕掛の後、仕掛人でもある楊枝作りの職人・彦次郎（片岡愛之助）の家に泊った梅安は、帰り道、浪人・石川友五郎（早乙女太一）が刺客を斬り捨てる場面を目撃する。刺客が死んだことを確かめ、医者が出る幕ではないと悠然と立ち去る梅安を、浪人はにらみつけていた。その後、梅安は蔓である羽沢の嘉兵衛（柳葉敏郎）から料理屋・万七の内儀おみの（天海祐希）の仕掛を依頼される。三年前、万七の前の女房おしずを仕掛けたのは他ならぬ梅安だった。梅安は、万七の女中おもん（菅野美穂）と深い仲になり、店の内情を聞き出す。おもんの話では、おしずの死後、おみのが内儀になってから、古参の奉公人たちが次々と去り、店の評判は落ちているのに儲けだけはあるという。おみのは店に見栄えのいい娘を女中として雇い入れ、客をとらせているのだった。おしず殺しの依頼人はおみのなのか…殺しの起り(依頼人)の身元を探るのは、仕掛人の掟に反すると知りながら、梅安は三年前のいきさつを知りたいと思い始めた。そして、初めておみのの顔を見た梅安は息を吞む。それは梅安に暗い身の上を思い出させる対面だった…。
※公式サイトより
以下、雑感
渋すぎる…。そして見やすく、聞きやすく、カッコいい。めちゃくちゃ面白い時代劇でした。構成に無駄がなさすぎる。次回への繋ぎも自然。人物全員の”色”と”艶”が凄い。セクシーが溢れてました。しかしクールで切なくて情熱的。語彙が単調になるくらい感情全部出てきた。「2」も絶対観ます。
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飯が美味そうすぎる。いや、最初に言うのがそれかという感じですが、めちゃくちゃ印象深い。旨そうに食べるんだキャストの皆さんがまた。ただ大根干してるだけでも美味そう。彦次郎(片岡愛之助)が毎回「こいつぁうまい」って言ってたのもさらに効いてる。“食”もそうですが細かな生活の動作や描写が楽しく、「仕掛け人」というぶっ飛んだ設定にも説得力が増したように思います。酒の飲み方もカッコいい。
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セクシー鍼師・藤枝梅安。豊川悦司の色気が迸ってましたね。あれはみんなオチますわ。私もやられました。「私の肌に一番合うのはお前だけだよ」うわーすごいタラシ台詞こりゃイチコロですわ、と思った矢先に速攻で女将オトしにかかっててもはや笑っちまいました（結果妹だったけど）。それも納得のプレイボーイぶり。そりゃおせきさんもニヤニヤしちまいますよ。色気ヤバいもの。そして身体能力が意外と化け物。さすが仕掛人。このすごい身体能力の描写もすんなり飲み込ませてくるのは構成が上手いなと思いました。最初の水遁からの仕掛で凄い暗殺者だというを示しつつ、仕掛人という特殊な職の設定。いきなり大ジャンプしても自然とカッコいいなぁ〜で見入れました。派手なバトルはないけど楽しかった。表情はあまり豊かではないけれど、その奥にある複雑な感情がとてもよく伝わる映画でした。鍼師と仕掛人、相反する生と死の稼業に苦悩する梅安の憂いがまた渋くていい。汚れ仕事とわかっていながら少しでも世のためになっていることを願う、仕掛人たちの歪んだ純粋さがなんだか愛しくもなりますね。同時に切ない。
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石川友五郎・早乙女太一。苦悩する若い美剣士が似合いすぎます。あの切れそうな目であのアツさ見せられたらたまらんですな。カッコ良すぎる。カチッとした正統派剣術も逆にレアだった気がする。ビュンビュンぐるぐるがない分友五郎の強固な意志や実力が感じられた気がする。あんな風に命懸けで戦われたらも〜たまらんですなおなごとしては。2人の幸せを願う。年越しそば食べてるところがなんとも微笑ましかった。
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ていうかみんなよかった。主要人物以外も全ての人が、しっかり”生活してる”ように見えました。すごく観やすい時代劇でした。明かりや音楽、画角も。観てる側にとてもわかりゆすく演出されていたように思います。特に明かり。オープニングの夜景など作り物っぽいところも割り切って、逆に鮮やかな味が出ていた気がする。ノイズにならず引き込まれた。あとやっぱり食事シーンがしっかりされてると余計そう感じるのかなぁ〜。生きてるって感じがしてきますよね急に。
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出来事や関係性のつながり、流れに無駄がない。池波正太郎すごいなぁ〜〜〜。一作くらいしか読んだことないです。もっとしっかり読もう。時を越えた因果が繋がる瞬間ゾワっとしますね。繋がったところにこそ物語が生まれるのかな。おみのと梅安の絡みはどれも切ない。言っちゃえばいいのにさ〜〜（泣）。エモすぎる。
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時代劇を見るにつけ思いますが、現代よりも一つ一つの物事に取り返しがつかない世界。決断の一個一個が重たくて切ない。彦次郎のナレーションも味が濃すぎる〜〜〜。「たったひとつの妹供養だったのかもしれない…」切ない…。良すぎる…。ラストの炬燵での2人の会話、「今年も死ななかったねぇ」渋い……！！2人の死生観、人生観。仕掛人としての覚悟とか見えるようで渋すぎる。雪の縁側での顔がね！これ…エモい。なんとも言えん。切ないいいエンディングだった。
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あとで調べたら梅安シリーズ未完なのか生誕100年に相応しい素晴らしい映画だったと思います。「2」も楽しみすぎる。必ず観に行きます。
