会場:ぽんプラザホール
チケット料金:1,500〜3,500円
上演時間:各公演約30分
公演の説明
九州版“最強の一人芝居フェスティバル”毎年、大阪・インディペンデントシアターを拠点に開催される最強の一人芝居フェスティバル「INDEPENDENT」。2011年夏に行われたジャパンツアー福岡公演を経て、2012年から九州の創り手を中心に継続開催をスタート。応募多数の選考を突破した九州の精鋭5組と本家大阪公演で好評を得た招聘1組の計6作品が熱い競演を繰り広げる! ※公式サイトより
今年度も体調不良でひと組降板したので全5組での開催。
以下、雑感
今年も無事に観にこれた。昨年同様ひとグループ降板からの5組。どんなものか、楽しみです。余談ですが、コロナを経てやはり近年「降板」のハードルが下がった気はしますね。是非は置いといて。
客席は6〜7割くらい埋まってる。もっと演劇人いると思うんだが…観に来ないものか。でも二部ではパンパンでした。杞憂か?
[ a ]『Tembo』
出演:青野大輔(非・売れ線系ビーナス)
脚本・演出:溝越そら(SKYSCRAPER)
あらすじ
幼馴染である天保に、久しぶりに会う日。就職をきっかけに離れてしまったが、親友であることに変わりはない。ちょっといい酒とツマミ、ああ、久しぶりにあんたとゆっくり話せるね。そうそう、小学生の頃さ、のろまなゾウだってからかわれてたのを、天保が助けてくれたよね。高校の頃も2人で放課後さ…
え?今日?うん、もちろん、あの約束を果たしに来たんだ。
以下、雑感
“Tembo”って象なんですね。先が読めたのもあり、大きな起伏は自分の中にはなかったけど見応えは十分。友情、なのか。愛と呼ぶには大げさな二人の間の繋がり。それが他人に雑に踏みにじられたことを知ってからの主人公の心境たるや…。青野さんの芝居ももちろん、灯りも音も手伝って凄惨なモノがにじみ出てましたね。彼が最後何をどうしたかは想像するしかありませんが果たして…。
演出がオシャレで好きだったな。時間の経過で飲み物が変わっていくのも楽しかった。最後にそれを手向けるのも。
“忘れない”ということの恐ろしさおぞましさを感じられました。デジタルタトゥーじゃないけれど、ポジティブな意味合いだけじゃないですよねえ。子供のころヒーローとして良い意味に気づかせてくれたのに、また同じ人間によって反転してしまうとは皮肉が効きすぎている。開けて明るい感情が段々と収縮して暗くドロドロとしていく様がリアルに感じられました。とてもよかった。
[ b ]『愛と言わすな』
出演・脚本・演出:荒木宏志(劇団ヒロシ軍)
あらすじ
1時間の舞台を創るのに、最低100時間以上もの稽古が必要と言う。
さらに脚本、演出、制作までやり出すと、かかる労力は計り知れない。
これは演劇ユニット・ボラギランボーに所属する35歳の売れない役者が本公演『ジェネリック役者』に向け、大奮闘する話。
「売れないって言うけどさ、別に俺は売れたい訳じゃなくて、一生演劇をやっていきたいだけ」
爽快なバッドエンドと大きな愛で描くいい年したアオハルラバーストーリー。
以下、雑感
「小演劇人の」愛情と哀愁あふれる元気バカ芝居。軽くてコミカルで好きだった。じわじわ笑いが効いてくる。演劇人ほど共感性高そうだけど演劇をさわったことのない人にはウケるのか果たして。滑稽に映ればよいが。なんだか演劇人の”狭さ”を再認識させられたような気がする。良くも悪くも。いや、そんな話ではなかったけども。辛くてもキツくても本番はやっちゃう(やれちゃう)小人のより小さな業のようなモノが出てた。同時に荒木さんの人柄を感じた気がします。壁を取っ払うのが上手いですね。やや強引かとも思いましたが。
社会生活で全然役に立たない「演劇スキル」が面白かった。”あるある”が沢山の、クスっと楽しい芝居でした。でも平成の演劇人のあるあるって感じですね。今からはどうなっていくんだろう。
かつての私、後輩先輩みんなが通った道かもですね。
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続きは後半で。