観劇・感想

観劇感想:福岡県大学合同公演2023「のうめん」

総合演出:岩本彩花(九州産業大学)
会場:塩原音楽・演劇練習場大練習室
チケット料金:500~1,000円
上演時間:約60分

公演の説明
2023年度福岡県の大学演劇部合同公演。今年は三本の短編が上演される。
イントロダクション
のうめん。魅せる顔をつけ、内なる姿を隠す。皆さんはそんな経験ありませんか?言いたいことを言わなかったり、選びたいことの逆を取ったり。仮面を付けることで善になったり悪になったり…何にもなれたようなそんな気分。今回の公演ではそんな感情を持った人間たちを少しだけ覗いてみるとしましょう。そう、まるで神様にでもなったように…
公式サイトより
キャスト
◆九州産業大学
岩本彩花 上田珠緒 田子森桃々乃 田宮月乃 山本竜乃介
◆西日本短期大学
徳部鈴香
◆福岡大学
春日美緒
◆西南学院大学
小形莉穂 古園大将

以下:雑感

ちょっとヒドかったなこれは。いかにも見識の浅い大学生の作った芝居だった。企画の趣旨とは違うのかもしれないけれどしっかりした指導者を置いた方がいい。そも芝居が“台詞”の段階から抜け出せていないし、主義信条はともかく技術の基礎がお粗末すぎた。これが今の「福岡の大学生」の演劇なのだとしたら悲しくなってきた。「学生演劇祭」の界隈とはまた違うのだろうか。

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南市民センター大練習室。結構しっかり立て込んである。部屋の奥側に一間くらいの高さのステージが組んであり、舞台はカフェ?か居酒屋かな。カミ手にはドア。シモ手にはバーカウンターっぽいものと手書きのメニューが壁に並んでいる。中央奥には椅子が何脚か。白いホリ幕がかかっていて、各短編のタイトルやキャストの紹介などが映る。

こんなにしっかりした舞台装置いらなかったのでは?内容が完全に負けていた。どれも甘棠館でパンチと椅子だけでやれるサイズの芝居だった。これだけ大々的に企画を打っておいて正直勿体無い。せっかく学生のうちに大人のパワーを借りてできるのだからもっとやれることがあったのでは・・・。

人材の巡り合わせもあるでしょうけども。

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パンフを読む限りいろいろ考えて脚本や全体の構成を練っていたようですが演出や見せ方が単調すぎて起伏もなく、上手く伝わってこなかったように思う。

せっかくの第三者目線として用意した「神」も機能していたとは思えなかった。

そも会話やセリフのやりとりが拙すぎて出来事がなめらかに繋がっておらず全てが段取りくさい。舞台上の人間全てが「素」のままだと観てる側も没入できませんね。

それぞれ歴史ある演劇部で活動は春からやっているでしょうけど日頃の稽古はどうなっているんだろう。指導者やノウハウは…

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一人称「僕」の冷笑系神様を演じるにはちょっとキツかったですね。設定事態だいぶキツいけど。やるならもっと作り込まないと痛々しくて見てられなかったな。

中高生が書いたならまだしも。

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淡々と進行する事態に観ている側は完全に傍観者の目線になっていて3本目の客振りにも全然ノレない。そりゃー言われたら日本の観客は手拍子するんですが全くパフォーマンスにはなっていない。お遊戯会で仕方なく付き合ってあげてるくらいの心境だった。ざっと見観客席はキャストのお身内の方が多かったようですからそんな感覚もなさそうですが。

ていうか60分の「演劇」のラストに進行グズり気味のマジカルバナナて。失笑するしかなかった。脚本間に合わなかったのかな。”神”の残虐性とかそんなんの表現なのかしら。考えすぎか。

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2023年現在の福岡の大学生演劇はこんな感じか。中々に胸にくる。コロナ禍の影響もバカにできないなほんとに。静かで確かな技術や知識の分断が起こっているのではないか。世代的に。わからんけど。

来年からまたどうなるやら。期待と不安。