作:安藤亮司 演出:尾崎真一
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:3,500~5,000円
上演時間:約80分
公演の説明
福岡のアイドルグループ”トキヲイキル”の岸田麻佑がプロデュースする新プロジェクトの旗揚げ公演。
あらすじ
頭がボーっとする中、案内の人の後をずっと歩いていた。「こちらになりやーす♪」連れてこられた場所はシェアハウス。。。のようなところ。「あなたが再生可能か判断されます。それまで『死ェアハウス』で生活してお待ちください♪」え、私、、、死んじゃったの?? きしPこくーんがお送りする、死後の世界のハートフルコメディ。乞うご期待!
※公式サイトより
キャスト
原直子 宮崎理奈 岸田麻佑 悠乃 馬場阿紀子 井上志帆子 井上真里奈 柏木優茉 鶴田りさ 大葉みらい ともなが舞 おのうえちえ 八坂桜子 曽根玲子 平田向日葵 小田あいか 坂本菜摘 YUURI 藤咲まりな MOMOMI あわたかれん 大庭彩歌
以下:雑感
まぁ面白くはない。演劇公演というより”可愛い女の子がわちゃわちゃしてる様を楽しむ娯楽”だと頭を切り替えた。近年よくあるやつ。本筋に絡まない無駄なボケのやりとりで引き延ばされた尺と、安いお涙頂戴ドラマのための取ってつけたような設定で構築された薄ペラい話だった。音響がキモい。
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舞台は霊界(?)にあるシェアハウス。カミシモにハケグチ二つずつ。石造りっぽい壁紙に所々レンガがはみ出している。銀色の丸い柱にカラフルな格子窓。カミ手シモ手それぞれ小上がりがあってジオラマ、というか「ドラクエ」っぽい部屋だ。センターにはテーブルと緑、オレンジなどで塗られたキッズスペースにあるような椅子。花が飾ってあったり。住人たちが団欒したりする。センター天井からは「冥土inシェアハウス」と描かれた垂れ幕がオープニングダンスのいいところで降りてきた。しかも開ききってなかった。まあまあダサい。
場面展開がわりと多い。山の中、閻魔大王の仕事場(?)、現世の病院だったりと、結構コロコロ変わるわりにまあまあ具象化してあるので頭が切り替わりづらい。照明変化だけではちょっと見づらかったな私は。
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死後、生前の記憶を失くした魂たちが、記憶を思い出すまでの仮宿。ということらしい。その間に閻魔大王たちによって行き先が決まる。煉獄的なとこ?天界、地獄、生き返り。など死後の魂の行く先が決まれば閻魔大王たちから通達があってシェアハウスからも卒業、ということになる。主人公(原直子さん)も記憶を失くして霊界をさまよっていたところを閻魔大王配下の死神(悠乃さん)と出会い、シェアハウスに入居することになるのだが… みたいな。
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世界観というか、設定がふわふわしてる。まあ仏教の閻魔と神道系の巫女、西洋の死神がごちゃ混ぜになってたりとか、そもそもあまりこだわりは持ってなさそう。そこは全然いいんですけど世界の構造や土台がフワってるからキャラクターたちの言動や行動原理もあやふや。お陰でせっかくのお涙頂戴シーンも唐突感があって逆に覚めてしまった。他人の生き返りのために自分自身を捧げなきゃいけないとかかなり重いのにサラッとしすぎでは。描写されてた限りでは絶対選ばないだろ。つまらんギャグに時間使いすぎ。いびられてたけど自己犠牲を選ぶほどの「なにか」があるならそここそ感じさせてもらわないと滑稽でしかない。絆なのか仕事なのか霊界の常識なのか。特に天空。冷静に頭から行動を思い出したら感動を生むためのアイテムでしかなかったな。”バカだから”に頼りすぎている。
主人公の記憶関連も、これは考えたら負けなやつですかね。”まだ産まれてないから記憶がない”はとてもいい設定だと思うんですよ。意外性もあるし。でもそこ一つのために他が捨てられすぎてる。まだ産まれてもないならカスミの行動はなんだったんだ。珀のために怒ってくれたあの気持ちはどこからきたんだ。まだ産まれてもない人間のどこから出てきたエネルギーなの?誰なんだカスミ。人格は経験と記憶から生まれるもんだろ。「無」から生まれたのか???正直判明した時はかなりおぞましかった。「生き返り」じゃなくて「生まれ変わり」ならまだ腑に落ちたかもな。
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あの後父の死んだ家に戻るのだと思うと全然笑えないな。しかも多分双子(カスミと天空)。お母さん(馬場阿紀子さん)にとっては救いになるのかもしれませんが、脳みそがファンタジーに振り切れなかったな。これだけふわっとした世界観ならご都合主義でもいいからお父さん生きててほしかったわ。生き返ったあとの三人の人生を想像すると辛くなる。私がドライすぎるのかもしれないが。ある意味地獄より過酷かもしれないぞ。考えても仕方ないですが。
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意味わからん役者のハケが結構見られた気がする。灯り変わってからわざわざ手前に降りてきたりとか捌け口で溜まって足踏みしてるナースの背中とか。その辺はこだわっていないようだ。というか統率された意志みたいなのはあまり感じなかったな、役者の動きに。演出ついてるのだろうか。「自由にやってみて」をそのまんま採用したみたいな挙動に思えた。動きも芝居も全体的になんとなくふわっとしている気がする。
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音が全部気持ち悪かった。これはホントに私の感覚的なものなので説明しづらいですが。カットインもアウトも全部キモかった。プロがやってるのか?
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ていうかこんな芝居作っておいてルッキズムをネタにしてギャグシーンにするとは。作中のやりとり別にルッキズム関係なかったし。綺麗どころ集めたこの手の企画でこれは高度な自虐ネタなのか?あらゆることが浅慮。
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総じて手抜き、っていうか脚本演出側の「こんなもんだろw」が感じられる出し物でした。以前のトキイキの公演、同じくウルトラマンションが関わっていた物を見た時はこんなこと思わなかったはずなんですがなんの差なんだろう。まあ冒頭書きましたが真剣に観る類の公演ではなさそうなのでそんなにフラストレーション溜めずにすみましたが。この値段、席の埋まり具合、客層や物販の充実とか。しっかり商業としてパッケージされてるんでしょうね。そんなに情熱かける必要なさそう。チラシとかめちゃ素敵で期待値高かったんだけどな。旗揚げ公演ということで今後どうなっていくのか。案外この中から大女優が生まれたりして。次はガワだけじゃなくて中身が詰まった芝居が観たい。