作/演出:大成翔輝
会場:甘棠館show劇場
チケット料金:2,500円(配信:1,200円)
上演時間:約105分
公演の説明
福岡の演劇団体”きゃっとらびっと”の旗揚げ公演。
あらすじ
~世の中で、最も悪い組み合わせは弱さと争いである~
“冷徹無惨な氷の女帝”と呼ばれる皇帝ベイアー。彼女には心の内に秘めたある思いがあった。戦いとは何か、平和を願うそれぞれの想いが交錯する。人は一人では生きていけない。大切なものを守るために必要なものとは。「見た人全員が幸せになれるように」のテーマを掲げるきゃっとらびっとが幸せについて考えた作品。
※チラシより
キャスト
楠木里愛菜 野上倖大 空乃はるひ 萩原武蔵 永松拓道 柏良美沙紀 竹ノ下綾香 前の晃一郎 柚月 りのあ 明吉晏由
以下:雑感
うーん典型的な専門学校演劇って感じだ。つまらん以前の問題が山積み。話もよくある雰囲気シーンの繋ぎ合わせで、アニメ漫画しか見らず作った感がすごい。衣装はよく出来ている分、空間や演技の薄っぺらさとのギャップがすごくてコスプレ大会みたい。観客の想像力に頼りすぎず、もっと騙してほしかった。
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甘棠館show劇場。アクティングを通常のシモ手ハケを奥に、シモ手控えに向かうドアをハケ口にして三角形に広く使っていた。ホリ幕が謎に少し開いていて白背景が若干見えてる。奥には小上がりが2段くらい組んである。床面は何もひかず板目。正直しんどい。ファンタジーや時代劇などの”異世界”が舞台の場合見る側が作り手に優先して欲しいのは衣装よりも場所だと思ってまして。板目や段の骨組み、シモ手ドアのノブを出ハケの度にガチャガチャなったりなど。意識が令和日本の甘棠館から離れていかないんですよね。どれだけ衣装を煌びやかにして演技に感情込めてもかなり難易度高い。私は入り込めなかった。ガチガチに作り込まなくてもいいけどもう少し整えたほうがよい。ガチガチのドレス着てる女や騎士が普通にレバーハンドル回して入ってくるのシュールすぎる。楽屋かよ。
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言ってしまえばベタな話で。長い争いを続ける帝国と王国がいて、憂いている王女がいて、暗躍しているNo.2がいて~みたいな。でも最後は全ての憎しみを集めて人々をまとめるための扇動だったという感じ。ゼロレクイエム。
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物語の規模感がリアルと噛み合ってなくて共感性羞恥がひどい。
アニメじゃないんだからいきなりにOPダンスはやめたほうがいいです!!そしてタイトル言うでもなく文字情報出すでもない、ノー情報のただのショボい殺陣とダンス。目も頭もついていけないよ。空間の埋め方も下手だし。この「アニメじゃないんだから」というツッコミどころがホント多い。叫ぶぅ~~。し、シーンの切り替わりのテンポとか。冗長な説明台詞とか。殺陣はもう…どうしたんだろう。チャレンジはいいことですが。指導者はいないのか。稽古時間足りなかったのかな。
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芝居がなぁ。みんな「台詞を読む」のは達者。色も節もついてるし。しかし一人残らず”自分の言い方”しかない。キャッチボール下手な典型的専門学生芝居。順番にセリフを言い合っていくゲームにしかなっていない。一人一人の感情でしか盛り上がってないからこっちが乗っかれず引いちゃう。演者同士で高め合ってもらいたい。
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出た!死にかけなのにペラペラずっと喋るやつ!!つまらん芝居で絶対出てくる。
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いきなりBURNOUT SYNDROMES !!!!「ええ〜〜っ」って声出たわ。ここまで世界観とマッチしたイイ感じのケルトっぽい音楽できてたのに、一番上がる所でいきなりJ-POP。しかも「FLY HIGH‼」。ここだけ演出家変わったのか?観客の分際で言うのもなんだけど絶対違うだろ!!!!「FLY HIGH‼」熱血青春学園モノだけだろ許されるのは。殺陣も全部シャバいし、冷めた~~~~~~~~~~。
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1番偉そうな悪ボスの台詞が1番バカっぽい。雰囲気ファンタジーだなぁ。悪ボスが最終的に出張ってくるのが早すぎる。シチュエーションを整えてくれ〜〜。そして死に際の余韻よ。これまでクドイくらい色んな事象を説明台詞でタラタラお送りしてきたのに物語の核心ていうか、事件の根幹だろ彼は。すんげえさっぱり死んだぞ。可哀想すぎる。死んだ後また言葉で説明パート入るし。
死に際でもっと時間使えよ!役も役者も可哀想。唖然。暗転した時「ええ〜〜〜!!!???」って声出た2回目。
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ファンタジーの中に差し込まれてくるスラムダンクとか、現代のオタク語彙。邪魔すぎるし寒すぎる。まずは世界をちゃんと固めてから差し込んでくれんとシラけてしまう。普段「演劇」を観てないんだろうな本当に。漫画とアニメとオタク文化だけを材料に演劇作ってるのがわかる。キツい〜〜〜。生の人間に言わせるにはかなりシチュエーション整えないとキツいよ。イタイ。
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帝国、王国、帝国、王国…代名詞でしか言わん。言わんだろ自分たちのこと帝国帝国て。なんて国なんだよ。この世界には二つしか国はないのか。名前つけるの恥ずかしかったのか?
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終演後ノータイム写真撮影タイム。後説のゆるい感じ。旗揚げ公演だからなぁ。許容するべきか。2回目3回目もこの感じだと……
現実から乖離した芝居ほど作り手側が境界を守ってくれないとマジで最終的にコスプレ写真会に成り下がった感じだ。西洋風ファンタジーで大掛かりな舞台装置を用意できないにせよ、せめて板張りとか蹴込みのとこの骨組みとかは隠してほしかった。工夫して世界観に組み込むとか。あの空間に衣装だけガチガチはやっぱり見てられんくなるな。
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でも見所も結構あった気がするし。二回目以降の公演を楽しみに追ってみます。