観劇・感想

観劇感想:PARCO PRODUCE2024「リア王」

作=ウィリアム・シェイクスピア 翻訳=松岡和子 演出=ショーン・ホームズ
会場:キャナルシティ劇場
チケット料金:5,000~10,500円
上演時間:約180分

公演の説明
パルコ・プロデュース2024。英国出身の演出家、シェーン・ホームズの日本演出第4弾。
あらすじ
ブリテンを治める高齢のリア王は退位することを決め、3人の娘たちに国を分割して分け与える。そしてリア王は、娘たちの中で自分への愛情が最も深い者から順番に領土を与えていくことを考え、彼女たちを試す。
キャスト
段田安則 小池徹平 上白石萌歌 江口のりこ 田畑智子 玉置玲央 入野自由 前原滉
盛隆二 平田敦子 秋元龍太朗 中上サツキ 王下貴司 岩崎MARK雄大 渡邊絵理 高橋克実 浅野和之

以下:雑感

いや素晴らしかった。魅力的な俳優、刺激的な演出、熱のこもった濃密なやり取り。3時間の長丁場でも飽きの来ない素晴らしい観劇だった。
シェイクスピアの言葉たち(翻訳してあるわけだが。)の美しさ。古典最高だな。ざっと見だが、客席には老若男女まんべんなくいたのがなんだか嬉しかったな。何度でも観たい。

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キャナルシティ劇場。真っ白な空間に礼服の登場人物たちとオフィス家具みたいな装置。現代の不条理劇みたいな印象。というか洋物刑事ドラマの捜査シーンみたいな。あるいはソリッドシチュエーションホラーみたいな。「SAW」とか「メンタリスト」とか思い出した。なんとなく。
物語の進行に伴って荒れていく舞台や衣装がまさに悲劇のエンディングに向かっていくようでハラハラしました。すごく単純だけど舞台上で「何かが壊れる」って基本思ってないから実際起こるとものすごくドキドキしますね。

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言わずと知れた悲劇「リア王」。辛気臭い事この上ない空気感だがぐっと引き込まれてしまう。リア王(段田安則)のパワーが凄い。無機質でシンプルな装置だったからか俳優の魅力がよりストレートに感じられたような気がする。つまり俳優さんにとってはめちゃくちゃ難しかったろうなという。
壊れていく舞台や血で汚れていく衣服。落書きや散らばるゴミ、雷雨やハエの音。段々と壊れていく国家やリア王の内心、各人物たちの歪んだ心根ともリンクしているように感じた。
でも引き込まれてしまっているんだけど、不思議と一定の距離感は保って観られたような。それこそテレビを隔ててドラマを見ているような感覚でストレスは少なかったな。没入してるけど謎の軽さがあるような…。長いけどあまり疲れず観れた。英国の文化になじみが薄いのもあるかしら。

古典見るたび思うけど、当時の文化風俗や宗教観や情勢とか。もっと詳しかったら解像度上がるんだろうなぁ。まじめに勉強し直すか。

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エドマンド(玉置玲央)がずっと出ずっぱりなのが印象的だったな。あんまりそういうポジなのは珍しい気がする。道化とかが見届けてるのはあるけど。
しかしながら玉置玲央すごいな。声が一番響く。あの細身のどこからあの地獄みたいな声量が出てるんだろう。ヤバい。

エドマンドがずっといたことで新たに見えてくる角度があった気がするな。姉二人との関係性もそうだけど、言わずもがなエドガー(小池徹平)との決着もより際立ってドラマチックだった。
小池徹平もすごいなぁ。エドガーの変遷もあるけどこの3時間でたくさんの色が味わえた。衣装などが現代セミフォーマルだったのが物凄い味になってる気がする。冒頭の放蕩息子っぷりとか説明要らなかった。し、シンプルにお洒落でカッコいい。

上白石さんの生歌唱が聞けたのもかなりポイント高い。良き~でした。

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このボリューム感。俳優陣、クオリティの割には安すぎた気もするぜ。ラストまつもとも無事終えられますよう。まつもとの方々はお楽しみにお待ちいただきたい。そして感想見たい。
良い演劇観たなーーー!!!