観劇・感想

観劇感想:剣劇衆BUZIN主催2024年春公演「金塊少女」

作/演出:福田定史
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:2,000~6,000円
上演時間:約90分

公演の説明
福岡の芸能プロダクション・エレガントプロモーション所属の劇団プロジェクト「劇団エレガント」の2024年春公演。
あらすじ
人を襲い、身体を奪うことで生き長らえる不死身の怪物”アクマ”。その脅威に対抗するべく結成された”聖騎士”の新米であるエリモネは初の実戦で仲間を庇い致命傷を受けた…はずが傷はすぐ治ってしまう。その異様な回復具合はまるで”アクマそのもの”だった…!アクマに憑りつかれた疑いをかけられ牢に拘束されるエリモネだったがそこに黄金の右腕を持つ謎の女”セブリア”が現れ、檻から救い出す。同じ頃、聖騎士の拠点に突如悪魔の幹部”六忠剣”が出現し砦内は混乱に陥る…。エリモネの身体に宿ったのはアクマの力か…それとも──。
※チラシより
キャスト
相川満 阿部璃奈 伊東志保 岸里美 高祖夏姫 古賀太耀 司城真 末原彩妃 杉山春樹 小鳥遊 中願寺航晴 中嶋正人 仲ひより 中村久遠 那吹恭矢 野見山翔 樋口皓大 藤掛結 方城りあ 本多智大

以下:雑感

しょっぱい演劇だった。同時にもったいない演劇だった。脚本の設定とか役者の発声とか演出ひとつで10倍くらいおもしろくなったんじゃないだろうか。「あ~なるほどこういうことがしたいののね」と察することはあれど舞台上のことが何か”伝わってくる”みたいなことは無かった。要するに独りよがり。出力方法がよくなれば、か?

物語は好きなジャンルでした。SFファンタジー。『うたわれるもの』っていうか。

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ぽんプラザ。舞台は真っ黒な素舞台。平台1枚分の高さのアクティングで奥にが小上がりになっている。ハケ口はカミシモ二つずつと中央奥に一つ。花道などは無し。

芝居(気合)で場面が変わるタイプのやつっぽいがこの公演では上手く機能してなかったかも。終始今やってる場面でどこにいるのかわからなかったし、それが気になってしまった。

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嘘を成立させる力が足りないかも。ハッタリというか外連味というか。諸々の作りこみが足りない。

西洋(?)ファンタジーでカタカナネームなのにオール黒髪日本人。正直ツッコむのも野暮だけどビジュアルとキャラのミスマッチが気になって仕方ない。衣装もメイクも薄っぺらいし、あの世界を構成する説得力がなかった。あの騎士団の服はどうなんだ。。文明の衰退ヤバい。あの服で芝居するのしんどそうだったな。

反面無限帝(字面があってるのか)の核やセブリアの腕パーツなどのこだわった部分との差が、私にはよくないギャップに見えてしまった。「他捨ててこだわるところココ?」みたいな。自分の好きなところだけ力を入れて全体を見れていないんだな。

正直あの仮面怪人の登場には笑ってしまった唐突すぎて。仮面ライダーとか好きなのかな。物語全体の構築が弱かったから異物感すごい。他のアクマの核も同じように出してくれてたら、盛り上がったか?わからん。

一番キツかったのはものすごくみんな声が小さいこと。最悪舞台装置や衣装などの「飾り」は薄くても、役者の芝居が熱ければいくらでも引っ張り込めるものだが、この手のファンタジー殺陣芝居であのテンションはもう低い部類だろう。冷めて恥ずかしくなっちゃうぞ。

中でも、物語上印象に残るセブリアの声量が弱いのはいたかったな。クール演技のせいか。そのほかお若い人たちも軒並み声も芝居も小さくて小劇場なのにすごく遠く感じた。なのにキャラは漫画っぽいテクスチャが貼られた際立った性格だからコスプレ大会みたいだったな。痛々しい段階から出られていない。

上記のしょうもないところが気になるのも概ねこれが原因。

ていうかおじさん2人が1番きついな。大物感出してるけど熱の込もらないもったりした芝居してるし。噛むし。殺陣ももっさりしてたなー。エリモネ、ダイア、ドミニクの人は比較的良かった。

副聖騎士長は一人だけ声がデカすぎる。なんかこれは私だけだと思うんですけど、「その世界のベースの声量から逸脱してるバカでかい声の人がいるのに誰もその点に突っ込まない」事実に物凄い疑問符が出てしまう。デカすぎるだろ一人だけ。突っ込まないなら周りもがんばって声出してくれ。

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「間」の使い方が下手。まだ観客が情報や状況の消化ができてないのにポンポン次いくし、と思えば役者は気持ちよくなっちゃって変な間取って喋るし。客観視が出来てない典型。ていうか演出が機能してないのでは?ベテランも何人もいてるみたいやのにどうしたんや?若い子のそういうところは調節してあげたほうがいいんじゃないか。

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帝がいて、幹部の”六忠剣”がいてその他雑兵がいて。聖騎士団があって団長副長階級があって~。設定上なんかしらの組織あるいは軍団同士の戦いって感じだったけど、その周辺の描写が無さすぎてコイツらはどういう人たちなのか終始入ってこなかった。

ていうかなんで争ってたんだろこの人たち。

アモンの裏切り。展開自体は好きだし驚きもあるんだが、「この演劇」においては尺の関係もあるのか。あぁそう……って印象。主軸のエリモネの描写が足らないから衝撃も薄いんだよな。この行為によって何がどうヤバいのかピンと来ない。作り手の脳内だけでドラマティックになってる感じだ。

文明が滅ぶまで追い詰めてまた再興するほど時が経ったのは何年くらいたったんだろう。1000年じゃきかないと思うんだが。(ドクストでも3000年越え)その間のボディ交換は?8番が寝てる間セブリアはなにしてたんだろう。細かい疑問符がなぁ。余計なディテールの粗さが気になる。

そもなんで洋風にしたんやろ。お家芸の和風ファンタジーのほうが上手く出来たんじゃないか?知らんけど。

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殺陣。もっさりしてる。振り付け自体はとても見やすいんだが技量が低すぎて緊迫感とか皆無。殺陣の時と会話の時とで意識が切り替わる感じがして見てて冷静になってしまう。稽古不足なのかな。リハーサルかと思った。

かなり驚愕なんですが、立ち回り中当然の如く舞台から降りるんですけどあれは仕様なのかな。”舞台”から降りたらダメじゃない???そこは劇場であって演劇の世界じゃないよね?常識を揺らがされてしまった気分。ルートないのに入り口まで駆け抜けていくし。

脚が一歩出るだけで観てる側はめちゃくちゃ覚めるんだなというのは発見ではあった。すごいわ。やらないよ。

セブリアはあの長い剣持て余してるように見えたが…

最後の仮面ライダーみたいな8番、格闘家みたいな動きだったけどアレでいいのかね設定的に。ピンとこなかったなぁ。菌だべ?だし剣使えばいいのに。

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モルド菌の能力と、タイトルにもある「金塊」を出す能力とがどうにも腑に落ちない。噛み合ってなくない?なんか説明見落としたかな。どういう理屈で金が出るんだろ。ファンタジーパワーではなくて科学の産物だったから、何かしら理屈を作ってると思うんだが。タイトルにもなってるからもっと際立たせたほうがよかったのでは。

金も鈍くてなぁ色が。腕のやつとか普通に土とか岩だと思ってたから最初意味わからなかった。

ネーミングは8番の「8」から♾️?

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剣劇衆BUZIN。とはいえ実態は劇団エレガント?なのかな。固定メンバーがどれだけいるのか。稽古の足りない寄せ集めメンバーや演出を鍛えて、じっくりレベルアップしたらよくなりそうな兆しはあった。気がする。

ブラッシュアップしていってほしい。

でも演劇団体ではないのかな?実態がわからん。