観劇・感想

観劇感想:まちあわせプロデュース公演Vol.2「スイッチ」

作/演出:田坂哲郎
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:3,500~4,500円
上演時間:約90分

公演の説明
福岡の演劇ユニット・まちあわせの第二回公演。この公演のためのアイドルユニット「NEWing!」が発足し、”100日後に解散するアイドル”として活動している。
あらすじ
なかなか地下を抜け出せないアイドルグループ「NEWing!」。新人の矢面みちるが加入したことで、停滞していた彼女たちのストーリーが動き出す。
自分をアイドルだと思い込み、長く入院生活を送っている少女、裏野そら。患者たちを巻き込み、脱走計画をたてる。
どちらが現実で、どちらが妄想か。二つの物語は混ざり合い、混戦しはじめる。これは、小さなハコから飛び出したい彼女たちの、葛藤と混乱の記録。
※チラシより
キャスト
安武風花 深川詞梨 松田莉奈 牧野ひかり 大間萌夏 大谷豪 平田向日葵 テシマケント 川本千沙 鈴木永遠

以下:雑感

とても面白かった。やはり田坂哲郎氏の脚本演出ハズレなし。妄想と現実が入り混じるホラー、サスペンスかな?夏の初めにぞぞっとできる面白い演劇でした。

アイドルも素敵。

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主人公の精神病棟患者・そら=みちるの妄想アイドルパートと、病院パートを行き来して物語は進行する。

「カチッ」というスイッチの音が”切り替え”の合図なのかな?どっちかというと妄想と現実の情報が混ざる合図のようにも見えたが…。考える余地がたくさんあるお話でした。

ラストの「扉の絵」に変わるのはゾッとしたなぁー!なんて嫌な合点なんだ。

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大筋以外のコメディパートや、各キャラクターの掛け合い台詞も面白い。ワードチョイスがね。いいよね。

ホンポ(深川詞梨さん)歌うま。小劇場でこんなちゃんとした(?)ミュージカルシーンはそうそう見られない。声色も多くて素敵。

キャストの皆さん個性が活きてて楽しい。結構シリアスめな演目だが、座組の雰囲気の良さが伝わってくるようでした。

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「そら(安武風花さん)」のキャラ性としては『エスター』とか思い出しました。「みちる(松田莉奈さん)」のは方はどっちかというと翻弄されていたような印象。本体はみちる?でもラストの名前はそらちゃん。どっちだ?

“元通り”になったのならそれはバッドエンドなんだろうな。多分”元”の時になんかやらかして入院してるんだろうし。

アリアリ(大間萌夏さん)やくっすん(鈴木永遠さん)との距離の詰め方とかめっちゃ怖かった。

アラマキ先生の安否が気になるところ。あの刺したのが夢なのかリアルなのか過去なのか今なのか、考えるとちょっと怖いね。

物語通してでいうと『インセプション』とか『パプリカ』(オセアニアでは常識とか)を思い出したかな。周囲の断片情報から妄想を作る、みたいなのだと最近だとマーベル『ムーンナイト』でそんな場面があったか。観劇していても足元の覚束ない感覚が不思議で楽しかった。

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映像ドラマでも観てみたいなと思った。とてもいい時間でした。

もっとホラー系演劇増えないかなぁ。福岡にはジャンルとして不足している気がする。ただの願望だが。