映画・感想

映画感想:「Cloud クラウド」

2024年製作/123分/G/日本
配給:東京テアトル、日活
あらすじ
世間から忌み嫌われる“転売ヤー”として真面目に働く主人公・吉井。彼が知らず知らずのうちにバラまいた憎悪の粒はネット社会の闇を吸って成長し、どす黒い“集団狂気”へとエスカレートしてゆく。誹謗中傷、フェイクニュース――悪意のスパイラルによって拡がった憎悪は、実体をもった不特定多数の集団へと姿を変え、暴走をはじめる。やがて彼らがはじめた“狩りゲーム”の標的となった吉井の「日常」は、急速に破壊されていく……。
公式サイトより

以下、雑感

常に薄ら暗い……。自分たち以外誰も幸せにならない稼業だ。終盤は胸がキリキリハラハラする。全員自分のことしか考えてない希望が全然見えない、でも謎のエネルギーが満ちてる変な映画だ。
味はすごい濃い。
転売屋のとして生計を立てる菅田将暉が周囲の恨みを買い続けてとんでもないことになる話。

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ラーテルとはWiki曰く、「本種のみでラーテル属を構成する」「属名Mellivoraはラテン語で「蜂蜜食い(melは蜂蜜・voraは食い荒らす・むさぼる)」の意」名前からして孤独……。そして「世界一怖い物知らず」。
名は体を表してるなぁ。キャラ造形がいい。ほんまもんの自己中だ。秋子に対する感情も全然愛情とかじゃないんだろうな…。
段々と狂っていくわけじゃなくて、精神構造としては一貫して変化が少ないのもすごく印象的だった。”現代”の人間像なんだろな。

終盤の銃撃戦でも、色々あって振り切ってきてる敵方より、「最初」を乗り越えたら速攻でためらいがなくなっていく吉井くんのほうが怖え〜〜〜〜。極限からの振り切り方ってこんなんなのかな。勢いが…
終わってから商品のチェック……。薄ら寒い。ニコニコすんなよ……。でも本人には普通なんだろな。
ず~っとなんていうか、乾いた空気を纏ってる変な人間だったな。菅田将暉とすごいマッチしていた。

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あきこ……毒婦やな~~~。自分の力でなんとかしようみたいな感覚0(転売屋はみんなそうか)の女。
岡山天音ゴラムみたいだな。「援護ってどーやんだよ!」至極真っ当な疑問。笑ってしまった。佐野くん謎すぎるし怖すぎる。顔は良。でも誰かに寄生して生きていくのが性分の人間っているよね。
荒川良々も怖い。幅広い。
窪田正孝もいいなぁ。「ラストマイル」を観たばかりで六郎の印象が強いのでビビる。役幅広い~。先輩のプライドがわかる…。年齢ってくだらんけどターニングポイントになるよね。吉井の後輩だったらどうだったか。

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でもなんというか、追い詰められて寄る辺が無くなってしまって、とにかく手軽で「すぐ」利益が出る方法に飛びついてしまうのもわかる。わかってしまったな。色んなものから温度や色が無くなって目先のことしか考えられなくなるんだよな。
暗雲立ち込めるというか。真っ黒に囲まれてしまったような感じになるというか。それでも行き過ぎるとみんな”ああなる”んだろうか。
そんな環境、それこそラストシーンの暗闇に向かうような世界の中で、自分の欲求のために突き進んでいけるのは吉井みたいな人間たちだけなんだろうな。怪物なのか天才なのか変人なのか呼び方はわからないけど。
人間の奥深さ、バリエーションの豊富さに驚くばかりです。