観劇・感想

観劇感想:非・売れ線系ビーナス第30回公演 「王様の耳は」

作/演出:田坂哲郎
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:1,000~3,500円
上演時間:約100分
公演の説明
非・売れ線系ビーナス第30回公演。日替わりでキャスト変更して上演。
あらすじ
轡田大学の演劇サークルに所属するアッコは、地元の中堅劇団バーバーホールの公演に受付のお手伝いとして参加する。
アッコが楽しみにしているのは、開演後、一息ついた受付でこっそり交わされる、地元演劇界の黒くて甘い噂話の数々だった。
あくまで完全フィクションの、悪口エンターテイメント!  ※公式サイトより
キャスト
にしむらまなみ 青野大輔 中島伊織 风月
【日替わり出演】
セクシーなかむら 長野哲也 宮村耳々 村岡勇輔 田坂哲郎

以下:雑感

ドロドロ未満ネチネチ以上の小演劇(人)あるある裏話。界隈の人じゃないと全然わからんのでは。逆にわかる人には共感の嵐だと思う。私には結構効いた。ネットミームスラング多用な所も含めて。

非売れさんらしいナチュラルな喋り口で会話も聞きやすい。色んな意味で劇団愛演劇愛が感じられました。楽しかった。

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平台一枚分上がったステージ。黒パンチ張り。カミ手ド面に足の低いベンチ(ぽんの自販機前のやつ。多分)、シモ手前には黒パネル、その奥には木枠でゲートみたいな物が。目算200×180くらい。

センターにはL字型に長テーブル。パイプ椅子が二、三脚。机の上には紙袋がたくさん。芝居の受付みたい。袋は差し入れかしら。開場中から役者さんが無声で芝居中。

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受付コメディだった。実際の客席とリンクしてくるのが物珍しくて好きだった。なんというか、こういう手法って小演劇ならではと言っていいのかな。意識の枠組みを越えてくきて目が覚めるやつ。第四の壁越えてくる的な。映画とかでもあるか。

あ〜作中の台詞に踊らされているのか。「演劇じゃなくない?」みたいな。演劇だよ。楽しかったな。

ああいう劇団周りのトラブルやトラブル未満なしがらみとかって全国共通なのかしら。国民性なのか。人間の業なのか演劇の業なのか。マジで2.30年作中で同じ話題で盛り上がれてる気がする。もはやそういうもんなのか。

そんな中から奇跡的にめちゃ面白くて売れるモノたちが出てくるんですよねたまに。だから辞められないんですよねー。私は辞めた側ですが。キャラクター全員の何かしらが全部刺さってきた。これも共感性羞恥?なのか?

アルコール缶シャッフルが一番笑った。あと自販機はズルいよね、笑うまでやるやつじゃん。

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水机さん(青野大輔さん)。苦労人なのかもしれない。噂におひれはひれ付いて嫌なイメージがつくのもあるあるですかね悲しいかな。でも悪口言われても「生き霊かも」ですぐなんとかしようとするあたりめちゃ良い人なのかもしれない。

アッコちゃん(风月さん)。いるいる〜いたよああいう小賢しいシニカル演劇学生。まぁ全員「いるいる」だったけど。振り返るとどの演劇人にもあったんじゃないでしょうかあんな時期。あんなにとんがってはなかったかもだけど。懐かしい気持ちと引っ叩きたい気持ち。

ていうか全員いるいるこんなヤツら!だった。

福岡の演劇シーンを観ているとアイドル云々から文化死ぬぞのくだりとか。そのアイドルさんたちが割とマジで頑張ってやってる(下手したらそこらの俳優より「仕事」してる)っていうのは中々マジだよなぁ。集客が大事。ほんと。

文化が死ぬとまでは思わないけど構造改革は成ってほしい。他力本願。まあいいか、私は観客なので。

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ミダサナイ王、多分ミダス王のパロ。好きなギリシャ。「王様の耳は」ってなんでこんなタイトルなのかなと考えたりしたけれど、

悪口聞いても動じるなってことかな。どれだけ隠してもどっかで漏れるし広まるし。かと言って犯人探して断罪しても意味ないし。やりたいことやったり辞めたりしたほうが有意義か。あんま気にしなくていいよみたいなことかな。という解釈。

悪口コメディにこの題名をつける。オシャレだ。

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30回かー。素直にすごい。開場中トークも少し聞けましたが、流石に様々な紆余曲折があるんですね。それでも苦労はつきまとう「劇団」。越えてきた凄さも辛さもまとめてやっぱり愛を感じたりなど。

でも続けることにも辞めることにも”良し悪し”で語らないでいてくれたのはなんだか嬉しかったな。

チラシの王様の絵、可愛くて好きでした。次回も行こう。