映画・感想

映画感想:「岸辺露伴は動かない 懺悔室」

2025年製作/110分/G/日本
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2025年5月23日
あらすじ
仮面の街で、幸福と絶望が交錯する─
漫画家・岸辺露伴はヴェネツィアの教会で、仮面を被った男の恐ろしい懺悔を聞く。それは誤って浮浪者を殺したことでかけられた「幸せの絶頂の時に”絶望”を味わう」呪いの告白だった。幸福から必死に逃れようと生きてきた男は、ある日無邪気に遊ぶ娘を見て「心からの幸せ」を感じてしまう。その瞬間、死んだ筈の浮浪者が現れ、ポップコーンを使った試練に挑まされる。「ポップコーン」を投げて3回続けて口でキャッチできたら俺の呪いは消える。しかし失敗したら最大の絶望を受け入れろ…」。奇妙な告白にのめり込む露伴は、相手を本にして人の記憶や体験を読むことができる特殊能力を使ってしまう…。やがて自分にも「幸福になる呪い」がかかっている事に気付く。
公式サイトより

以下、雑感

良かった。静かで冷たくて、しっとりした質感の空気。太陽と海と死が満ちた国で、呪いと幸せと愛の話。結果自己中なピエロの独り相撲でしかなかったのではなかろうか。

そんな中で露伴先生だけが「おもしれぇ〜〜!!」と「許さねぇ〜〜!!」の二本柱でかき回していくのが最高。泉くんの無敵感も相変わらず最高。ドラマ1話から変わらず、作り手側にも愛と本気度が感じられてこれまた最高。

*****

冒頭から画が美しい。イタリアの風景と朽ちたペストマスク。黒づくめの岸辺露伴。

やっぱりババアの丸メガネつけてる。そのメガネとそんなベルトだらけのコートが似合う男は日本中探してもそういまい。

台詞通り、場面的にも歴史的にも光と陰が強調される印象強いシーンだ。まあ世界中どこも両面あるとは思うけれど。

ていうか先走ってきてたんかい先生。電話切った後の「こりゃあと2日くらいはかかるな」って計算してる感すごいいい。我々も髙橋一生露伴に慣れてきたのもあろうか。思考が読み取れる気がする。知らんけど。

お決まりの二人組の小悪党成敗&自己紹介シーン。もはや水戸黄門やコナンくらいの安心安定感があるな…。イタリア語も上手いな…。そして原作ポーズ。キマッた…。

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泉くんが相変わらず良き。あれ?イタリア語はいけるんや?ってなったけど納得のオチ。この物語の「陽」の部分を一身に担っている。素敵だ。

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やっぱり1番楽しみだった「懺悔室」の本編パート。なんか色々満ち満ちている。すごい濃かったな一連。

ポップコーン食べるだけのシーンが熱すぎる。鳩まで演技してない?

戸次さんすごかったな。前情報ほぼカットしていったからスタッフロール見るまで気づかなかった。

よくよく聞いたら、(原作知ってるからだろうけど)「マリア!」「マリア様!」って呼んでるのちゃんと役通りだったな。撮り方で一見わからないようにしてて上手い。

マリア(娘)の豹変が赤いヒジャブっぽい物に変わっていた。良改変だと思うなど。確かにあの演技はなかなか難易度が高い。し、より悪魔的な印象になった気がする。

井浦新がいいなぁ〜〜また。黒ずくめスーツに室内で蝙蝠傘ってだけで絵になってしまう。ガワだけみたら厨二病の塊だがこんなに雰囲気出てしまうものか。さすがだ。演技にもジョジョ愛が滲み出ていた気がする。魅入ってしまったな。抗うのをやめて、ある種達観したような諦めた男のドロっとした感じ。

「パンを逆さにする」のって不吉なのね。

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ところどころ「これって5部のあそこじゃない?」みたいなところあってほくそ笑むなど(真偽不明)。

1番わかりやすかったのは”幸運のてんとう虫”。ジョルノこの時分にはもうパッショーネのボスやってるのかな?私の解釈だとこの「実写岸辺露伴」は一巡後ということで納得させているわけですが。果たして。まだいつか仗助とかの登場を夢見ている…。

あと半ばでクラッシュと戦ったところっぽい所とか、エンディングの街灯はギアッチョにトドメ刺した場所では?などと一人テンション上げていました。全然有り得るよね???

イタリア行ってみたい。

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バチギレの露伴先生が観れたのが特にポイント高い。あんな面白い大人いないぞ。

緊迫の空気の中でも全然ブレずに好奇心と漫画のプライドだけで生きてるなこの人。

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ともあれ良かった。無理やり比べれば「ルーブル」の方が好きではあったがメイン二人の親密度(絆?)も熟成されてきた感じで安心して観られる。

この調子でバンバン世界拡げていってほしい。次回はどうなるやら。どうなってもきっと面白いだろう。