めちゃくちゃ面白かった。
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ザ・スズナリ。
間口4間たっぱ3間くらい130席くらい。ぽんプラザに似てる。
灰色パンチに山?森?の中っぽい。全体的にグレーベース。上下の壁面は赤茶けた岩肌のよう。(全部観終わった結果恐らく海底。タイトルも渦だしね)
舞台下手に一組の机と椅子。その真後ろにグレーの垂れ幕。
上手前に丸井金魚鉢。オレンジの金魚が入ってる。
センター奥に木組みの箱が重なって枯れ木になっている。
段々でジオラマみたい。
はけ口はビラビラの切れ目いっぱいのカーテン(名前なんていうんだろう)で覆われている。
プロジェクションマッピングで様々な効果。
開演後に下手の幕が落ちて奥にはデスクとラップトップ。靴下がばらまかれている。主人公の仕事部屋。
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ラノベの作家の話。
引きこもりで招待不明の人気ラノベ作家・桐生たくみ。
ウェブ連載で人気を博し、書籍化一歩手前というところで何故か書けなくなってしまう。
その後のアニメ化・実写化・メディア展開を目論んでいた出版社はこれは一大事ってことで、
担当の沼袋と、世話役として吉川の二人を桐生の仕事場へ派遣する。
スランプを脱却し、作品を完成させるために試行錯誤していく。
スランプの原因を探るうち、桐生の忘れられた過去に焦点が当たっていく。
テーマは愛。かな。
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いや~面白かった。
何から言えばよいのやら。
開演のアナウンスからすでによかったな。水野美紀のとぼけた感じにキャスト陣がツッコミ入れてく体だったんだけど、始まる前から笑わせてくれて入り込みやすかったかも。
俳優さんたちのポテンシャルがえらく高いのが感じられた。アドリブもあったんだろうけど、一瞬も芝居が零れ落ちることなく圧倒されてしまった。
小説家はじめ作家をテーマにするのはいい手法なのかもなぁ。
作中では桐生たくみの書いた小説を劇中劇という形で取り入れてるんですが、突拍子のないコメディシーンとして自然に組み込まれてる。
ここでのキャラクターたちが終始桐生と吉川の分身というか代弁者となっていて、過去の回想やらシーンが移っても自然と入り込めた。
ただの荒唐無稽な遊びだけで終わらず無駄なく組み込まれてる。子供みたいな感想だけど単純に上手いなぁと思ってしまった。
後半芝居のトーンがガラッと変わる。
桐生の心象が銀色の渦巻く海みたいに表せられてるのが、幼少期の結構えげつない記憶のシーンなんだけど
なんだか綺麗に見えてしまった。
ギャグ調に見せられた様々な要素も、後半には別の側面で意味づけがされていてなんだか胸がキュッとなった。
「愛」っていうありふれてるけど不確かなモノを色々な形でとらえていて、それぞれの対比が「愛」というモノの輪郭を際立たせてくれたような気がする。
たくさん笑って最後にはじんとなる温かいお話でした。
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終わったあとステージナタリーのコメントを見たんですが、本当にたくさんの要素が盛りだくさん詰め込まれていた。
全てが綺麗に纏められていて、終わった後にはとにかく
「すごいもの観たな~」
とため息が出るような芝居でした。
こんな芝居創ってみたい。