作/演出:野田秀樹
会場:博多座
チケット料金:3,000~12,000円(博多公演)
上演時間:約130分 公式サイト
公演の説明
NODA・MAPの2年ぶりの新作公演。東京・大阪・博多で上演される。
あらすじ
“潰れかかった遊園地”を舞台に繰り広げられる“劇中劇”のようなもの
キャスト
高橋一生 松たか子 多部未華子 秋山菜津子 大倉孝二 大鶴佐助 山崎一 野田秀樹 秋山遊楽 石川詩織 織田圭祐 貝ヶ石奈美 上村聡 白倉裕二 代田正彦 竹本智香子 谷村実紀 間瀬奈都美 松本誠 的場祐太 水口早香 茂手木桜子 森田真和 柳生拓哉 李そじん 六川裕史 菊沢将憲(スウィング) 近藤彩香(スウィング)
以下:雑感
楽しかったなぁ〜〜。まさしく遊園地みたいだった。劇場空間をを上から下から奥から前まで余すことなく使い尽くしてずっとワクワクして引き込まれていた。言葉遊び(こじつけ駄洒落?)も相変わらずで面白い。絶対他所で聞いたらくだらないのに面白いのはなんでだろう。ネームバリューに負けてるのだろうか。いや、くだらなさは変わらないか。それすらも魅力。幾重にも重なったテーマが軽妙なテンポと大仕掛けで言葉遊びで展開されてすさまじかった。今回は普段より若干強めだった気がする。
一見全員おとぼけているように見えて、内側に抱えた葛藤や願望がドロドロに重なって、そこからにじみ出る思いのようなものがしっかり存在感を持っていて見ごたえが凄かった。わかりにくいようでいても創作者の積み重ねた内面って”ある”んだろうか。あるんだろうな。私の感覚が正しいのかわからないけれど。
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満月みたいな床。綺麗だ。不思議の国のアリスをベースに今世間に浸透してきている様々なテーマを得意の言葉遊びを交えながら、それこそ寓話的に演じられていた。自分の視点があっちこっちふわふわ飛び回った気がしますが見失わずに最後まで観られたのは演出の技でしょうか。すんげ。
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妄想の世界に逃げるしかない限界の現実と、世の不条理と闘う実在の現実と。バランスがだいじなのかなぁ。我々が向き合って戦わないといけないのは「現実」のほうなんですが、そのためのエネルギーは妄想から得るのも一つだし、現実の関わり合いから得るのも一つだし。でもそれらすらも奪われてできなくなってしまった人たちもいて、妄想の世界に逃げ込むしかない人たちもいて、その構図を利用しようとする人たちもいて。そしてそれら全部から自分は無関係だと、画面の向こうのモノだと思っている私たち。
今の社会は”ないもの”に逃げ出しやすくなっている気もします。それでも確かにある現実はある時急に襲ってきたりする。しっかり考えて向き合っていくことが大事。なのかな。大事なモノを守るためにも考えながら生きていきたい。そんな感じのことをつらつらと考えました。
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舞台装置が楽しすぎた。
あのバカでかい時計と合わせ鏡はどうやって作っているんだろう。奥行きが無限に連なって広がっていく様はまさに「アリス」。すげえなぁ。空間の使い方に際限がない。あの広がりはそのまま演出家の想像力の広さなんだろうか。思わず笑いがでるくらい引き込まれた。デカい布や穴やロープ、螺旋階段の身体表現。個人的なものですが小劇場のスケールでやるような演出を大劇場でやってしまうところとか野田地図の好きな所。
合わせ鏡はマジでどうやってるのかホントに気になる。調べたらわかるかしら。
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海を越えててやってきた拉致工作員。そうなると思いの外直接的なタイトルだ。
“野田秀樹”に「それがお前の表現か!?」とか言えねぇ〜〜〜。めちゃくちゃ笑いました。
飛ぶ高橋一生。裏走り回る高橋一生。眼福。すげ~~~~~。
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正直自分が見た過去作と比べると熱狂度合いは微妙。スタンディングするまではノレなかったところもある。テーマも関係あるかしら。
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博多座で野田地図が観られる喜び……。次回もその次もきて欲しい〜〜。運良くチケット取れてよかった。何回も観たい。語りたい!
また来てほしい。しかしこれを見た後ただただ楽しんでいいものか。少しでもこの世界、社会を良く出来るように日々努めていきたいものです。