観劇・感想

観劇感想:Mr.daydreamer過去公演配信「ソクラテスの弁明」

原作:プラトン 構成・演出:上野隆樹
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:2022年の公演のYouTube無料公開 →本編映像
上演時間:約60分

公演の説明
福岡の劇団・演劇ユニット”Mr.daydreamer”の2022年の公演「ソクラテスの弁明」の本編映像配信。
あらすじ
プラトンの「ソクラテスの弁明」より。公演情報
キャスト
池田千春 沢見さわ 古川智恵子

以下:雑感

なんというか、観客に”伝える”とか”楽しませる”とかいう感覚は全然ない感じですね。勝手に伝われ。っていう。
めちゃめちゃ内向きのエネルギーを勝手に高めていってハイになって出し切ってる様を見せつけられた。配信で観るモノではなかったかも。

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ぽんプラザホール。舞台は裸の平台2×4枚の四角形のアクティング。天井から白い布が何本も長く垂れて飾ってある。サーカスみたいだ。キャスト三名も上下真っ白な衣装でどことなくローマ風。多分原作の本文がプロジェクションで舞台にもキャストのも投影されている。
劇場備え付けの客席に対して横向きに設営してあり、恐らく三方からの囲み舞台になっている。
キャスト陣はレンガ大の木片を三名それぞれ持っていて、それに腰掛けたり平均台のように乗って芝居をしたり。キャストの身体に負荷をかけていくような演出。以前”MMST”の舞台でも似たような手法で観たな。

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劇場で共に体感していれば全く違った感想を得られたかな。
舞台美術、照明は美しい。インスタレーション的な。そこだけでも見応えはある。が、中身は「ソクラテスの弁明」をあの手この手で捲し立てるだけで物語的な魅力は感じられなかった。現代アーティストの自己満って感じだ。もしくは見世物小屋。

見せたいところがそういう、なんというか。俳優の突き詰めた感覚というかトランスに至って燃え尽きるまでの過程だけだったんじゃなかろうか。正直演目の内容は全然伝わらん。なので特に語ることが無い。「あ~~なんか気持ちよくなってんな~~」っていう。ほぼ自慰行為。演劇って全部そうかもですが。とかく内向きでしたね。
そもソクラテスの弁明っていきなりサビから始まるような部分ですから初っ端からノるの難しいですよね。でも多分そこんとこも理解した上で切り捨てたのかな。

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やたら吐息を強調してたり。見る側にノイズをあえて残して意識を引き込んでくる感じ好きでした。しかしキャスト三人の身体能力が微妙。この手の演出だと絶対噛んだらだめですよね。きつすぎると思いますがホントにノンストップで貫き通して初めてしっかり完成するモノじゃないのかなぁ。それともそういう「ブレ」も計算の内なんでしょうか。
ただでさえ見てて痛々しくなっちゃうのに、ぶれちゃうと恥ずかしくなっちゃったな。

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Mr.daydreamer。デイドリさん。この演劇力をもう少し観客に向けて寄り添ってくれたらもっと…。とか、余計な事考えてしまいますね。
劇場では未見なので。次は生で感じてみたい。