作/演出:泊篤志
会場:J:COM 北九州芸術劇場 小劇場/アトリエPentA
チケット料金:1,0000~3,200円
上演時間:約100分
公演の説明
飛ぶ劇場の46回公演。北九州と長崎の2ヶ所で行われる。
あらすじ
世界中がくすんでいたあの年のどんより光っていたわたし
※公式サイトより
キャスト
木村健⼆ 葉⼭太司 佐藤恵美⾹ 德岡希和 乗岡秀⾏ 松本彩奈 横山凜太朗 桑島寿彦 文目卓弥 脇内圭介 藤原達郎 たじま裕一(長崎のみ)
以下:雑感
学生演劇に毛が生えたくらいの内容だったな…。歴の長さと面白さって比例しないんだ。クオリティはある程度安定してるけれど、若手とベテランの技量差が目立ってしまっている。場面ごとに笑えるやりとりはあっても、それぞれのトピックがバラけてて全体のカタルシスがしょぼしょぼ。
正直観劇後の印象はつまらないアイドル芝居観た後と一緒。綺麗どころがいない分今回の方がしんどかった。
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芸劇の小劇場。舞台は小さなコンカフェ。下手奥に向かってバーカウンターと丸椅子が三脚。下手前には正方形のグレーの箱が二つ。上手前にメニューが載ったテーブルとチェア二脚、ベンチがひとつ。床面はグレーのパンチ張り。なんかあったかそうな雰囲気。舞台上に一段上がってキッチンカウンター作ってる感じ。壁には各種リキュールなどが並べられている。
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いまだコロナ禍真っ只中の2022年。生きづらい毎日を送る”とわ”(徳岡希和さん)は、とうとう大学を中退し、場末のコンカフェ「マニアマニア」で働き始めた。コミュ障ながらも慣れない接客業に勤しむ中で徐々に前向きになっていくとわ。ある日別れたはずの元彼が店に押しかけてきてしまう。同僚も常連も別れた方がいいと言つもののなんだかんだと気持ちを切り替えられず、拒否しきれずにいたのだった。そんな中お客の1人・田村正勝(木村健二さん)から「彼と別れないと第三次世界大戦が勃発する」と言われる。なんと彼は未来から戦争を止めるためにやってきたタイムトラベラーだったのだ。にわかには信じられないとわだったが………
みたいな。もっとあるけど。
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話の筋は「選択」によって変わる未来。悪いことだらけの一年だったけどそれぞれの意識次第で身近なところから少しずつでもよくできます、よくしていけたらいいよね。
みたいなことかな。
ふざけ切れない煮え切らない盛り上げ方で話のボルテージが上がらねえ〜〜。
群像劇にしては話のフックがデカすぎるし(未来人による過去改変、戦争回避)、ひとつのストーリーとして見るには一本筋の描写が弱くて感情移入しづらい。年増アイドルとかのサブイベントの主張も強いし、と思えばあーやちゃん(松本彩奈さん)の宗教からみのパートはほぼ描写なく、最後はフワッと帰ってきたし。3人のうちの1人だけ半端におくのは作ってて気持ち悪くなかったのかな。見てる分には据わりが悪かった。
「2022年」という、”ひどい一年”を過去改変する〜とかめちゃくちゃ面白くなりそうなのに寄り道がすぎたな。話の焦点が定まらず、全部が「ちょっとオモロい」くらいのトピックになってしまっていた感じ。この尺ならもう少しまとめて盛り上げられたのでは。
当パンに色々書いてあったけど。今回のエピソードって「マジでなんにもなってない」から見てる側にもなんも残らなかったな。タムカツさん音もなく消えたから最後ちょっとホラーだったし。
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オープニングのダンスひっどいな。”場末のコンカフェのクオリティ” とか ”シャトー未来(佐藤恵美香さん)の痛々しさ”とかを表現してるならドンピシャだったと思うんですが、作中で突っ込んだりしてくれないとどう受け止めていいのかわからない。オタクの騒ぎも中途半端だしただただ痛寒い始まりでヒキ笑いしか出なかった。ヌルッと作らないでほしい。そも何コンセプトのカフェなんだ??アイドル?
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最終的に記憶操作して痕跡消せるなら色々設定ずれ込んでこないか?ラストのほんのりエモさのためだけの設定なのかな。SF部分の取り回しがファジーだからなんともわからないけども。
コンカフェもそうだし陰謀論にハマる身内とかアイドルとかもなんか練り込みがすごく浅かったように思う。Wikipediaだけ見て書いた論文みたい。そういうとこ突き詰めない作り方なのかな。
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笑いどころがマジでその時々の笑いでしかないんだよなぁ。役者さんそれぞれの息の抜き方とかが上手くて、おかげで面白いんだけど物語からほぼ浮いちゃってる感じだった。未来人の若い人間との交流でテンション上がっちゃうところとかは好き。
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これ突っ込んだら負けなのかな。「2022年」なのに全然マスクしてない、っていうか出てきてないのはなんでなんだろう。私はめちゃくちゃ違和感でしたがどなたも気にしなかったのか。とはいえ何かしら意図があって除外したんだろうとは。
思う。
んだけどなぁ〜〜。
作中でコロナにもワクチンにも言及してるのにマスクにはノータッチはちょっと嘘すぎるのではないか。こんなにソワソワしてしまう自分にも驚いてますが時代劇でだれも髷ゆってないくらいの違和感。コロナ禍描くには必須アイテムじゃね?いっそ気持ち悪かった。外から出勤してきても、コンカフェで陽性出ても誰もしてないどころか話題にも出ないんだもん。全員ノーマスク派だったのか??リアリティなくない?
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なんとなく会話が全部緩かったよなぁ。自然だとかそういうことじゃなくて。稽古少なかったのかなぁ。甘噛み多かったし。そんなハードな会話でもあるまいに。
飛ぶ劇場はこの公演で何を得たんだろう。何か目標値があったのかな。関係者全員にまとまったお給料が発生してるんだとしたら「無」の催しでもいいと思うし、表現活動に意味なんか究極いらないんですけども。何も懸かってない出し物ってすんげえヌルい。いや、知らないだけで色々あるのかもしれないけど、私はなんの熱も感じられなかった。なんか覇気のない芝居だった気がする。
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芝居も物語も中途半端で煮え切らない公演でした。団体のファンの人たちはケラケラ楽しめたようですが、そこにノレなかったのは辛い。