作/演出:川口大樹
会場:福岡市美術館ミュージアムホール
チケット料金:3,000~6,000円
上演時間:約95分
公演の説明
万能グローブガラパゴスダイナモスの第32回公演。東京と福岡の2都市でのツアー公演。
あらすじ
今日も三途の川は死んだ人間たちが列を成している。閻魔大王の孫、閻魔ご(青野大輔さん)は死者たちをまとめ渡し船に乗せようとするが、人間たちは中々乗ろうとしない。「口コミがないと乗りたくない」という人間たちの為にあの世の者たちは未だ知らぬ”口コミ”をあの世の運営に取り入れることに。それ以来”口コミ”を始めとした現代の文化・概念が徐々に地獄に入り込んで来て…
キャスト
椎木樹人 石井実可子 澤柳省吾 西山明宏 千代田佑李 つじむらかほ 青野大輔 富永真由 樅山幸音 杉山英美
以下、雑感
面白かった。久しぶりのガラパ新作観劇。客演さん少ない時の方が面白い気がする。最近ワンシチュエーション以外の話が増えてきてますが、ジャンルが違えどしっかり面白いのは流石だなぁ。
客席も満席で観客層も老若男女満遍なく見受けられる。場内スタッフも劇団員はじめ若者がたくさんいて、幅広く愛されている団体だなというのを改めて実感するなど。
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福岡市美術館ミュージアムホール。めちゃくちゃいい感じのホールだな。三途の川?に衣服がたくさん掛けてある。地獄で衣服だと、奪衣婆が思い起こされるけども関係があるのかな。カラフルで見た目から楽しい。木製の小さい椅子や箱がチラホラ。上手に屋台?奥には茶色い大きな布が掛かっている3×2mくらい。奥ハケ口になっていた。
幕のデザインとかは南河内万歳一座みたい。パッと見和風不思議の国のアリスって感じで不思議可愛くてワクワクしました。奪衣婆がホントならこんな感じかな。昭和の人間が死んで来たあたりから色味増えていってるかもね。
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「もし地獄に口コミ(現代文化)が広まったら?」というお話。
現代ではもう空気のように身近なネットやSNSだが、人間界でも発展したのはいいとこココ20年くらい。云万年と存在している「あの世」からするとほんの5分前にいきなり現れたくらいの異文化なんだろうな。あの混乱ぶりも納得。
未開の土地に現代文化を入れ込んだ際の混乱や発展を楽しむのは、なろう小説とかでの現代知識無双がウけてるのと同じ構造な気がする。観客側にも知識共有がいらないからわかりやすくて楽しかったな。
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ギャグが全部面白い。
屋台の設備がどんどん増えていくのめちゃ面白かったな。根性で動かして笑い取りにいってる感じが小劇団っぽくてすごい好きだった。人力だよね多分。
人間(澤柳さん)がカミ手行ってすぐシモ手から出てきたやつ。みんな「えぇっ!?」ってなってた。同じ衣装用意して入れ替わったのかな。細かい仕掛けが楽しい〜〜。私もドキっとしてしまった。
でもあんまり「間」とか空気を使った笑いはなかったような気がする。ガラパの特色だと勝手に思っていたけど。
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しかしながらやっぱりファンの皆さんと笑いのタイミングが合わずにソワソワすることも多々あった。人それぞれだけど「そこで笑う?」みたいな冒頭でゲラってる人も多くて…。気にしすぎかな。
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運営が外資に代わってのリセット方法が「ノアの箱舟」方式なのは面白かった。入れ込み方が上手い。外資🟰キリスト教ってことよね。
「ファンタジーあの世」の遊び方が見ててワクワクした。
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友情や親子愛、保身や承認欲求に踊らされてヒートアップしていくインフルエンサーとか。死後の世界を舞台に現代の病気が蔓延していくギャップが面白かった。獄卒たちも俗な面があるのかもしれませんね。
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公演外では劇団員の移動など、なにかとバタバタしていた印象があったガラパさん。無事に幕が上がったようでなにより。しかしこの中に彼らがいたらまたどんな味だったのかなど考えてしまうな。それだけ魅力的なお二人でした。
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年度末。最近なかなか観劇する暇が取れないが観に来れて良かった。
東京公演も満員御礼で終わりますように。次回の西鉄ホール公演も楽しみにしています。