映画・感想

映画感想:映画「六人の嘘つきな大学生」

2024年製作/113分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2024年11月22日
あらすじ
誰もが憧れるエンタテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用。最終選考まで勝ち残った6人の就活生に課せられたのは“6人でチームを作り上げ、1か月後のグループディスカッションに臨むこと”だった。全員での内定獲得を夢見て万全の準備で選考を迎えた6人だったが…急な課題の変更が通達される。「勝ち残るのは1人だけ。その1人は皆さんで決めてください」会議室という密室で、共に戦う仲間から1つの席を奪い合うライバルになった6人に追い打ちをかけるかのように6通の怪しい封筒が発見される。その中の1通を開けると…
公式サイトより

以下、雑感

すごく面白かった。ドキドキしたなあ。邦画は時代劇とスーツ着て討論する映画には外れが少ない。若干無理筋かな?と思う推理にもピシッと決まる種明かしがきて気持ちいい。

キャスト陣の演技も明暗がすごくて引き込まれた。赤楚衛二が特に好きだった。みんな好きだったが。

*****
冒頭、テンポがたのしいな。頭のいい人、就活中の大学生たちの交流のぎこちなさもなんだか微笑ましい。
わかりやすいくらい高学歴就活生ムーブと年相応大学生ノリもよい。しかしこの後の衝突への前振りにしか思えなくてハラハラした。

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「月と同じなんだよ。就活中って表側しか見せないじゃん」

エモい雰囲気からの落差すごいな。タイトル出し、カッコいい。

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「ある閉ざされた雪の山荘で」でも思ったけど。推理物会話劇で観客が飽きない工夫演出がアニメチックになってきてる気がするな昔と比べて。
アイキャッチ的な?
推理物の映像演出の手段としては定石なのかな。なんにせよ見やすくてとても好きだ。観客側を向いてくれている気がする。

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メイクってすごいな。新卒社員と8年後のベテラン。一瞬同一人物ってわからなかった。浜辺美波の演技力も相まって

赤楚英二。顔と声がいい。「何言ってんだよぉ…」がいい、

「fair」か…。誰かの愛した物を言えるのは、やっぱりその人を愛してた人だけなんじゃなかろうか。六人の友情は本物だったと信じたいね。

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人の過去を暴いて面白おかしく騒ぎ立てる人間なんて放っておけばいい。

現代社会への一つのカウンタ―意見だわな。大なり小なり、今の社会の対立や問題はこういう衝動が原因の一つだよね。秘密は蜜の味。暴くのはめっちゃ気持ちがいい。
元々の人間の性なんだろうけど、SNS無い時代とは広がる規模も速度もその影響も計り知れない。放っておくしかないのかねぇ。確かにネット断ちしてしまえば「無い」ことにできるし、噂を立てる人は何も責任取らないから影響ないしね。

でもそんな結論が出るような物語の中で、社会の中ですごい胆力のあるキャラ達だったなと思う。
動機はどうあれ事実を調べてその奥の真実にたどり着いた波多野も、それぞれの過去を掘り返されても言い訳をしなかった他のメンバーもすごい精神力だ。
自分の中での芯というか、正当性を信じていられれば揺るがずいられるということだろうか。スピラを落ちた後もそれぞれ上手く行ってるのもそういうことかもしれませんね。

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ラストの新卒状態での対話は、なんだか演劇的で好きだったな。と思ったらまさしく舞台版もあるのね。「リーディングアクト」。
メディアミックスたくさんしてるようだし、他媒体も追ってみよう。
面白い物語だった。