作:田坂哲郎/演出:木村佳南子
会場:JR九州ホール
チケット料金:2,500~ 2,000円 ※配信チケット1500円
上演時間:約35分
公演の説明
1プログラムにつき2劇団がそれぞれ中編作品を競演する演劇フェスティバル。
観客が観劇後に作品名を投票し、作品のタイトルを決める観客参画型の演劇祭です。
二日目、14:00の回。ふた団体目。
福岡の劇団 非・売れ線系ビーナスの作品
あらすじ
森の中に入ってくる二人の男。荷物を拡げ、踊りを練習する二人。歌を歌うと「何か」が来るらしい。
次第に盛り上がっていくダンスとともに不思議な世界がひろがっていく。
キャスト:青野大輔 田坂哲郎
稲田小百合 古賀想恩 にしむらまなみ 内田龍太郎
西覚
以下:雑感
わけわかんね!!!
というのは冗談で。とはいえ分かることはないんですけどね。
なんせ作中では何も明確にされませんでしたので。
ザ・小劇場演劇。という触感の舞台でした。このタイトルをつけた方はなぜ「-11℃」にしたのでしょうか。
トークセッションまでは観られなかったので謎です。
雰囲気芝居でした。はっきりとしたことは何もわかりませんでしたが良い雰囲気は感じました。
若干オリエンタルというか。おとぎ話のサーカスみたいな空気はとても好きでした。
なんもわかりませんでしたが、不思議な世界に入りこんだワクワク感は十分。
他の団体さんにはなかった感想ですね。
スタート時舞台にはなにもなし。
森の中のような影の灯り。
そこに白いシャツに黒ズボン、黒サンダルを履いた男が二人入ってくる。サンダルにはタップシューズのように音が鳴るようになっている。
男たちはそれぞれ30㎝ほどの円筒のようなものを抱えている。
それを開けると同じような筒が数個。折り畳み椅子などが出てくる。キャンプセットのような雰囲気。
筒は後ほど太鼓のように叩いて楽器になる。
物語の進行に応じて、黒頭巾に民族衣装のようなものを着た人たち(黒子?)がカラフルな風船(蝶々やタツノオトシゴ)や白い風船を持ってくる。
徐々に舞台は夢みたいな雰囲気になっていく。
全体的にオレンジな、砂漠の中の風景のように見えました。多分森の中っぽかったですが。
*****
ホントに雰囲気芝居でしたね。私は楽しめましたが、
「芝居観たことない人に絶対最初に見せたら訳わかんなくなる」タイプの演劇でした。山海塾みたいな。
小演劇の良いところと悪いところが両方乗っかったイイ演劇でした。
非・売れ線系ビーナスの、というか作家の田坂さんのお話は
登場人物がしっかり作品世界を生きてて、余計な説明台詞を言わないので、こちらもなんだなんだとしっかり覗き込めるというか。物語に没入できる感覚があってとても好きです。
何回も言いますがなんもわからなかった。二人が何をしてるのかも「何」を恐れているのかも最後まで明かされはしなかったので。
しかしこの「わからなさ」が想像を膨らませてくれます。
昔読んだ「エルマーの冒険」とか、あの辺のファンタジーの読後感に近いですね。
二人は「何か」から逃げてきたんでしょうか。田坂さんは負傷していたようですし。思えばリラックスした雰囲気の裏には、
何か切羽詰まったような、追い詰められてるような空気が含まれていたようにも思えます。
メインの男の一人、青野さんのダンスは熱が入っていて素敵でした。青野さんに躍らせたくてこの話書いていたとしても納得します。
*****
非売れさんは「先生の暗いロッカー」もそうでしたが、結論をスッキリ出さないのは最近の傾向なんでしょうか。
導入からじわじわと世界を作り出していく様子が凄く好きでした。
好きな劇団さんなので次も楽しみです。
中でも若手の青野さんは色々なところでお名前を聞きます。これからの活躍が楽しみな若手の一人です。
先々の福岡演劇も楽しみがいっぱいです。