観劇・感想

観劇感想:劇団言魂「こえの聴こえる」

作/演出:山口大器
会場:北九州芸術劇場 小劇場
チケット料金:1.000~2300円
上演時間:約100分

公演の説明

2014年北九州市立大学ひびきのキャンパスメンバーを中心に発足後、
『演劇を見ない大学生にも届ける演劇』を創作してきた劇団言魂がフルスケール作品で小劇場初登場!
「プチ科学」をモチーフにしながら小気味いいテンポの会話で身の回りに潜むドラマを描く彼らが、
約1年間のブラッシュアップを重ね創りあげてきた物語。どうぞご期待ください。

あらすじ
あなたがいなくなってから、あなたのことを想うようになった。
果てしない宇宙に漂う魂は、記憶を頼りに地球の重⼒圏に必死にしがみついて、そうして今⽇も私を⽣きる。
歴史の彼⽅から、「私」につながる、
その微かで、でも確かな痕跡を、いつまでも、いつまでも、私は探し続けている。
こえの聴こえる、静かな⽉夜に、あなたの影を探している。

キャスト
文目卓弥(飛ぶ劇場)
隠塚詩織(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)
青野大輔(非・売れ線系ビーナス)
森唯美
穂想川実猫瑚
横佐古力彰
江川遼太郎

以下:雑感

しっとり。この劇団特有の透明感のある空気感がとても好きでした。

作中でタイトル回収する作品は名作。

*****

2019年の短編としての上演から、コロナ禍での延期を経てブラッシュアップを重ねてきたであろうこの作品。

前半ちょっとだるいですが、後半からエンジンかかってきて見応えバッチリに仕上がってました。

なんでしょう。ほんのりそういう背景を知っているからでしょうか。
かなり気持ちが込もっていたように感じました。

SFとファンタジーにちょっとホラーが付け足された祈りと弔いのお話。

*****

しっとり。この劇団特有の透明感のある空気感がとても好きでした。

作中でタイトル回収する作品は名作。

*****

2019年の短編としての上演から、コロナ禍での延期を経てブラッシュアップを重ねてきたであろうこの作品。

前半ちょっとだるいですが、後半からエンジンかかってきて見応えバッチリに仕上がってました。

なんでしょう。ほんのりそういう背景を知っているからでしょうか。

かなり気持ちが込もっていたように感じました。

SFとファンタジーにちょっとホラーが付け足された祈りと弔いのお話。

*****

舞台は六角(五角?)系の4畳半くらいのエリアが段々畑のように組み合わされた形。(シミュレーションRPGの立体フィールドみたいな。伝わりにくい?)

舞台下手下段・リビング、

下手上段・お墓、

上手下段床面・お庭?、

上手中段・別の部屋、

上手上段・ベッドが置いてあって病室?

みたいな配置。舞台の中央からは天井まで届く長い単管が一本、天井にある大きなリングの中央に刺さるように伸びている。

各エリアの足場の単管も床面よりも大きく伸びていて、これら一本一本が「竹」も表現している。

全体的に、静かな、「鉄」の印象。

*****

見終わってから気づいたんですが、舞台セットがまず素晴らしい!!

恐らく全体としては月面基地をイメージされてるのかな?

長く伸びる単管は軌道エレベーター。

天井のリングは宇宙ステーション?

ところどころ宇宙のエッセンスが散りばめられていて、いち宇宙好きとしてもたまらんものがありました。

そして舞台装置の意味付けがすごいですね。

今回のお芝居、宇宙葬が絡んできてるんですが「竹取物語」も混じっていまして。

無作為に配置されてるように見えた単管も全部「竹やぶ」だったんですよね。

センス!!

いや〜なんというか、美しい舞台づくりだ。

若手の演劇作りの卓越さに震えます。

*****

実家に結婚の挨拶と妊娠の報告に帰省したミコト(青野大輔さん)とコトハ(森唯美さん)。

しかし、両親は祖父の宇宙葬、遺骨を積んだロケットの打ち上げを見るために留守にしていた。

肩透かしを食らった二人は実家住みのミコトの妹・シホ(穂想川実猫瑚さん)とと共に束の間の田舎での時間を過ごそうとするが、3人しかいないはずの居間でもう一つの声がする。

それは亡くなったはずの祖父の骨壷から聴こえてくる、生前の「祖父」そのものだった。

産まれてくる命と死んだはずの命に挟まれて自問するミコト。

命って?人生って?人間って?

いかにして向き合うのか。大切なことってなんだろう。

そんなお話。多分。

*****

スタートから中盤まではちょっと退屈でした。

しかし後半からのお爺ちゃんの暴走(?)からの自問するミコトの葛藤。

精神世界(?)の、ある未来のミコトとお爺ちゃんの語りから色々なピースが繋がりだして。

あとはあっという間に感じました。

前述しましたが舞台装置の単管を竹と被せてくるのはシビれましたね。

人生の終着点・死の世界としての月への思いと、竹取物語を絡ませてくる。

いいですよねぇ。入れてるエッセンスが結構多くて、思い返すと味が濃い物語でした。

ルナのエラーのホラー感もよかったです。あれがすごい”気付け”になりました。

人間の在り方というか、を問うてるところに非人間である”ルナ”が人間にとって代わろうとしてくる。

シーンとしてはサラッと過ぎて、あまり取り沙汰されませんでしたが

これがまたテーマに一つ深みをくれた気がします。

ラストの盆踊りに竹切りの音で節をつけて、

初っ端のリフレインに応えていく。構成が美しい。

ラストの一連はおぉっ!と。

なんだか気取った言い回しですが、祈りのようなモノを感じて。

残りますねぇあのシーンは。

なんというか、想いを誠実に届けようとしてるような感じを受けました。

私が勘繰りすぎかもしれませんが、作り手の気持ちが感じられて。

そんな作品はとても好きです。

とてもスッとした気持ちで劇場を出られました。良い観劇でした。

*****

音響?ブースの灯り漏れだけが………。

これがかなり嫌でしたね。

暗転チェックしなかったんですかね。それとも気にならなかったのか。

私は最後列に座ったので、恐らく前の方のお客さんはそれほど気にはならなかったのでしょう。

作品がよかったのでそれだけが惜しいノイズでした。

*****

今回は沢山の大人の協力があっての芸術劇場での公演だったのでしょう。

この劇団単体のパワーでどれだけのモノが観られるのか。

次がかなり試される演目になりそうです。

今回の見応えを見るにあまり心配しなくてもよさそうですが……

ていうか色んな力を合わせて作るもんですもんね。演劇って。

劇団言魂さん、次回も楽しみにしてます。