作:青木伸和 演出:手島曜
会場:LIV LAVO福岡
チケット料金:800~2.000円(配信料金含む)
上演時間:映画約45分 舞台約25分
公演の説明
舞台と同時に、脚本である青木伸和氏が監督、主演の津山愛理氏が企画を務める映画としても同時に上演される。
舞台は配信もしており、今回はそちらを鑑賞。舞台は福岡市大名にあるイベントスペース:LIV LAVO福岡にて上演。
あらすじ
山口彩(26)は元アイドル、現役者であるが仕事が無い状態が続いており、自身の住むマンションの大家である田所勇(55)と毎日釣りをし屋台で夕方(あるいは昼)から酒を飲む生活をしている。
田所は妻の良子(57)が家から出ていき、帰ってこない。
二人はもやもやした葛藤の出口を見つけられないまま、釣りと酒で紛らわし時間をつぶしている。
ある日、彩のマネージャーである田中が仕事を彩に持ってくる。
しかしその仕事は2番手のキャスティングであった。
キャスト
津山愛理 手島曜 林純一郎 杉山英美
(※映画版)
森武マイ 高橋真矢香 高橋忠雅 野良杉太 田口稔
以下:雑感
独特な雰囲気と緩い空気感が癖になる、面白い物語でした。
映画と舞台版が地続きでつながっていて一つの企画としても興味深かった。
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前述の通り、今回の企画は「替え玉の男と女」というタイトルの映画と、その直接の続編がそのまま舞台で演じられた。
映画でじっくり人物紹介やら大きな事件の起こりから解決まで見せられたので、
その直後の舞台ではドラマのスピンオフを見るような感覚でとてもフランクな気持ちで観れました。
それに最初から各キャラクターへの親近感がMAXだったのでスルッと感情移入できました。
これもまた新鮮な体験でした。
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映画はロケ地に福岡の様々な場所が選ばれていて既視感。もとい親近感がわきました。
どんな媒体でも知ってる所が出てくるとテンション上がるものですね。
物語は落ち目元アイドル女優が、妻に逃げられた大家と交流しつつ、自分のプライドと仕事との間で葛藤する。みたいなお話。
登場人物全員大体どっかしら”駄目”で口も悪けりゃ中々に冴えない感じ。
しかしその欠点が絶妙に愛嬌になっていて、全員好きになれました。
特に林純一郎さんの演じるマネージャーが好きでした。あの不器用ながらも一所懸命な感じが好感が持てます。
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台詞回しやワードセンスが監督さん独特の味があってよかったです。ラストにちんこ岩持ってくるセンス。
地味にテンポがすごくよかった気がします。場面転換や起承転結も見やすかった。
キャラクターそれぞれが、おおっぴらにせずとも影響し合って繋がっていく感じ。エモかったです。
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舞台版。
会場はLIV LAVO福岡。シチュエーションは打って変わって津山愛理さん演じる主人公が住んでいるマンションの一室のみ。(あとちょっと大家の部屋)
主人公の後輩が越してきて太鼓練習の騒音でもめてるうちに壁が抜けてしまう。そのうえ出演予定舞台を降板させられてしまい、てんやわんやな一幕。みたいな。
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舞台は、会場が狭いながらもなんとかする。ではなく、視覚的な面白さも出せていてとてもよかった。
映さないところは映さない。めんどいところは文字で表現。
潔さも小演劇感が出ていて好きでした。
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ラストの太鼓とタップの競演もよかった。みんなとそうだと思うんですが、武版の「座頭市」を思い出しました。
和タップ。良いですよね。
しかし後輩役の女優さんのお名前が、自分の調べでは探し出すことが出来ず分からずじまい。知りたい。
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福岡の演劇界隈では常連でベテランの手島曜さんや杉山英美さんも相変わらず素晴らしかった。
安定感と刺激を与えてくれて、いつまでも観たくなりますね。
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総じて大変良い映画&舞台鑑賞でした。一粒で二度おいしい。得した気分です。