会場:甘棠館Show劇場
チケット料金:2.000~3.000円(配信チケット含む)
企画の説明
甘棠館設立20周年設立を記念し、甘棠館Show劇場にゆかりのある福岡の劇団が夢のタッグを組み、
各劇団の演出家、脚本家、そして福岡で活躍する役者達をランダムに組み合わせたオムニバス4作品を上演!
今、福岡演劇界を盛り上げている劇団が一堂に会す演劇フェスティバル!
また毎公演アフターイベントとして、劇場にゆかりのあるタレント、アーティスト、お笑い芸人などが日替わりで出演し、公演をさらに盛り上げます。
※公式サイトより → 公演特設サイト
参加団体
幹事劇団 劇団ショーマンシップ/ FOURTEEN PLUS 14+/ 万能グローブガラパゴスダイナモス / 劇団ZIG.ZAG.BITE
作・演出陣
仲谷一志・生田晃二(劇団ショーマンシップ)
泊篤志 (飛ぶ劇場)
中嶋さと(FOURTEEN PLUS 14+)
椎木樹人・川口大樹(万能グローブガラパゴスダイナモス)
到生(劇団ZIG.ZAG.BITE)
Aグループ一本目「00-630!!!」
作:川口大樹 演出:仲谷一志
上演時間:約35分
キャスト
髙橋 来人(ボーイズB) 江越 暉 大和屋 満福(劇団 ZIG.ZAG.BITE) 山崎 瑞穂(万能グローブガラパゴスダイナモス) 古賀 駿作(万能グローブガラパゴスダイナモス)
以下、雑感
いや面白い!シンプルなSFコメディかと思いきやまさかのサスペンス。
“劇団運営“のあるある(?)や気苦労的なモノm感じられて興味深かった。
質の良いコメディでした。
*****
舞台は甘棠館show劇場。灰色の床面に奥の方に向かって小上がりが一段。センターに小さく階段。
舞台奥はホリ幕が除かれ、白い壁が見えている。奥のカミシモには灰色の書き割りがあり、舞台のチラシが何枚か貼ってある。
出演者5人が揃いの白い衣装を着た状態から始まる。
タイトル通り「ロミオとジュリエット」の語りからオープニングダンス→タイトル出し。美しい流れ。
タイトル明け。物語はとある劇団の稽古シーンから始まる。
演目は「ロミオとジュリエット」。あの名シーンで名前を呼ぶ場面のようだ。
しかしジュリエット役の女性もロミオ役の男性も互いの名前を声に出して呼ぶことができない。
聞けば二人は2041年からやってきた未来人で、未来では名前は廃止され、ナンバーで呼び合うようになっているらしい。
また、未来では過剰なコンプラ配慮によって演劇を始め、あらゆる娯楽作品の魅力を削ぎ落とされてしまった。
それに伴って日常のあらゆることが徹底して管理され、2041年の日本はゴリゴリのディストピアと化していた。
二人は本物の演劇を取り戻すため時を超えて現代にやってきたのだった。
みたいなお話。ざっくり。
*****
設定が好きだな。SF大好きです、私。
現代でも問題視されつつある過剰なコンプライアンス。その歯止めが効かなくなったIFの未来。そしてそれを解決しにくる未来からの刺客。
好き要素が多い。
そして実は笑いごとじゃないかもなぁと思いつつ、沢山笑わせていただきました。
コロナ禍でそのような規制のようなものにも拍車がかかった部分もありますし、いつかそんな日が来るのかも?
演劇に限らず、表現という諸刃の剣の危険性も意識しておくことが重要でしょうか。作る側も受け取る側も。
なんて。
30分という短い時間でしたが真剣にそのようなことを考えてしまいました。
*****
ギャグも良かったなぁ。さすがガラパの川口大樹さんの作。
ツッコミどころはいっぱいありましたが、テンポと未来のバカらしさがいい塩梅で楽しかった。
言うのも野暮ですが、アクション時の「触ります」は寸止めなのでいらないのでは?とか。2021年にはマイクロチップを統括してるシステムはないはずだけど電流はどこからきてるんだ?生体電流の増幅?
とか野暮すぎる指摘が頭に浮かびましたがそんなこたぁどうでもいいことと思えるような勢いがありました。
「ちゅばーチュバー」の時もそうでしたが川口さんの脚本は番外のほうが好きかもしれない。
ロミオ役の髙橋来人さんが電気の度に尻を抑えてるの笑ってしまった。
笑って笑ってゾクっとして、忙しくて楽しい30分でした。
Aグループ二本目「しまいのピクニック」
作:泊篤志 演出:中嶋さと
上演時間:約30分
キャスト
脇野 紗衣(万能グローブガラパゴスダイナモス) 田中 直(劇団ショーマンシップ) 堀 初音(劇団 ZIG.ZAG.BITE 山浦 奈美(劇団ショーマンシップ) 友田 宗大(万能グローブガラパゴスダイナモス)
以下:雑感
いい雰囲気のお話。
ロジカルな部分は置いておいて、優しい人しか出てこない優しい物語でした。
*****
舞台セットは基本的にはどの演目も共通のよう。
今回は真ん中にダイニングテーブルセットがひと組。カミ手にコート掛け。
センター天井から白(?)の薄い布が床まで下がっている。
天蓋付きベッドみたいな。レースのカーテンみたいな印象。
姉(堀初音さん)の一人暮らしの部屋らしい。
シンプルだが、なんとなく切なげな雰囲気がステキだ。
*****
物語は姉と妹の会話から。
姉には最近いい雰囲気の人がいるらしいがどうにも一歩踏み込めない。
妹の助言(?)を受けて彼を部屋に呼ぶことに成功するが、同居している妹がいるので。ということで進展せず。
そこに若い彼氏を連れた母がやってくる。母曰く、妹はすでに死んでいるという。
妹とは?姉の抱えているモノとは?
みたいな。
*****
なんだか切ないけれど、最後には少しほっこりできました。
劇中では妹(脇野紗衣さん)の言葉は姉の本音というふうに言っていたけれど、本当に妹の心も入っていたんじゃないかなと妄想してしまいます。
友田宗大さんは相変わらず見ていて楽しい俳優さんんですね。ピーキーなツッコミや下心や本音を隠せない素朴な感じが見ていて気持ちいい。
姉役の堀さんのイントネーションやアクセントが時どき引っかかったかな。
しかし思い悩む様は雰囲気がとてもよく出ていて好きでした。
きっとこれからあったかく柔らかい空気であのピクニックは続いていくんだろうな。