作/演出:上野友之
企画:富田文子
会場:パピオビールーム大練習室
チケット料金:1.200~5.000円
上演時間:約90分
公式サイト
公演の説明
「一人の20代女性が過ごす20歳から29歳までの十年間を、20代の女優十名で描き出す」というコンセプトで東京&大阪で繰り返し上演されてきた演劇作品、「IN HER TWENTIES」というシリーズ。
40代版「IN HER FORTIES」と共に福岡で上演される。「福岡きびる舞台芸術祭‐こ結び‐」の一つとして、同じく福岡の演劇団体「とみぃさんぷれぜんつ」の企画で上演される。
あらすじ
一人の20代女性が過ごす20歳から29歳までの十年間を、20代の女優十名で描き出す
キャスト
徳岡希和 森唯美 Suzuno 有森楓 水上初佳
綿貫美月 平田向日葵 小渕あさ 山崎瑞穂 悠乃
以下:雑感
大変よかったです。楽しい時間でした。
過ぎ去った人には思い出を。進んでいく人にはまだ見ぬ未来を想わせる良くも悪くも普通の女の子のにぎやかな人生の話でした。
締めも爽やかで好み。すっきりと会場を後にしました。
*****
大練習室の三分の一にパンチを拡げて舞台に。半円状の剥き出しの板場を囲むように椅子が十脚並んでいる。カミシモに分かれて五脚ずつ。面側の二脚のみ背もたれがある。
芝居の中でそれらもサークルに沿って半円状に配置。
カミ手側からシモ手に向かって一人ずつ座り、20歳〜29歳までの10年分を10人の俳優が演じる。
アクティングの中央には白い中抜きの正方形のボックスが三つ。シーンによってベッドになったり机になったり。
*****
いや、とてもよかった。導入はなかなか「どうなるんだこれ?」と思いましたが、始まってみるとどんどん引き込まれていきました。
最初キャラクターではなく俳優たち自身の自己紹介から入ったのは、この企画自体がそういう意図なんでしょうか。
とってもよきですね。若い俳優・表現者さんたちがドンドン知られていってほしい。
10人集まればキャストの実力にもバラつきが出てくるものでしょうけども今回はそれも少なかった気がしますね。
中でも達者な、魅力的な人はいましたが。それが全体的な流れが乱されることもなかったし、スムーズに見れました。
*****
20歳~29歳までの空気の切り替わりが楽しかったですね。20歳の時の、まだ色々知らないが故の逆に自信満々な感じとか。
29歳時の経験を重ねてきたが故の落ち着きとか。
脚本にあるんでしょうけども、それぞれ繋がっているけど「その時」にしか出せない雰囲気を見事に出していて見ごたえがありました。
変化の大きい20代だからこそですかね。
中でも27歳と29歳の俳優さんが目を引きました。10人の中でも落ち着いていて魅力的に見えた気がします。
特に29歳の悠乃さんはビジュアルもキマってましたね。カッコよい女性でした。
ラスト、リュックを背負っている20歳の自分とのギャップが成長を感じさせてくれました。
*****
年代別会議も楽しかったですね。「脳内ポイズンベリー」を思い出しました。
あの流れは観る前に想像していたよりも”演劇”していてよかった。流石長年続いている企画なだけあって見応えのあるシーンでした。もちろんここだけじゃないけど。
*****
ストーリーもよかった。色々起きますけども、ぶっ飛び過ぎず地味過ぎず。
観ている人の時々の思い出を思い出させやすい内容だったかなと。
あの時劇場では、一つの物語にみんなが集中していたというよりも劇場の中の人の数だけストーリーが展開されていたんじゃないでしょうか。
中々夢みたいな空間だったかも。
恋人就職大学ペットに浮気に友人とか再会とか親とか…。一個もひっかからない人はいなかったのでは。
遠いフィクションのようでどこか身近な物語。ラストも爽やかで素敵。
ショウタとはどうなるのか。くっついてもくっつかなくてもいいけどいい関係になれたらいいですよね。
帰り道、自分のその時のことを思い返しつつ。楽しく帰れました。
続く40はどうなるのか。
20代とは精神性も起こるイベントも全然質が変わってきますね。出産や結婚も描かれるんでしょうか。そこは30代で済ますのかな?
なんにせよ楽しみ。プロデュース公演は数多あれど今回はキャスト全員満遍なく味わえたような気がして満足度高いですね。毎年やってほしい。
良い観劇でした。