2022年製作/126分/アメリカ
原題:Doctor Strange in the Multiverse of Madness
配給:ディズニー
あらすじ
元天才外科医にして、上から目線の最強の魔術師ドクター・ストレンジ。
時間と空間を変幻自在に操る彼の魔術の中でも、最も危険とされる禁断の呪文によって“マルチバース”と呼ばれる謎に満ちた狂気の扉が開かれた──。
何もかもが変わりつつある世界を元に戻すため、ストレンジはかつてアベンジャーズを脅かすほど強大な力を見せたスカーレット・ウィッチことワンダに助けを求める。
しかし、もはや彼らの力だけではどうすることもできない恐るべき脅威が人類、そして全宇宙に迫っていた。
さらに驚くべきことに、その宇宙最大の脅威はドクター・ストレンジと全く同じ姿をしていて…。
※公式サイトより
以下、雑感
超楽しかった!!今までどことなく人間味の薄かったストレンジの芯の部分が垣間見えた気がする。ストレンジのことより好きになれたなぁ。
演出は流石のサム・ライミ。MCUというフィールドでライミ印のホラーが大暴れしてました。しかしワンダだけは……辛い……。
楽しさと怖さと驚きが詰まったお祭りみたいな映画でした。
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物語はノーウェイホームの後。我らがドクター・ストレンジは夢を見ていた。
見知らぬ少女と“自分”が謎の空間を怪物から逃げ惑う夢。窮地を脱するため少女を犠牲にしようとするストレンジだったが怪物に殺されてしまう。少女もは空間にポータルを開き、別空間へと脱出する。
夢から覚めたストレンジは元恋人・クリスティーンの結婚式へと赴く。
しかし式の最中に夢で見た怪物が少女を追ってニューヨークの街に現れる。
ウォンとのコンビネーションで怪物を撃退したストレンジは少女を保護し、事情を聞くことに。少女の名は“アメリカ・チャベス”。多元宇宙を渡る力を持つ彼女は怪物を操る存在からその力を狙われていた。
彼女を守るため、ストレンジはワンダ・マキシモフに協力を頼むのだが…
みたいな。
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いやぁ楽しい映画だった。
監督によってこうも空気感変わるんですね。ほぼホラー映画だった。特にワンダ周り。初っ端から。サスペンスでよくある「名前言ったっけ?」のやつ。
絶対ワンダ普通に味方だと思ってたからめちゃくちゃビックリしたし怖かったし悲しかった。ワンダヴィジョン最終話を経てひとつ踏ん切りがついたと見ていたんですが、やはり失くしたモノへの執着は捨てきれなかったのか。それもダークホールドの影響なのか。劇中ヴィジョンへの言及が一切なかったのは彼女の中では目の前で死んでしまったものとして方がついてることなんでしょうか。それもまた寂しい…。
今回のワンダはまさしく子供を求めてなりふり構わず彷徨う悲しきモンスター状態。
サム・ライミのホラー演出とベストマッチ。いやスカーレットウィッチ怖すぎるだろ。流石覚醒したらサノスをタイマンで倒せる(らしい)だけある。
単体の攻撃力もさることながらカマー・タージ総出でかかって倒せない耐久力やばい。
若い魔術師を惑わす様はまさに魔女。ひとつの綻びから結界ぶち破ってからの蹂躙は凄まじかった。この時点で「あ、無理だ」と思いましたね。こんなに虐殺してしまったらお咎めなしは厳しい…。
その後のミラーディメンションからの脱出。傷だらけ血まみれになりながら無理やり
出てくる様はやばかった。「あ、無理だ」パート2。反射物消して対応するとかフレディとかそれ系への対応策じゃん。同じアベンジャーズだったのに…。先輩たちはみんなわりかしやりきって引退できたのにあんまりだべ…。誰かクリント呼んできてくれ。
ドリームウォークも怖すぎる。あのシステムだけで一本話書けそう。乗っ取りの過程怖すぎる。別世界の自分に体乗っ取られるとかヤバい。窓の外から覗いてくるところすんげ〜怖かった…。
ラストの「バケモンにはバケモンぶつけるんだよ」バトルはもはや笑ってしまった。
まさかストレンジであんなことするとは。しかしロジックとしては納得。唸らされました。そのためにマルチバースの証拠という意味と今回のドリームウォークアバターという方策としてのあの死体だったんですね。構成がうまい。
そして倒し方よ。制し方と言った方がいいか。パワーで押すのではなく最も求めていたモノから拒絶されるという現実を突きつけるという。ストレンジゾンビもそうですが、技術を逆用して倒すのはスカッとするし上手いなぁと思いました。ずっとどうやってやっつけるんだこれと思ってましたし、盲点でした。
哀しみがスゴいが……
全部のワンダがスカーレットウィッチになる可能性があるからこそわかってあげられる部分と示せることがあるのかもなぁ。
ワンダ。最後はケジメをつけたわけですが、救いはないのか。ウルトロンから失くしてばかりの彼女。殺した数とか思えば報われないのは当然かもしれませんが彼女も世界を救ったアベンジャーズの1人。最強のパワーを持ってるのに欲しいものを全部失ってるワンダ。救いはないのか。
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そしてストレンジ。
今回は彼の内面に触れられたような気がします。高慢で意地悪なストレンジですが、彼の人間的な弱さや暖かさが見えましたね。
妹の話をしたり、幸せについて考えたり。思えばスタークも性格似てたけど色んな欠点があったからこそ魅力的に見えたのかも。
ラスト838クリスティーンが彼の頬に手を当てた時泣きそうになりました。あれは愛情や慈しみがないとやりませんよ。よかったねぇ。
ウォンへのお辞儀もよかった。なんか、普段ぶちぶち言い合ってる二人がキチッと折り目正しく互いを尊重しあってる場面。とても良きでした。
ウォンはかっこいいですよね。規律や礼儀に厳しく、しかし終わった後はカラオケに付き合ってくれる。二人のカラオケとか見てぇ〜〜。上司にほしい。
二人のクリスティーンから言われた「自分でメスを握らないと気が済まない」という言葉。唯一他人(スターク)にメス(主導権)を渡して世界を救ったのが616のストレンジなのかな。世界を渡り歩いてきた彼女に唯一道を示せたのもそれ故かも。
他バースの様子から見るに、ただ一人仲間を信じれられる(た)ストレンジだったのかも。
ていうか他のバースにはもしかしてウォンいない?そのせいかなぁ。やはりウォン先生偉大。
今回は魔法バトルバリエーション豊富でしたねえ。見てるだけで楽しい。
ストレンジ先生素手もいけたんですね。あんなにシャキシャキ戦えたとは。
あと音符バトル。急にディズニーの音ゲーみたいなこと始まって、カッコいいけどこれはどんな感情で見たらいいんだ?笑っていいんだろうか。楽しかったけども。ストレンジ先生はどこにいてもお茶目だぜ。
そしてラストのゾンビストレンジ。ドリームウォーク返しで「おぉっ!」ってなったけどでも本人ここにいるしどうするってなって手が出てきた瞬間「なるほど!」ってなりましたね。そのための死体かぁ〜〜脚本構成が上手いな〜〜。
そして死体エグ!!!!
主人公の様かあれが。絶対監督の趣味で腐敗進行してますね。予告で見た時はあのダーク千手観音ストレンジ、絶対あれが別バースの今回のラスボスだと思ってたのに。
あれが主人公の姿か。(2回目)
ゴーストマントはめっちゃカッコよかった。あれでフィギュア化してほしい。してるのかな?探してみよう。
しかし闇の魔導書作るような人でも禁止事項とか作るんだな。もっとあったろ禁止するべきところがよ。
ラストの三つ目はあれはどう捉えたら良いんだろう。
うわ!って思ったら全然平気そうだしあれはもうオッケーなのか?次回も目が離せない。三つ目だけに。
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覚醒後のチャベスの次元開放パンチめっちゃかっこいい。星形。超クールだぜ。
最後弟子入りしてたのもよき。ストレンジファミリーいいなぁ。
他の初期メンバーたちみたいに後継者になっていくのかな。
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イルミナティの面々。ホワットイフ見といてほんとよかった。
さんざん噂されてたけど実際教授出てくるとビビりますね。これからさらに混沌としてくるなぁ。楽しみ。
しかしノーウェイホームで鍛えられたからそんなに動揺はしなかったぜ。
その後ワンダに全員片づけられた時の方がビックリしたよ。こいつらどうやってサノス倒したんだ?ワンダの脅威は嫌ってほど伝わったが…。
頭音叉の人の倒し方が嫌すぎる。
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今回の話。
単純に諦めるとは違う、”認めて受け入れる”ということ。ワンダとストレンジ、それぞれ別の形でそこをゴールに進んできた感じ。それが出来た次元、出来なかった次元がそれぞれある。人生に於いてもとても重要なテーマが壮大な映像と世界で語られた気がします。
ストーリーも楽しいし次も楽しみだし最高だったな。これからも期待大!MCU!
ストレンジが「ヒーロー」になったような気がする。
帰ったら「ムーンナイト」観ます!