観劇・感想

観劇感想:福岡”題名のない”演劇祭 劇団言魂「みるみえる」

作/演出:山口大器
会場:JR九州ホール
チケット料金:2,500~ 2,000円 ※配信チケット1500円
上演時間:約45分

公演の説明
1プログラムにつき2劇団がそれぞれ中編作品を競演する演劇フェスティバル。
観客が観劇後に作品名を投票し、作品のタイトルを決める観客参画型の演劇祭です。
二日目、18:00の回。ひと団体目。
北九州の若手劇団、劇団言魂の作品。

あらすじ
とある小学校に転校生がやってくる。彼は透明人間”スケル”くん。姿も見えず、声も聞こえない彼に戸惑うゴンとシゲ。
彼を認識できるには紅一点のヒカリだけ。他人には見えない彼と次第に親しくなっていくヒカリ。
そんな彼女を見てシゲは…

キャスト:シゲ 横佐古力彰
     ゴン 関大祐
     先生 穂想川実猫瑚
    ヒカリ 溝越そら 

以下:雑感

う~んなんだか不完全燃焼な感。

僕が読み切れなかったのかなぁ。俳優さんたちの技量も他団体のそれと比べると一段見劣りする印象。

作品の色としてはとても透き通っていてキレイな空気感。

深呼吸したくなるような感覚。好きですね。

舞台装置は特に何もなし。箱馬が複数。背負うための紐がついていて場面によってはランドセルに。基本は教室の椅子など。

*****

小学生のゴンとシゲはいつものように秘密基地で集まっている。道で突然金縛りにあったと騒ぐゴンをいさめるシゲ。

そこにクラスメイトのヒカリがやってくる。転校生を連れてきたというが、肝心の転校生は影も形も見えない。

彼の名前はスケル。彼は透明人間だったのだ。

見えない彼との学校生活が始まる。

ある日、下校中のスケルと手つないでいるヒカリを目撃するゴンとシゲ。

ヒカリに思いを寄せるゴンはショックを受け、シゲと別れ一人で帰ってしまう。

翌日シゲは学校を休んでしまう。なにやら帰り道不審者に襲われ入院してしまったらしい。

生死の境をさまようゴンは透明になり、シゲたちの様子を覗き見る。

*****

言い回しがいちいち回りくどいというか…。

詩的な言葉選びは確かに素敵なんですが、事件が起きて動揺してるテンションにしては余裕あるなこいつらとか思ってしまいました。

小学生という設定が足を引っ張っている気がする。

心象での語りならああいう言い回しもするかな?とは思ったんですが、男子二人のはしゃぐ様とどうにもミスマッチでなんだかサムい。

口の悪い女子がなんだか違和感。普段汚い言葉を言い慣れてないんだろうなぁ。

作家さんの思考がキャラクターから透けて見えて没入できなかったです。

そういう世界観なんですよと言われればそれまでなんですが…。

透明人間とのマイムでの授業風景は見てて楽しかったです。見えませんでしたが。

しかしスケルくんは登場人物というよりも舞台装置のようでしたね。

半端に感情移入してしまったのシラけてしまった。

*****

震災などの災害で亡くなった人々、忘れられてしまった人々→透明な存在になってしまった。

現代での透明な悪意(ネットでの誹謗中傷とかですかね?)にさらされてしまった犠牲者たち。

それらを忘れずに繋ぎとめられるのは、いまを生きる人の”想い”が必要。ということでしょうか。

読み取れるテーマは本当にきれいで素敵です。

しかし短編での時間制限のせいでしょうか。なんだかまとまとまりきってないというか…。

物語世界のキャラクターの思考と作家さんの考えがもっと溶け合ったら見やすくなるんでしょうか。

*****

言魂さんは北九州での期待の若手劇団。戯曲賞を取ってからは勢いを感じています。

次回公演も劇トツ2019での優勝作品だそうで。

作者さんの綺麗な世界観は好みなので、期待して追っかけて行こうと思います。