観劇・感想

観劇感想:「ポルノ」

作:長塚圭史
演出:松居大悟
会場:西鉄ホール
チケット料金:3,000〜9,000円
上演時間:約 120分
公演の説明
阿佐ヶ谷スパイダーズの「ポルノ」をゴジゲン・松居大悟が演出。東京・大阪・福岡のツアー公演。
あらすじ
なりたいんだよ議員。弱者の味方になりたいんだよ。坂の多い町・坂上町で行われる議員選挙。立候補した国旗耕ニの公約は、高齢者や歩行に障害のある人のために町にある全ての坂をエスカレーターにするというものだ。それでも支持率が伸びず、彼と妻の美和子は恐ろしき行動に出る。7人の男女が織りなす、美しくも醜悪な恋物語。
公式サイトより
キャスト
玉置玲央 前田敦子 鳥越裕貴 藤谷理子 小野寺ずる 岩本晟夢 うぇるとん東

以下、雑感

あっというまの2時間。めっちゃ面白かった。でも変な話だったなー。話のリアリティラインが途中からグッと変わってなんの話かはわからん。誰もなにもハッピーにならなかったな。わけわからないのに濃密なエネルギーと感動が腹に残っている。とても良い時間でした。

*****
西鉄ホール。入った途端蝉の声。場内アナウンスでスタンド席の案内あり。開場前から人多いし人気なんだなぁ。流石だ。
日本の夏の田舎の風景。電柱、選挙ポスター、コンクリの道、階段、雑草。
カミ手シモ手から2階に上がる階段。工事現場、工場の屋根、選挙ポスター。
1階は普通の家。選挙ポスター、デカい達磨、丸テーブルに椅子二脚。選挙事務所?
蝉の声に混ざってたまに学校のチャイム。飛行機の音。

中盤大幅な転換で和風家屋。これまた田舎のおばあちゃんの家という風。

*****
キムラくん以外は全員どっか変だけど(キムラくんも変だが)、バックボーンが語られないから不穏感が半端ない。このイカれた絡み合いがどう転がっていくのか全然予報がつかず、ドキドキしながら観ていた。

クニハタの言動も最初から「ん?」ってなったけど、途中で爽やかな感じになるのかなと思ってた。いや、自分の脚折って好感度アップを図る人はキモいか…。みんな自信満々だから「そんなもんか」と感じてしまうな。人間って不思議。まさに独善人間って感じでよかった。

ミワコ。ミステリアスで色気と寒気がすごい。なんか「私と同じだ」みたいな台詞で、虐待受けてたりしたのをクニハタが助け出したりしたのかなと思ったけどそんなことなかった。10年同じ環境にいたら「普通」もズレていくよな。人間教わったことされたこと、扱われたことと同じことを再生産していってしまうものなのか。キムラを捕まえた瞬間のエネルギーがあればまだなんでも出来たような気もする。変化がほしかったのか。要するに暇を持て余していたのだろうか。キムラくんとのやりとりが生々しく。子供扱いとオトコ扱いでどういう認知になってたんだろう。1番気が狂いそう。

キムラくん。可哀想。でも演じてたら楽しそう。ストックホルム症候群ど真ん中。他よりぶっとんでないから共感性高くて怖かったな。自分もあんなに追い詰められたら流されてしまうかも。赤ちゃんと被害者の切り替わりがめっちゃ面白かった。

クニハルン周りはアグレッシブで最高。あんなカオスどうやったら思いつくんだ。

*****
妖精さん出てきたとこからびっくりした。そんな話だったっけ??たしかに布石はあったけども。元々2本あった話くっつけたんじゃないかとすら。物語はアレとしてもテーマは繋がってないのでは。観れちゃうし面白かったからいいけどかなり戸惑ったな。ここまで通して『ポルノ』なのか。
だんだん絆されていく様がよかったな。最後は切ないし喉に引っかかるものがあるが…。

*****
こんなにある種投げっぱなしなエンドでもOKなのは「演劇」という土壌の特色か。これは頭に残るのも納得。また15年後くらいにこれを観た誰かが作るのかな。アフタートークまで含めてそんなことを思ったのでした。みんな観たらいい。
良い演劇観たなー!!