観劇・感想

観劇感想:ギンギラ太陽’s×劇団ショーマンシップ 「PEACE HILL2~東京オリンピック奮闘記~岡部平太物語」

作:大塚ムネト 演出:大塚ムネト・仲谷一志
会場:西鉄ホール
チケット料金:2.500~4.000円
上演時間:約120分

公演の説明

昨年行われたギンギラ太陽’sと劇団ショーマンシップのコラボ公演の第2弾。

演劇公演以外にも、東京オリンピックに絡めた様々な企画が行われた。

あらすじ
近代スポーツに人生を捧げ「日本選手のオリンピック必勝法」をあみだした男!」

日本がオリンピックに初めて参加したのは、1912年のストックホルム大会。
しかし、当時の日本は「近代スポーツ」に取り組み始めたばかりで、良い成績を残せなかった。
そこに現れたのが、アメリカで近代スポーツを学んで帰ってきた「岡部平太」
指導者としてだけれはなく、身体能力にも優れ、自らも選手として活躍していた岡部は
「世界に通用する日本選手」を育てようと奮戦する。
しかし、精神論が支配する日本では、岡部のスポーツ改革はなかなかうまくいかなかった。
日本を飛び出し「満州」に活路を求める岡部。
日中の「スポーツによる平和親交」を目指すが、戦争により全てを奪われてしまう。
そして終戦。焼け野原が広がる福岡に戻った岡部は、平和への願いを込めた
「平和台陸上競技場」をつくり、戦後初の国体を地元福岡で開催するのだった。

キャスト
仲谷一志 大塚ムネト 生田晃二 杉山英美 上田裕子
宗真樹子 栗野直樹 山口泰弘 福澤究 大城真和
東沙耶香 松尾佳苗 古澤大輔 米倉佳奈 溝田優
久保美月 荒木ロンペー 北田祥一郎 ゴリけん 立川生志

以下:雑感

なんか…もっさりした演出と芝居だったなぁ。

台詞や出来事は情熱にあふれてるのに、肝心の舞台上に全然熱がないように感じました。
ビジネス興行ってことなんですかね。

ある程度規模が大きくなるとそんなに気合入ってなくても成立するもんなんでしょうか。

*****

舞台は西鉄ホール。

奥に陸橋みたいな形で二重舞台になっている。その下も高架下のように通れるようになっている。

舞台転換は装置も充実していて、しっかり変わっていく。

満州やお茶屋さん、スキージャンプなど映像や装置などを組み合わせて観ているだけでも楽しい変化が多くてワクワクしました。

The・演劇という感じの演劇でした。

*****

「演劇」って感じなのは芝居もそうで。

歴史もので存命の人物を描いているのもあるんでしょうが、説明台詞や分かりやすい演出で構成されていて

観ていて学校教材というか、図書室にあった伝記漫画を思い出しました。

ギンギラ太陽’sもショーマンシップも福岡では老舗の団体ですからメインの客層も年代が上のほうになるんでしょうか。

そこに向けての造りだと考えれば納得です。

*****

それにつけても、もっさりしていてキレの無い演出だった。着替えもあるんでしょうが、音楽やダンス、幕間での小芝居は冗長で気が抜ける。

せっかく物語に入り込んでいても疲れてしまうことが多かったです。長い暗転とほぼ変わらない。

特に俳優さんたちの間で真剣さに凄い差があったように感じました。主演や一部のベテランさんはともかく

ダンスシーンや集団で動くところになると、何人か気の抜けた人が見えました。

ふにゃふにゃな動きがすごく目立っていて悲しくなりました。声も揃わないし。

昨年から続くかなり大きな企画だと思っていたんですが、規模が大きいと全員が一枚になるのは難しいんでしょうか。

それとも単に力量の差なんでしょうか。

*****

酷いといえばゲスト俳優のゴリけんさん。

ああいうキャラや空気で求められてるんでしょうけども。明らかに稽古全然してないし、福岡を代表する
団体の合同企画で西鉄ホールの舞台に立って、あの感じで。少ないシーンで台詞を噛む。

その状態で許されている。舞台の裏の大人の事情が透けるようで不快でした。

仕事でしょうけど。情熱を持って舞台に臨む俳優さんたちをもっと見たかった。題材も題材ですし。

*****

2時間強の舞台でしたが終始しんどかった。途中からは残り時間を何度も確認する始末。

私向けではなかったということでしょう。私の演劇の見方も偏ってる自覚はありますし。

水戸黄門のように”お約束”の身内感がありました。

しかしこのお約束があるというのもすごく安心感があります。

2団体とも福岡の顔と言っていい団体。

以前観劇した時はすごく楽しんだのを覚えています。このコロナ禍の演劇不況の中で、この規模の公演をやりきってくれたことには頼もしさを感じます。

最後の仲谷さんの言葉にもありましたが、これからも全ての演劇・エンタメを見守っていけたらと思います。

今後も福岡、引いては世界のエンタメが盛り上がっていきますように。