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映画感想:「ハッチングー孵化ー」

2022年製作/フィンランド
原題:Pahanhautoja/Hatching
配給:ギャガ

あらすじ
北欧フィンランド。
12歳の少女ティンヤは、完璧で幸せな自身の家族の動画を世界へ発信することに
夢中な母親を喜ばすために全てを我慢し自分を抑え、
新体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。
ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。
家族に秘密にしながら、その卵を自分のベッドで温めるティンヤ。
やがて卵は大きくなりはじめ、遂には孵化する。
卵から生まれた‘それ’は、幸福な家族の仮面を剥ぎ取っていく・・・。
公式サイトより

以下、雑感

あらゆる生臭さが香ってくる毒親モンスターホラー映画。
誰にとっての因果応報なのだろうか。
エンディング後も「幸せ」の陰にある薄暗い生活が予想されて、後味の悪さが癖になりそう。
「やめて〜」というところを的確に突いてくる良作ホラー映画でした。怖かった。

*****
物語はフィンランドの「ごく普通」の家庭の幸せな日常風景から始まる。
絵に描いたような幸せな家族。それは一家の母親による動画配信のために撮影された”日常”だった。
その日の動画の締めのシーンで一羽のカラスがリビングに飛び込んでくる。室内を飛び回り、家具がめちゃくちゃになってしまう。
一人娘のティンヤは布を被せてカラスを捕まえ逃がそうとするが、母は首をへし折り殺してしまう。
そしてティンヤは母に言われるがまま死骸を生ごみ入れに放るのだった。
ティンヤは通っている新体操クラブの大会代表になるために練習する日々。もう一歩のところで今一つ結果の出せないティンヤ。
しかし母は自身も競技で挫折した経験もあり、「理想の家族」を創るためプレッシャーをかけ続ける。
そうして追い込まれていくある日、生ごみ入れからカラスの死骸が無くなっていることに気づく。
鳴き声がする森の方へ追ってみると、あの日のカラスが虫の息で倒れていた。「私が助けてあげる」と手を差し伸べるが一向に落ち着かないカラスに苛ついた彼女は近くの石でとどめを刺してしまう。
そして近くの落ちていた卵を持ち帰る。
罪悪感か、逃避か。卵を自分のベッドに隠し育てることにしたティンヤ。日々強まっていく母のプレッシャー。溜まっていくストレス。
それに呼応するように常識を外れて巨大になっていく卵。卵が孵る時、そこから何が産まれるのか…

みたいな。

*****
いや~人間の歪みオンパレード。生理的にキツイ描写が畳みかけるように起きていきます。精神的にも物理的にも。

まず母が毒親過ぎてヤバい。自分の虚栄心というか、承認欲求?を満たすために家族を調節していくというか作り上げていく様がキッツイ。
これは現代病の一種だろうか。昔から割と描かれているテーマではあると思いますが、”動画配信”っていう今に身近なツールで行われているのが嫌な親近感があるというか。
こんな人たちいそうってのがリアルに想像できておぞましかった。
正直アッリとどっちがモンスターなのかわからない。

どいつもこいつも欲のまま生きてて、お隣のリータだけが光。こんなにいやらしい人間描けるのすごいなぁ。
お父さんと弟がほったらかされてる感がかわいそう。ラスト以降も歪みの加速した母親を止められずに娘が変わったことに感づきながらも「幸せな家族」を作り続けるんでしょうね。
弟だけがいつか反撃に出たりするのかな。いや、どうだろうか。

*****
主演のシーリ・ソラリンナさんめちゃくちゃ美しかった。こんなにキレイな俳優がいるとは。
マッツ・ミケルセンといい、北欧には美しいが揃ってるのか。
あの見目で苦悩したりゲロ吐いたりしてるのも謎の背徳感があってなんだか耽美。おぞましさ気持ち悪さと表裏一体って感じでしたが…。

フィンランド語ってなんだか可愛いですね。モイモイ。聞きなれない単語過ぎてすごく不思議だったな。
あの美しさから出てくる言葉とのギャップもよかった。フィンランド行ってみたくなりますね。

*****
チェンジリングだったんですね。

これは誰の因果応報だったんでしょう。母親が一番報いを受けてこれからも苦しんでいくのは間違いない。
ティンヤが一番つらいかな。ここまでの人生を思うとかわいそうな気もしますが、しかし卵を拾った時とどめを刺した時、あの時の選択は間違いなくティンヤ自身の選択。
かなりきついけど順当なしっぺ返しだったのかな。

その辺も含めていいストーリーだった。不気味な音楽。ミッドサマーを彷彿とさせる白くて明るい表面の裏のダークで恐ろしい世界。
魅力的なホラー映画でした。