映画・感想

映画感想:「犬王」

2021年製作/97分/G/日本
配給:アニプレックス、アスミック・エース

あらすじ
室町の京の都、猿楽の一座に生まれた異形の子、犬王。周囲に疎まれ、その顔は瓢箪の面で隠された。
ある日犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の少年・友魚と出会う。名よりも先に、歌と舞を交わす二人。 友魚は琵琶の弦を弾き、犬王は足を踏み鳴らす。一瞬にして拡がる、二人だけの呼吸、二人だけの世界。
「ここから始まるんだ俺たちは!」
壮絶な運命すら楽しみ、力強い舞で自らの人生を切り拓く犬王。呪いの真相を求め、琵琶を掻き鳴らし異界と共振する友魚。乱世を生き抜くためのバディとなった二人は、お互いの才能を開花させ、唯一無二のエンターテイナーとして人々を熱狂させていく。頂点を極めた二人を待ち受けるものとは――?
歴史に隠された実在の能楽師=ポップスター・犬王と友魚から生まれた、時を超えた友情の物語。
公式サイトより

以下、雑感

素晴らしい。超楽しい映画だった。アヴちゃん凄すぎる。
映画というよりライブを観た後のような不思議な爽やかさ。そして切ない友情の物語だった。

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まず何に置いても歌と踊りが良い。

“もし原題に至るまでのエンタメが室町時代に現れたら?”って感じで歌唱シーンでは古今東西様々な表現が出てくる。
マイケルジャクソン、エビケン、プロジェクションマッピング、バレエにバンド演奏、フィギュアスケートなどなど…

平家物語がめちゃくちゃポップでロックでエキセントリックで毎度ワクワクが凄い。
もしこれが目の前で起きてたら平安じゃなくても夢中になってるだろうなぁ。2回目以降はわからないけど基本無料なのでは?あの世界の民衆うらやましすぎる。

あ、これはあれだ!と見つけるのも楽しい。アヴちゃんも森山未來も歌が上手いなぁ~ずっと聞いていたい。

各演目のギミック。これは設定を考えるだけでも楽しいだろうなぁ。リアルに木製で作ってもちゃんと動くのかしら。
クジラの話とか生で見てみたい。

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歌と踊りの「どろろ」だこれ。

あの時代のパパは子供の人生犠牲にしすぎじゃろ。物語の組み立てもうまいなぁ。ダンスパートもそうだがこれまでのエンタメの歴史がしっかり詰まってる。
室町が舞台ですが人類の積み重ねが感じられてとても好きでした。
これも犬王と友魚(友有)の「我らはここに有る」という信念(信条)を暗に表しているようで、観てるだけで感じ入るモノがあります。
最後現代まで舞台が移ったのもそういうことなのかしら。
きっとオマージュされた芸術を残した先人たちも同じ想いを持っていたんだろうな。

現在主に福岡の小演劇の観劇をしていますが、きっとその中でも同じ志を持った人たちがいることでしょう。願わくば今まさに頑張っている人たちもみな生き残れますように。
なんて切ないこと願ってしまいました。

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グロイとこは結構グロイ。パパが死ぬとことか。

しかし幼少の犬王も終わってみれば結構キュートに思えますね。ラスト演目で顔バレしたとき。「お!お、お…。う~ん…」って感じ。
こういう時ってイケメンが来ると思ってたのでめちゃ意外でした。
でもパパの顔見てたら納得の顔立ちかも。しっかり似ててちょっと笑いました。

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谷一さんが死ぬところすげえ胸にきたな…。にいさんだったのか…。
出会った初期しかまともに描いてなかったのですげードキッとしました。メラメラに燃え上がって演奏してる印象が強かっただけに衝撃が強かった。
この子そういえば父を亡くして母は狂って目が見えなくなったんだよな。その中で自分のやれること、道を示してくれた恩人なんですよね。プライベートなおしゃべりとかも見たかったな。

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義満の奥さんの言葉が製作陣の言いたいことを結構言ってくれてた気がする。この2年とちょっとのコロナ禍で消えてしまった芸術たちはどのくらいいるんでしょうか。
恐らくその全てが「我はここに有る。ここに居る」と叫んでいたんでしょうか。

なんとか守っていきたい。残していきたいものですな。

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スタッフロールに結構演劇の人がいて驚きました。

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原作も読んでみたい。単体としてのクオリティもさることながら連なるコンテンツにも興味関心を持たせられる素晴らしい作品でした。
演劇関係の方も何名も関わっていらしたのも個人的に嬉しいところ。また何回も観たくなる作品でした。