会場:J:COM北九州芸術劇場中劇場
チケット料金:1500〜2000円
上演時間:各公演約20分
公演の説明
歴代チャンピオン7団体による演劇バトル!!九州各地から集った演劇団体が20分の短編作品を上演し、 審査員と観客による投票で優秀作を決定してきた「劇トツ×20分」。 記念すべき10回目を迎える今回は、歴代の優勝団体7団体が集結し、中劇場に舞台を移しチャンピオンバトルを開催! 「上演時間は20分以内」「登場人物は3人まで」というルールのもとで闘います。 勝敗を決めるのは、観客のみなさんによる投票。 九州の演劇人たちの熱いバトルにご期待ください!
※公式サイトより
以下、雑感
贅沢な時間だった〜。PUYEYさん本当におめでとうございます。見どころしかない濃密な5時間。全然疲れなかった。こんなに全部おもしろいことあるんだなぁ。代金に換算するのも無粋ですが、それぞれの作品で普通に2,000円取ってよかったくらいのクオリティと満足感。つまり私は14,000円分楽しんだ(馬鹿の計算)。10年の積み重ねの成せるわざか。ここまで積み上げた芸術劇場と九州の“演劇人“たちにありがとうと言いたい。もちろん壇上にいない方々にも。この先の10年も盛り上がれ!今回はホントに簡単な感想しか書けないな。楽しくて。
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中劇場ほぼ満席。8割くらいかな?これだけたくさんの人に愛された企画なんだなぁとなんだか胸が熱くなります。近年はチケット全然取れませんでしたものね。過去敗退団体の票も合わせると700票近くあるとか。すごい
。
劇団言魂『クーリング・ラブ』
作/演出:山口大器
あらすじ
「好きです!」と、男は手を差し伸べたが、女にはそれが分からなかった。それでも男は、女が好きだったが、男にはそれがなぜだか分からなかった。だから、二人は契約をした。恋人と名付け、ただ、唯一の関係とした。そんな二人の恋は温められ、まるで雲のように空に舞う。まるで、あの日、彼が残した飛行機雲のように。※劇団サイトより
キャスト
片山桃子 高山実花 山下万希
以下:雑感
爽やかですっきりしたお話だった。昔のじりじりとした夏の空気や情景が感じられたような気もする。いまだ名前の付けられない気持ちを探る二人だけの試行錯誤。微笑ましい。穏やかなままだったら一番楽しいやつなのになぁ。時代よ…。
ゴザがしいてあってちゃぶ台が一つ。シモ手奥に6×6くらいの八百屋の台があった。
水の変化と心の変化。詩的な表現が素敵。山口さんの(言魂の)特色ですね。恋愛観なのかしら。
過去に観た時よりも洗練されていて、スッと伝わってきた気がします。赤紙の紙飛行機が入ってくる演出がオシャレ。だからこそ意味が解るとゾッとしますね。実際もあんな風に唐突に日常に割り込んできたんでしょうか。この世界の片隅~~。つらい。
一発目の観劇にはとてもちょうどいいボリューム感でした。
F’s Company『はいけい』
作/演出:福田修志
あらすじ
路線バスの車内の一幕。いろんな人がいていろんなことが起こる。女の子からある人への手紙。
キャスト
田中俊亮 松本恵 住屋亜由美
以下:雑感
F’sさんは初見。面白かった~。しっとりからコメディシーンの空気の移りが滑らかで上手い。歴も7団体の中で一番長いのかな。
シモ手方向に向かって椅子がたくさん。バスの車内を表してるようだ。カミ手前に長めのベンチとスーツケース。
バスの中の群像劇。入れ替わり立ち代わりのハプニングが楽しい。おばあちゃんのツッコミが好きでした。
現在脚本公開中。読んでみよう。
ブルーエゴナク『瀬戸際の旅』
作/演出:穴迫信一
あらすじ
亡くなった姉の即席を追う、妹と、姉の恋人。
キャスト
小関鈴音 なかむらさち 寺田剛史
以下:雑感
いや好きやこれ。退廃的な空気。会話から徐々に明らかになってくる姉の人物像と二人の気持ち。ちょっとホラー。
パイプ椅子で向かい合う二人。喫茶店だったりゲーセンだったり。
寺田剛さんの芝居が強い。役者に惹かれてしまうな。粗暴だけども不器用に恋人の後を追う様が滑稽でかわいかった。
突然のバスケ部は無理だw。「お先真っ暗」な二人。なんともならない旅だったけど少しだけお互い前を向けたのかな。とても好きだった。終演後の余韻も。
万能グローブガラパゴスダイナモス『僕は笑わせることしかできない』
作/演出:川口大樹
あらすじ
母の葬儀に集まった兄弟。そこに「笑いの神」が現れて…、
キャスト
椎木樹人 横山裕香里 古賀駿作
以下:雑感
笑った~。これは以前も観ました。相変わらず楽しいチームだ。セットは何もなしの平舞台。
笑いの神降りてたなぁ~~最高。とにかく笑わせてもらったな。ちょうど疲れてきた半ばで見せてもらうにベストのタイミング。
軽快なキャッチボールは相変わらず巧み。直前の紹介で「なにも伝えることがない」とおっしゃていましたが、そんなこともなく。大きくことは起きてないけど二人が少し前向きに向き合えた良い時間。
不思議少年『スキューバ』
作/演出:大迫旭洋
あらすじ
お母さんは、いつもお話を聞かせてくれた。ふかふかの毛布にくるまって、 そのお話を聞いている僕とお姉ちゃん。絵本をめくると、そこは 海になってお家になって水族館になって……。物語の中に、僕たちは深く潜ってゆく。それは、イルカになりたかった、女の子のお話。
※過去の公演情報より
キャスト
大迫旭洋 森岡光 宇都宮せいや
以下:雑感
すごい!一番ワクワクした。絵本のようなおとぎ話のような世界。ダンスもありリズム演劇的な要素もあり。客席側に乗り越えてきたのも印象的。
こちらは森岡光さんが物凄いパワーですね。(こう書くと語弊がありそうですが)引きこむエネルギーが凄くて惹かれてしまう。何ともない台詞も笑えてしまうし目が離せない。他の俳優さんがやったとして、果たして同じ印象を持っただろうか。世界劇団の時拝見しましたがその時のネガティブな色味とはまた違う。もっと観ていたくなる俳優さんでした。ショーの所もめちゃくちゃ面白かった。
大迫さんの柔らかい言葉遣いも安心できる感じでとても好きでした。
劇団ヒロシ軍『一寸先はYummy!!Yummy!!(2023Ver.)』
作/演出:荒木宏志
あらすじ
カップルのカラオケ。愛の歌。奇跡。
キャスト
荒木宏志 宇土裕子 荒井駿
以下:雑感
なんかもうわかんねぇな!!!!!カオス以前の取っ散らかったカラオケバトル。ミュージカル?演劇?寸劇?はっきり言ってなんにもおもしろくないけど雰囲気で笑ってしまうのは主宰の荒木さんの盤外でのキャラクターのおかげかもしれない。それとも祭りの雰囲気のせいか。なんとなく楽しかったのでよしとする。ゲス男が意味わからな過ぎて普通にキモかったな。二人とも歌は上手い。多分。
PUYEY『おんたろう』
作/演出:高野桂子
あらすじ
感情の神・エモ神様から派遣される謎の生き物(?)おんたろう。人間のネガティブなエネルギー、怨念を発散させるために現れた。
ブラック気味な歯科医院に現れたおんたろうは我慢を続ける歯科衛生士の怨念を解消するためにがんばるお話。
キャスト
高野桂子 五島真澄 手嶋萌
以下:雑感
ホッコリして楽しいお話。おんたろうのビジュアルが可愛い。ヒロシ軍のあとで、温度差で風邪ひきそうでしたがしっかり引き込んでくれました。よかったなー。
五島さんの声、ちょっとムックみがありますな。切り替えのギャップがよい。高野さんの「どう?」がもうツボ。めちゃくちゃ笑ったな。子供でもわかりやすい作り、テーマでスッキリほっこり。とてもよい締めでした。
「おんたろうズ」は未見。どっちに行けるかなー。観に行きます。
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全部映像残してほしい。ていうか配信してほしいーー。
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来年から一旦終了……。寂しすぎる。私が観始めたのは途中からでしたが、ものすごく楽しませていただきました。出場した7団体、ひいては九州全体の演劇がますます発展しますよう願ってます。そしてまたいつかの劇トツ復活を心待ちにしております。ありがとう劇トツ。ありがとう演劇。
PUYEYさんおめでとうございます。本公演を観に行きたい。