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[k1]「実況上戸」
出演・脚本・演出:白濱隆次(謎のモダン館)
2019年初演/本拠地:長崎
あらすじ
「僕は幼い頃から無口で愛想が無いと言われる。しかし心の中では見たもの、感じたことの何もかもを実況してしまう。
通勤中の電車内で…。ある日、表面上穏やかな僕の人生に激震が走る。合コンに欠員が出たのだという。僕に白羽の矢が立てられた。」
状況をセリフで説明しだすとチープになるという一人芝居の弱点を逆手にとり、全てを実況してしまう男を描く快作コメディ!
最後に辿り着く衝撃の真実とは…。
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めっちゃくちゃおもしろかった!
笑いと涙と感動ってこういう話の時に使う文句なんでしょうか。
なんだか昭和のトレンディドラマ的な雰囲気もとても好きでした。
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舞台はシモ手にパイプ椅子が一つのみ。
近年、「おっさんとらぶ」とかからですかねぇ。デッカいおじさんがわちゃわちゃしてるのはなんだか可愛らしく思えてしまう。
実況モードと平常時の変化がコロコロ楽しい。
ラストの種明かしも”そうきたか!”って感じでびっくり。
脳内で完全に心の声で補完してたので、予想外のところから刺されて爆笑でした。
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競馬風実況の時は固有名詞がちょっとわかりにくかったりしましたが、怒涛の合コン実況が聞いていて気持ちいい。
大人のしっとりした駆け引きとのギャップがとてもよかったです。
[k2]「スーパースター」
出演:森淑乃(MIWAKU)×脚本・演出:田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)
2021年新作/本拠地:福岡
あらすじ
「未来は不知顔さ。自分で創っていく」
有名な映画俳優とかアイドルとか、あと活躍してるスポーツ選手なんかもそうですけど、なんで「スター」って呼ぶんですかね。星ってことですよね、つまり。いや、たしかに星って輝いてますけど、無数にあるわけじゃないですか。それこそ、星の数ほど。これは、星と名付けられた女が語る、スーパースターのはなし。
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ちょっと不幸な女の子・「星ちゃん」とハリウッド映画監督を夢見るフリーター叔母さん・「みーねぇちゃん」の半生。
脚本の言葉遊びが相変わらず楽しい。
スーパースターと素パスタ。shineと会社員。
ちょっとミュージカル調。
星ちゃんとみーネェちゃんの関係性は「 ミッドナイトスワン」を思い出しました。
脚本・田坂哲郎さんの得意分野?好きなんだろうなあという要素が30分の中にギュッと凝縮されていて、楽しい時間でした。
なんだか幼い星ちゃんの心情や環境とかとか、長崎の学校生活、アリンコ見つめてる時間、砂浜を走る映像とかが結構濃ゆくイメージさせられて。
終盤のカメラを見た時の星ちゃんとすごくリンクした感覚になれて泣きそうになってしまった。
バタバタ動く俳優さんの身体性も観ていて楽しい。バレエとかやってらしたのかしら。
人生の楽しさと切なさの詰まった、ちょっとノスタルジックな演目でした。
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以上6演目。とても充実した時間でした。
どのチームもとても面白かった。普段の公演も追っかけてみたくなりました。
観る演目の順番でも印象が変わりそうです。やっぱり“お祭り”いいですね。ただでさえ普通の祭りがなくなってきてる昨今、なんだか嬉しくもなりました。
また延期や中止が目立ってきました。
刻一刻と変化する情勢にも負けずに、観客としても演劇を盛り上げていけたらと思います。
5SSも楽しみ!演劇らぶです。