観劇・感想

観劇感想:INDEPENDENT「INDEPENDENT:4thSeasonSelection / JAPAN TOUR」②

前回→「a」と「e」

今回も2作品ずつ感想を。

[f]「夜嵐のさめて跡なし花の夢」
出演・演出:ドヰタイジ(STAR☆JACKS)×脚本:浜口望海(STAR☆JACKS)
2020年初演/本拠地:大阪

あらすじ
山田浅右衛門家は江戸初期より御様御用として将軍の刀の試し斬りと罪人の斬首を代々務めてきた。
時は流れ明治になっても東京府獄舎係斬役として新政府に出仕していた。
明治13年春、桜舞い散る小塚原刑場で「最後の浅右衛門」と呼ばれた山田吉亮の視線の先にいたのは昔愛した女性だった…。
時代劇を通して、変わらない「人の心」を描くSTAR☆JACKSが挑んだ、講談と時代劇がシームレスに融合した新スタイル作品=ネオ講談第一弾。

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渋い時代劇だったなぁ。わかりやすく切ない人情物でとても面白かった。好きなやつでした。
講談の体を取っていましたが、「殺陣」を入れろというオーダーにしっかり応えた見応えのある30分の演劇でした。

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幕が開けると、下手にめくり。センターに釈台と刀。赤い着物に身を包んだ「ネオ」講談師・秋葉原タイ山さんが。

この演目を作るに至った経緯を枕で話すところから始まりました。結構ぶっちゃけていたのと、福岡に合わせていて結構笑えました。
福岡公演のトップバッターに相応しい幕開け。かなりリラックスさせてもらった気がします。

お話は首斬り役人山田浅右衛門一族の末裔と、幼馴染の芸者の切ない人情噺。
俳優さんが上手いなぁ〜。しっかり聞き入って(観入って)しまった。
最初のフランクさからは嘘みたいな切り替え。ドキドキしました。

刀の所作も美しい。
積み重ねが顕著に出てくる部分ですし、経験の深さを感じました。

これはまた別のお話し。と、キヌさんの子供とのエピソードを上手く省いていたけれど
劇団さんの方でやったりしたのかしら。
スタージャックスさんお名前しか存じ上げなかったけれど追っかけてみようかしら。

作中俳優に入れ込むキヌさんの描写がありましたが、まさしく壇上の俳優を応援したくなるような。
そんな演目でした。

[g]「そのころ」
出演:葉山太司(飛ぶ劇場)×脚本・演出:大迫旭洋(不思議少年)
2016年初演/本拠地:福岡 with 熊本

あらすじ
「コンビニで働いてる山下くんって友達から、このお話を始めてみようと思います。」
男の口から放たれる、本当の話、どこかで誰かから聞いた話、全くの作り話。その境界線は、だんだんと曖昧になっていく。
そのデタラメがもしかしたら誰かを救うのかも知れない。
「そのころ」というキーワードが潤滑油のようにあなたと私、劇場と世界を繋ぐ…。
不器用で泥臭い、ロマンチックな小さな奇跡の物語。

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美しい〜〜〜〜!!!びっくりしてしまった。

「そのころ」でつながる色々な事情を抱えた人々のちょっと特別な、普通な、日常の群像劇。
爽やかで愛に溢れた、世界が愛しく感じるすごくいい演劇でした。

映画「ニューイヤーズイヴ」を思い出しました。

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舞台はセンターに木製の丸イスが一つだけ。基本的に俳優さんはそこに座ったまま語っていく形式。
一見動きの少ない画面に飽きちゃいそうかもと思ったんですが、立ったり座ったり、日光浴したり。「そのころ」というワードでめまぐるしくコロコロ変わっていく状況に退屈する暇がない。

俳優の葉山さん自身のキャラクターというか、語り口も関係あるんでしょうか。結構な登場人物が出てきたんですけど、変に色が付くことなくそれぞれの人物をフラットに感じることができたと思います。

導入の葉山さんの娘さん自慢もまた、「そのころ」で繋がるいち場面だったんでしょうか。だとしたら構成としてもとても美しい。

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“山下くん”応援したくなるな~~~。
悪いけど他の人達の話聞いてても、「で、あの二人はどうなったの?」って終始ソワソワしてしまいました。
ラストの花火の告白ステキだったなぁ~~。きっとめちゃくちゃ頑張って本気出して考えたんだろうなぁと思うとキュンときます。

二人はどうなったんでしょうねえ。どうなるんでしょうねえ今後。それもまたいつか「そのころ」で語られるんでしょうか。なんて。

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BOOM BOOM SATELLITES。イイですよねえ。「キズナイーバー」好きでした。解散してしまって悲しい。

しかしラジオの曲紹介からの告白!花火!サビ!そしてタイトルどんっ!!!

あ~~~~~~~これ好きなやつだ~~~~!ってなりましたね。これはもうしょうがない。
美しい流れ。選曲も申し分ない爽やかさ。抜群です。

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そしてラストのポツンと置かれた花束。ラストの「愛してる」でもうMAX最高潮だったのにそんなことされたらもうたまらんですね。
洒落てる~~~~~。

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作者さんは普段どんな風に世界を捉えてるんでしょう。
なんだかすごく勇気をもらえたような気がします。

い、愛しい〜“世界”〜〜〜っ!!!また観たい!!