観劇・感想

観劇感想:ナシカ座番外公演 ナシカTHEカーニバル2「うるゲキ」

作/演出:内田好政
会場:甘棠館Show劇場
チケット料金:2500
上演時間:約90分

公演の説明
福岡で2018年から活動している演劇団体”ナシカ座”の番外公演企画。「うる」っとくる10本の短編集

あらすじ
男女の悲恋が主なテーマの短編集。

キャスト
松尾佳美 Yuma すけちゃん。 Kz NORIPANDA 大間萌夏
上野直人 荒木佳奈 中野勇助 林純一郎   

以下:雑感

安っぽい。

値段以外の全てが安っぽい、最近見た中では最低のクオリティの低い芝居だった。

俳優、脚本、演出、舞台、音響、照明、衣装、受付周りに至るまでの全部が一個も魅力無いの逆にすごい。

*****

舞台は甘棠館show劇場の舞台。本当にそんだけ。

パンチなど無しの板張り。

劇場のパイプ椅子が3脚、客席に向かって横並び、茶色の膝下くらいの高さのテーブル。
上手側にパイプ椅子もう一つ。
ホリ幕は開いている。6×5列の30席くらい。感染対策でテレコ。

舞台からしてもう安い。
この団体は結構お客さんを入れてる印象でしたがケチったんでしょうか。
スカスカの空間に客席に置いているのと同じ椅子。せめてそこは舞台用の物を用意してほしかった。
「劇空間」を作り出す意図がまるでない。
番外公演ということでしたが、ローコストにも程があるのでは?手抜きとしか思えない。

*****

場内アナウンス。感染対策とかとか。
なんとびっくり受付をやりながらマイク使って流している。

おかげでお客さんがくるたびにアナウンス中断。聞かせる気があるのか?
このコロナ禍で、いやコロナ以前でも、開演前の注意事項とかなんとなく言うだけじゃダメじゃないですかね。

演出に関しても。

“ぽい”台詞のあとに”ぽい”曲をカットインすれば劇的になって感動するやろ

みたいな意識が丸出しで。
そもそも脚本も役者の演技も稚拙で観てるこっちは何も盛り上がっていないのでめちゃくちゃサムかった。

本番に内輪だけで盛り上がってんじゃねぇぞ。

音響も、観た限りではきっかけは台詞合わせのオンオフだけ。
にもかかわらずフェードアウトが下手すぎる。挿入にしか興味ないんでしょうか。
聞いてる側の余韻とか情緒とか考えてほしい。

照明。短編10本もやるのは大いに結構ですが、全体の構成とか考えてるんでしょうか。

暗転なんかない方がいいなんてのは常識だと思うんですが、一本終わる度に挟むもんだからまぁ~~~~多い。
その上長い。やってれば見てもらえると思ってるんですかね。
観てる側にも集中力とかいるんですよ。
作り手側から積極的に切りに来ないでほしい。

最後の緑とかなんなんでしょうね。急にぶっこんでくるから「なんだあれ」ってなりました。
なんの表現だったんでしょうね。

衣装もキャラクターたちの季節感とか統一してくれ。
ショートパンツを履いてる俳優の膝が汚い。

*****

お話も”うる”ゲキと言いますけど、うるっとくるお話が浮気だの離婚だの…しょうもない恋愛がらみ以外にはないんですかね。
毎回毎回舞台上で泣いたり悲しまれたりされても正直ついていけんです。

うるっとくるような芝居があるのかと思ってきたんですが、役者が勝手にうるうるするだけでしたね。
あの短い中で泣かれてもなんか盛り上がってんなぁとしか…。

牡蠣鍋とか死神とかアルツハイマーだのなんだの、雑な設定が多すぎる。
なにより、今時「ブス」いじりで笑いとろうとするのなんなんでしょうかね。唐突すぎるし。そこまでそんな空気感の作品なかったじゃないですか。

言われてる女優さんもそこまでブスというわけでもなく、整ったかわいらしい顔立ちをされてましたし全然成立してない笑いに感じました。
(笑っていらっしゃるお客さんもいましたが)

女優さんご自身は普段そういういじり方、いじられ方されてるんでしょうか。

それこそ身内ネタでは。死ぬほど冷めました。

台詞回しも拙い部分が目立ちましたが、「ぶっ殺す」などの罵詈雑言だけやけに流暢で引きました。
全体的に品がない。

*****

一番手抜きで受け入れがたかったのが、ラスト。

赤ん坊のおくるみの表現なんでしょうけど、便所のタオル丸めたみたいなもの雑に固めたものを愛おしそうに抱きながら出てきて。

馬鹿にしてんのかと思いましたね。タグくらい見えないようにしてくれませんかね。何もかもが雑。

10本に及ぶ短編集のラスト。あんな雑なもの混ぜてよかったんですか?

カーテンコールも適当だし。

*****

総じて言えることは、この団体さんはお客さんを全くといっていいほど意識していない。

“自分たち”がいかに笑いをとるか。感情を昂らせて泣くか。気持ちよくなるかしか考えてないんではないでしょうか。

正真正銘オナニー作品でしたね。

最初から最後までこちらに届くものは、届けようとしてるなと感じることは一度もありませんでした。

こんなクオリティで2500円。信じがたい。500円でもきつい。

旗上げて約3年。

前評判を聞くにかなりのお客様が入っていたと思っていたんですが、今までだれ一人意見とかしなかったんでしょうか。
作り手側がいかにこの3年を過ごしてきたのか透けて見えるようでした。

番外公演ということなので、本公演ではきっとこれよりは良いものが見られることを期待しておきます。