観劇・感想

観劇感想:おちゃめインパクト3周年記念公演「コインランドリー」

作:坂井彩 演出:松村来夢
会場:甘棠館Show劇場
チケット料金:2,000~2,500円
上演時間:約60分

公演の説明
おちゃめインパクトの結成3周年記念公演。6/23までの予約でチェキなどの特典がつく。
あらすじ
紹介制コインランドリーに集まった3人の女たち。洗濯をするためのこの場所で彼女たちは様々な選択を迫られる。
キャスト
おぐん 久保まり 佐藤美沙

以下:雑感

スベっっっっってる。「喋り」は一見して達者だが「会話」になっておらず空気が全く動かない。メチャクチャ自己満の演劇でした。多分悪い意味で座組みが一番楽しんでる。周年記念と銘打つ公演にしては外回りもスカスカ。これでいいのか?

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舞台は甘棠館パンチ無し。タイトル通りのコインランドリー。カミ手奥にはラックに掛かった様々な衣服。シモ手奥には裸の平台一枚。上にカラフルなスポンジマット。帽子かけ(?)にこれまた衣服がたくさんかけられている。

転々と段ボール製の箱型洗濯機。四角に丸くフタが付いてる。天井からも白い飾り布など色々吊られている。

全体的にポップで幼稚園とかのお遊戯室みたいな印象。センターには「ピースランドリー」の看板。紙製でお誕生日の飾りみたい。ポップでカワイイ。

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とある“紹介制”コインランドリー「ピースランドリー」に集まった3人の女性の会話劇。独特な雰囲気の研究者のA子。将来に希望を見いだせない人殺し大学生のB子。ヤバい感じのカルト宗教信者、駄菓子屋の娘C子。おかしなコインランドリーで世界はゾンビパニック。C子はゾンビになってA子とB子は半分こして食べた。二人はゾンビウイルスに感染して解毒剤は一本。やり残したことがあったのでそれも半分こして飲んだ。終わり。

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学祭の出し物レベル。なんだか見るたびに魅力がなくなっていってる気がするおちゃめインパクト。でもよく考えたら“演劇もする団体”であって劇団ではないですもんね。期待値を上げすぎました。色んな未熟さが目に付く公演でした。

一番ネックになったのが会話。基礎のこの部分がかなりヤバい。

それぞれの俳優、セリフはちゃんと言えるし状況に即した音色が出てますが会話になっていない。エネルギーの交換が行われておらずそれぞれが自分の感情しか見えていない感じだ。感情の段取り芝居。

おかげで音色に反してものすごく無機質でゴムみたいな空気だった。客席の静けさを感じ取れてるんだろうか。お話的にしっかり会話してたらもっと楽しくなったと思う。

装飾のポップさとの間で嫌なギャップが生まれていてもはや不気味な空間だった。

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ギャグも滑ってる。ツッコミが長くて説明的すぎる。恐らく作家も演出も文字の上でのことしか想定できていないようだ。漫画のツッコミセリフをそのまま持ってきた感じで猛烈にサムかった。

俳優の身体もゆるゆるで不安になる。体がギクシャクしてる人は見てて笑えない。身体づくりとかしてないんだろうな。

そして粗っていうか、ミスがちょっと多いかな。一人一回は噛んでたし。明転時に袖からパーカーぶっ飛んできたのはあれはいかんでしょう。誰がいるんだよ。

そういうところも学祭風味。

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ダンスがシャバすぎる。のに何回もあった。上述通り身体ができてないから全然見られたもんじゃないし、少なくとも金取って舞台で披露するクオリティではない。SNSでゆるくやる分にはちょうど良さそうって感じ。

どことなく「私たち可愛いでしょ?」って空気が鼻に付く、踊りたいから踊ってますなだけの意味のない時間。

何これって感じでで見てた。

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物語の展開がう〜んって感じ。作中の大きなイベントだけ決めてるがそこに至る導線がふわっとしてるから微妙に辻褄が合わない。大きなモノじゃないから分かりにくくて、そこがまた気持ち悪い違和感になってる。

作中の時間経過が本当に分かりにくいからキャラ同士の仲の深まりに納得ができず

、「こんなこと言う・やるやつだっけ?」とこれまた違和感。正直“展開のために生きてる“感が出てる。

これらのことは演出家などが外からの目線で修正できる範囲のことだと思うがあまり機能してないようだ。意識してないのかな。

明かりや装置や衣装、ダンスをする。などの大きな部分には製作陣の意志を感じますがその他演劇の土台部分がおろそかになってる気がしました。

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勝手な期待をしすぎた。これは私の見方の問題ですね。今日まで何本か観劇しましたが、初めて観劇した学生演劇祭の時から根本のレベルは全く変わってないように見えました。

演劇を突き詰めていく感じではないんでしょうか。少し寂しくなる観劇でした。