観劇・感想

観劇感想:舞台「リベンジ・ライフ 2024 In フクオカ」

作・監修:松多壱岱 演出:川口大樹
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:3,500~5,000円
上演時間:約120分

公演の説明
2010年「ある苅屋くんの人生」として初演が上演され、 以降プロデュース公演や劇団公演など、何度も再演され、愛されてきた作品。2023年、6年振りに「リベンジ・ライフ」としてリメイクして上演され、全公演満席で大好評の中、幕を閉じた。今回、2024年ver.として、物語もブラッシュアップし、福岡にて上演!!
あらすじ
本当に自分らしく生きるとは?結婚式当日。幸せ絶頂の苅屋君は、事件に巻き込まれ命を落とす。 しかし、目覚めたのはスタジオの中。なんと人間の人生はシナリオに書かれ、みなその登場人物を演じているだけだったのだ。本当に自分らしく生きるとは何なのか?『あなたの人生はこの「シナリオ」にすべて書かれています』
公式サイトより
キャスト
菅井義久 尾本侑樹奈 岸田麻佑 柏木優茉 中村豪志 緑川良介 岡将士 大葉みらい 大庭彩歌 瀬上祐輝 佐藤元気 澤栁省吾 原直子 綾部靖志 井上真里奈 山沖勇輝 
日替わりキャスト
大島向葵 黒田れい AYA UTA 松下由依

以下:雑感

びみょう。つまらなくないけどドカンと面白くもない。キレの悪い演出と冗長な展開。メインの男性陣は皆さん達者な俳優さんでしたが、う〜んってなる部分やキャストもちらほら…。日替わりゲストはひどい。内輪ノリを強行する地獄みたいな時間がある。

音響はクソ。衣裳は素敵。

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舞台は主に、黄泉の国の「FPS」という名の撮影スタジオ。(Fate produceなんとか。うろ覚えだ)。

全体的にグレーが基調のステージで、白・黒・グレーのタイルで装飾された空間。立体的で戦隊モノの秘密基地みたい。赤・青・緑の大きな枠組みやTVくらいの大きさの小さな枠が飾ってある。(それこそモニターなのかも?)楽しそうな見た目でワクワクする。

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長かったな。初演は2013年?

ブラッシュアップを重ねているという触れ込みだったが物語そのものに贅肉や回り道が多い印象。120分かかるような話なのか。演出がダルいのもあるか。

黄泉の国(煉獄的な?)の撮影スタジオではアカシックレコードから人類へのプロットが出力されてくるのでそれをシナリオ化。人間の魂にインプットして送り出す。これをおおよそ八十年くらいやってる。多分原爆投下がキッカケなのかな。

ラスボス曰く、愚かな人類が暴走しないようにシナリオをあてがって管理する。みたいな動機で天界ぐるみでやってる。けど、ラスボスの独断でシナリオを改稿、途中で人生を強制終了させたりしてる。

中でも主人公は心理学を勉強していてこのまま行くとこのシステム(天界の存在とか?)にゆくゆく気づいてしまうのでプロローグで殺した、という。

でもこの「シナリオ改稿」→「人間への直接介入」は禁止されているので撮影スタジオは天界から目をつけられていて天界警察が潜入捜査している。発覚して主人公たちともどもラスボスを倒す。

ざっくりこんな感じ。

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主人公の印象は薄い。なんか彼の存在が決め手になってないんだよな。いなくても解決したんじゃないかこの事件。

カリヤ君の特異さに関しては台詞のみの説明、しかも別世界線のことでこの物語において彼の存在の重要性が感じられなかった。のでラスト結ばれてもカタルシスが薄い。キャスティングや演出の問題もややあるかもだけど。

反面ラスボスが喋る喋る。明確な悪が1人っきりだから仕方ないのかな。作家さんの思い入れが強いんだろうか。描写の偏りがあるのでは。

「アカシックレコード」って注釈無しにぶち込むには不親切すぎる気がする。知らないだろう。何回も出すし。設定はたくさん練っているようでいて曖昧なところが感じられて脳みそに引っかかる。雰囲気でなんとなくわかるだろうけどさ。

このスタジオは人間にシナリオをあてがってコーディネートしてどうしてたんだろう。撮影はしてた?そういえばカメラ班はいなかったような。撮ってたら見せる先があるのか。

悪側の行動(改稿やシナリオコントロール)によって起こる悲劇や、悪にとっての利益とかがふわーとしてるんだよな描写的に。あんまりヘイト溜まりきらない。カリヤくんが早々に切り替えて次の転生先探し始めたからかなぁ。悲壮感薄いよね。

ラストの展開もチャンバラ班とシナリオ倉庫班が結託して動いてたわけじゃないから「偶然」上手いこといった(?)ようでスカッとしないんだよね。敵の意図も1人で台詞説明だけだから。プロデューサーは何がしたかったんだろう。一連の行動のゴールが読めないよな。現状維持?でも動機は堕天(左遷?)させられた恨みっぽいしなぁ。FPSメンバーも「人間の暴走を抑える」みたいな大義とか使命感があるでなし。ジリ貧でいつか全部ひっくり返るのなんてわかりそうなもんだが。

天界の一部上層部の娯楽として生の人間ドラマを脚色してお送りして不当に利益を受け取ってたとかならまあグロいけどわかるんだよな。でも上の天使たちは清廉潔白のようだし。もろもろピンとこなかった。

オチを見る限り、ハマりようによっては「デビルマン」のラストみたいになったかもしれないよね。

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演出や展開がたるい。

特にOPとEDダンス。パフォーマンス内容はともかく切り替えが雑すぎる。アニメじゃないんだから。

あの差し込み方は悪手だろう。直前で暗転挟んだり。主人公死んでまあまあ悲しみの空気の中でまだ顔も知らんサーカスみたいな人たちの脈絡のないハッピーなダンス。

ノレねぇ〜〜〜。せっかくのダンスなのに。

エンディングのみだったらまだ…。キャラやストーリーへの理解も好感度も上がってるし。でもやっぱり導入雑。

別シナリオのIFの話。2種類あったけど長い。どうせ大失敗するオチわかってる事象に時間かけすぎだろう。このパートのギャグ全部サムかったし。サッと終わらせて本筋行ってほしかったわ。

イケメンサラリーマンは澤柳さんと役逆じゃないか?顔面的に。

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ガラパは大好きだけど、この演目は川口氏の畑じゃなかったんじゃなかろうか。プロデュース公演ぽいし。

まぁ戯言ですが。

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衣装はほんとに可愛い。物語に合ってたかどうかは置いといてほんとに可愛い衣装でした。

瀬上祐輝さんのとか。角が良かった。胸元についてたやつ。

原直子さんの衣装とか。

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音響はひどい。私の回だけのミスだったと思いたい。

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当日日替わりゲスト。地元若手アイドルなどの地獄みたいな時間がある。ほんとにエグい。ありがちな集客戦略で理解はできる。できるけど割を食うのは私のようなただの観劇好きとかである。

いやー皆さんお仕事お疲れ様ですって感じですね。演出も共演者も。偉い。私は居た堪れない。

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殺陣。多分しっかりした人に頼んだんだろうな。舞台構造と武器をちゃんと使ってバリエーション豊富な動き。楽しんで見れました。

しかしながら細かいし長え。

細かいし長いよ。殺陣師は映像畑の人なのかも。

キャストの皆さんかなり練習して合わせてきたんだろうなと感じました。危なげなくこなしていて。

でも全然ドキドキしなかった。ホントに「こなされた」って感じだ。無機質で、練習してきた動きを見せられただけという印象。台詞は情感がある分殺陣とのギャップがキツかった。

急に日本刀でチャンバラ始めたせいもあるかも。あのカラフルポップな衣裳でガチガチの日本刀出されるとビックリが勝つんですね。カッコいい〜って全然ならなかった。戦い長いし。長い。

小道具倉庫だから〜、という強引さで通すならもっと雰囲気に合った面白い武器出せたんじゃなかろうか。世界観にあった武器。ていうか小道具の刀なら斬れないのでは。ツッコむのも野暮なところだが。

あと主役無理やり戦わせなくてよかったんじゃないか?堕天使とアクター(暗殺者?)と天界警察のバトルに割り込むのは無理だろ。

普通に刀で銃弾捌いていたのもなんだかなぁ。カッコいいけどこの芝居でやることかしら。天使やらアカシックレコードやらが主軸の世界で日本刀チャンバラ…。うーんもっとふさわしいものがあったのでは。

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イケメンイケ女しかいなくて目の保養ではあった。近年福岡でもタレント主導のプロデュース公演が増えていってますが、せめてこのくらいの満足感、クオリティでもっとガンガン増えていったら楽しいだろうな。